描画色の作成

既存にない色を登録する方法です。既成のバンドだけではなく、フェルトや布など個別に色を合わせて画像を作ったり、長さをリストしたい、という使い方にも応用できるでしょう。

次のようなステップで試してみます。

  1. 新たなバンドを登録する
  2. 画像ファイルからRGB値を読み取る
  3. RGB値を描画色として登録する
  4. バンドに描画色を割り当てる
  5. 作成した色を使ってみる

1~4.については、CraftBandMeshシリーズのどのアプリからでも登録することができますし、登録したバンドや描画色は別のアプリからも使えるようになります。(同じ設定ファイルを使っていれば)

1.新たなバンドを登録する

描画色登録用に、「バンドの種類」に「汎用(1幅1ミリ)」を登録しましょう。

CraftBandMeshシリーズのいずれかのアプリを開き、[設定]メニューの[バンドの種類]をクリックします。
[バンドの種類]画面が表示されたら「汎用(1幅1ミリ)」を追加してください。

バンドの種類「汎用(1幅1ミリ)」の行が追加されたら、本幅に「20」、バンド幅に「20」を入力してください。

他の値はとりあえずそのままにしておきます。(新規作成時の加算値や立ち上げ時にプラスされる値など、そのバンド用の値をセットできます)

[OK]ボタンで画面を閉じてください。これで、1幅につき1ミリ、1~20本幅(1~20ミリ)で使える新たなバンド「汎用(1幅1ミリ)」が追加されました。

CraftBandMeshシリーズのアプリも、ここで一旦閉じてください。

2.画像ファイルからRGB値を読み取る

色はRGB値で作成します。

取り込みたい色が表示された写真のjpgファイルを、ペイントソフトで開きます。
(ペイントはWindows標準のソフトです。画像を右クリックして[編集]としてもOK)

画像から、ペイントの「色の選択」機能でRGB値を読み取ることができます。

0~255までの整数値で、R,G,B が赤,緑,青 に対応します。

読み取りたい色の箇所、それぞれについて、赤,緑,青 の三つの数値をメモしておいてください。ディスプレイが大きければ、次の「3.RGB値を描画色として登録する」操作は、メモではなくウィンドウを並べて読み取った値を転記、でもOKです。

3.RGB値を描画色として登録する

CraftBandMeshシリーズのアプリを開き、[設定]メニューの[描画色]をクリックします。

[描画色]画面が表示されたら、「汎用(1幅1ミリ)」のバンドに対して、2.で読み取った各色に好きな名前をつけて登録します。まず「あじさい(薄い青)」という名前で、メモした赤,緑,青 の値を入力し、[更新/追加]ボタンで追加してみましょう。

他の色についても同様です。
ここでは、次のように、全部で6色を追加登録しました。

登録出来たら、[OK]ボタンで描画色の画面を閉じてください。

4.バンドに描画色を割り当てる

アプリの[設定]メニューから、再度[バンドの種類]をクリックして、バンドの種類画面を開いてください。

先に登録した「汎用(1幅1ミリ)」のバンドの[色選択]ボタンをクリックすると、登録されている色のリストが表示されます。ここから、このバンドで使いたい色にチェックを入れてください。追加した色だけではなく、既存の標準色も合わせて表示されますので、使いたければチェックを入れてください。

色を選んだら[OK]ボタンで閉じ、更に[バンドの種類]画面も[OK]ボタンで閉じてください。これで、「汎用(1幅1ミリ)」のバンドを選択した時に、リストに表示される色が選べました。

ここまで登録出来たら、登録に使ったアプリも一旦終了させてください。(終了させることで、設定ファイルが保存されます)

5.作成した色を使ってみる

登録した色を使いたいアプリを起動してください。

[編集]メニューから[バンドの種類選択]をクリックし、バンドの種類選択画面から、バンドの種類として「汎用(1幅1ミリ)」を選択します。

バンドの種類選択画面を閉じると、色選択の各箇所は、4.でチェックを入れた色のリストになっています。

必要なバンドの本数を設定し、「縦横(側面)を展開する」にチェックを入れて、個別のバンドに色を設定してください。

[プレビュー]タブで画像を表示させると、作成した描画色で表示されます。

CraftBandSquare で使った例
CraftBandKnotで使った例

例のデータファイルです。

作成した色を含む設定ファイルです。例のデータファイルと合わせて使ってください。

亀甲崩し模様の縦長ケース

「ひらりカラー」でもうひとつ、鉄線編みの平たいケースを作ってみました。

亀甲崩し模様の縦長ケース

クッション封筒といった趣きです。中も同じような模様になっています。

模様の「亀甲崩し」ですが、この名前の編み方があった訳ではなく、以下の条件で試してみた結果です。

  • 3色あるので、3色同じくらい使いたい
  • 両側面の模様を合わせるため、斜めひもについては左右対称に
  • 3の倍数ベース、6点を繰り返す
  • 側面についても、斜めひもと同じ色の並びで

いくつか試して、まず色の並びを決めました。その並びでは、合わせ目の位置を変えることで、次のような2パターンが作られました。シックススター崩しと、亀甲崩し、とでもいいましょうか。右側の方が良いかな、ということで作ってみたのが上の写真です。

でも、作ってみてわかったのは、合わせ目を移動する時には要注意、ということです。底の角はスターの中心に置くというルールは、ペタンコタイプでも適用されるのです。合わせ目をずらしたことでルールから外れてしまったため、封筒の両側面の辺は、続きではなくちょっとイレギュラーになってしまいました。

データです。先と同じ設定ファイルを使ってください。

鉄線編みのタブレットケース

「ひらりカラー」という紙ひもがあります。手が痛くなりにくいそうなので、CraftBandKnotにいいかもと思い購入したのですが、ゲージをとった後そのまま置いてありました。

薄手なので、平たいケースに向いているかもと気づき、メッシュワークを試してみることにしました。手持ちの色は3色、ネットのカタログからRGB値を拾って色を合わせたものです。

鉄線編みのタブレットケース

平たい形状の場合、実際にベビーブロックも可能ということが確認できました。
縁は裏に折り込みました。中も同じ模様です。

鉄線編みのタブレットケースの中

フェルトほど厚くはないけれど、タブレットなどを入れるのにちょうどいいクッションです。

型紙に貼り付けたまま、折って台紙にすればいいということがわかりましたので、今回は、最初からそのための切り込みを入れました。

編みひもにはフェルトと同様、ひも通しを使いました。今回は最後にまとめて始末しましたが、編みながら貼り付けていったのでよさそうです。

データです。

「ひらりカラー」の設定ファイルもつけておきます。

スタッキング・ボックス

紙バンドでつながる仲間たち「なないろnaクラフト」の第11回作品展示会が開催されます。

  • 日時 2024年6月28日(金)~30日(日) 11:00~17:00(最終日は15時まで)
  • 場所 BUNROKU(文禄堤薩摩英国館) 大阪府守口市本町2-4-15

こちらに、ずっと以前に作った作品ですが、展示させていただくことにしました。最初に作ったアプリCraftBandMeshで、紙バンドのいろいろな編み方を試しながら、テストしていた頃のものです。

その頃の拙い作品ですが、展示させていただけたら記念になるかなと思いました。片づけてあったのを取り出し、改めて積み上げてみました。

スタッキング・ボックス

またこの機会に、紙バンドを使われている皆さんに、アプリについてもご意見を伺えればとお願いしたところ、デモのお時間をいただけることになりました。ご興味のある方個別に、CraftBandMeshシリーズいずれでも、動作しているところを見ていただければと思います。

  • 6月29日(土) 15:00~17:00 上記会場の片隅にて

パソコン持参で待機予定です。お待ちしています。

3軸織・Dancing Stars模様のポシェット

フェルトのメッシュワークでもうひとつ、ポシェットを作ってみました。3層の厚手は、スマホを入れるのにいいかも、と思ったからです。

3軸織・Dancing Stars模様のポシェット

今回は、脇に縫い目があるので、裏地をつけて、そのまま表に返して縁にしました。

3軸織・Dancing Stars模様のポシェット

模様のdancing stars (踊る星) は、先の文献

「HEX WEAVE & MAD WEAVE」An Introduction to Triaxial Weaving,
Elizabeth Lang-Harris & Charlene St. John, 2014, Schiffer Publishing ,
ISBN: 978-0-7643-4465-7

81~82ページに掲載されています。3色6本の繰り返しです。CraftBandHexagon位置合わせに対応させると:

位置横ひも斜め60度斜め120度
-3C色B色C色
-2C色B色C色
-1A色A色A色
+1A色A色A色
+2B色C色B色
+3B色C色B色

横ひも数ゼロそのままのポーチでは作れる模様に制限があることがわかったので、上側面のみを使ったのです。これで、左右対称・上下対称も不要、どんな組み合わせにも作れます。こんな感じ。

すべて型紙に貼り付けて作れたため、先よりは少し模様のサイズが揃いました。布はPPバンドより間を通しやすく、この細かさの模様がそう手間もかからずに、縫わずに作れるというのは価値ありかもしれません。

データです。側面の上半分が dancing stars の模様になっています。バンドの種類、フェルトは先と同じです。

フェルトのメッシュワークのポーチ

V1.8.4で追加された機能のひとつに、CraftBahdHexagonの横ひも数ゼロ(issue#62)、があります。この機能を使って、ポーチを作ってみました。

フェルトのメッシュワークのポーチ

手許にフェルトがあったので、細くカットして使いました。でも、幅10ミリだと結構伸びるのです。そして、その分細くなる。とりあえず、12ミリほどにカットしたものを、10ミリ幅で使ってみましたが、そもそもアバウトなところに、引っ張り加減で幅が変わっているものですから、手作り感満載。。それに、3層フェルトですから、分厚い。

でも、作ってみてわかったのは、模様に制限があるということ。裏と表、同じ模様にしようとすると、斜めひもは左右対称、側面の編みひもも上側面・下側面対称という条件になるのです。シックススター2色など先に作ったかごバッグと同様ですが、横ひもがないのでベビーブロックはいけそうです。

このポーチはシックススター2色ですが、中に1点だけ黄色の星を入れてみました。

フェルトのメッシュワークのポーチの内側

型紙に、まず両面テープで斜めひも2組を貼り付け(左下写真) 、つぎに、そのまま型紙を折って台紙にした状態で斜めひもを連続させ、図を見ながら側面を編みこみました(右下写真)。


データです。

「フェルト(1幅1ミリ)」を追加してデータを作りましたので、これも添付しておきます。

六つ目四角かごの数学理論

「はまぐりの数学」というサイトがあります。「社会や自然と数学のつながりを探る」というコンセプトのもと、自然や生物、身の回りの事象など様々なテーマについて、代数・解析・幾何といった数学的手法に加え、目に見える・触れる現物を作ることで、生徒にもわかりやすく優しく説明されています。
中の「籠目(カゴメ)編みとフラーレン」というページでは、六つ目(籠目)編みを使って、四面体・八面体・十二面体・二十面体、さらには凹凸や穴のある立体まで、様々な立体を実際に編んで作りながら分析されています。

鉄線編みのかごを試作していて、よくできた編み方だなぁと思うと同時に、どんな仕組みでできているのだろうと思うようになりました。そこで、はまぐりの先生に、鉄線編みについても、数学的な見地から分析していただけませんか、とお尋ねしてみました。

籠目編みとの関連性はすぐにご理解いただき、早速、とりかかっていただけることになりました。「かご」で普通に思い浮かぶのは直方体ですから、まず検討されたのが四角い かご、いわゆる「六つ目四角かご」です。それがこちらのページです。

「籠目編みで正八面体を作る」~オイラーの多面体定理の応用における理論と実践~

ここから「六つ目四角かご」の底の立ち上げ方について、結果のみを取り出してみました。

まず、普通の六つ目のかご。3方向に組んだ六角形の底を、ひごに平行に、六角形に立ち上げます。すると、立ち上げた各角、六ヶ所に五角形が作られます。この五角形を「⑤」として図示しました。左右は同じですので、左側半分だけマークしています。

「六つ目四角かご」は、四角底ですから、底には四か所の角が作られればよい。そのためには、角を二つ(片側につきひとつ)減らす。それには五角形と七角形を組み合わせる。理論上の条件は、

(五角形の数) - (七角形の数) = 6 (片側については3・六角形はノーカウント)

下図、縦のひごはそのままとし、横のひごで調整する例です。
左側が最小で横のひご4本。ひごは、2本ずつ増やすことができますので、6本、8本と増やした例を並べました。( 同様に、⑤が五角形、⑦が七角形です)

この数で五角形と七角形を組み合わせれば、六角形の底を四角形にできるのです。上述のページでは、PPバンドで実際に立体を作って、可能であることを実証されています。

四角の底のかごは、六角形に立ち上げるかごとは違う作り方をする別もののように思っていたのですが、この結果を見て、多角形の組み合わせであり地続きだということがわかりました。

数学ってすごい。はまぐりの先生、ありがとうございました。

V1.8.4 リリース

#issue対応、CraftBandHexagon に差しひも機能を追加しました。ベースのひもに対してうら/おもてが指定できますが、CraftBandSquareでも同様な指定を可能にしました。

例えば、底の横ひも間に幅広のひもを差したり

華模様の位置や色を確認したりできます。

CraftBandSquareでは、角の差しひもは長くしないなどの調整を行っていますが、CraftBandHexagonは今のところそのままの長さです。使ってみて、不都合があるようなら対応したいと思います。

ダウンロードはこちら。

Release v1.8.4 のリリース

PPバンド・麻の葉(単方向)のかご

PPバンドでも、織りタイプ「麻の葉(単方向)」を設定したかごを作ってみました。

「ひも中心合わせ」で、底の六角形の角は、先にはカットして減らしましたが、こんどは増やしてみました。「クロスひも」で底の対角線に置く補強ひもを指定できますが、それに側面分の長さをプラスしたものを、対角線位置のひもに重ねて編みました。PPバンドには接着剤が使えないからです。

ひもを増やしたので、上端・下端、斜め左端・右端 2 とし、周を少し大きくしました。

底の角は図のようには折れないのに、そこに更に、重なった2枚を2方向に分けようというのです。かごになるのでしょうか。

ということで、できたのがこちら。

対角線位置の3本が2本重ねです。角の立ち上げに無理矢理感がありますが、全体としては、意外と形になってるって感じです。

側面は、図には従わず、全て同じ方向に揃えました。

最近鉄線編みが続いたので、それに比べると頼りない感じですが、2つ飛び網代編みよりは、かなりしっかりしています。使ったバンドは、鉄線編みだと約23mのところ、似たようなサイズで約15mですから、使用量並みと言えましょう。

データです。

麻の葉(単方向)のかご

織りタイプ「麻の葉(単方向)」を設定したかごを作ってみました。

「ひも中心合わせ」ですので、目は六角形ではなく三角形です。
底の六角形の角にひもが来るのですが、1本しかないため、側面を編むときには1本増やして2本にするか、カットしてゼロにするか、になります。今回はカットを選びました。側面周比率対底は1.03でので、何とか収まるでしょう。

もとにした編み図はこんなです。方向性がわかりやすいように、横方向を白色にしました。

試作かご・その1
底、側面とも図の通りに編んでみました。2側面が垂直方向に交差する辺で、編み方が変わっています。その交差する辺を前面にした位置からの写真です。


試作かご・その2
底は図の通りですが、斜め方向の4側面については、底から立ち上げた辺で編み方を変えました。6側面全て、同じ方向に揃えました。ひもの色が変わっても編み目が続いているのがわかるでしょうか。

麻の葉(単方向)のかご・その2

並べてみました。展開図では、上側面・底・下側面は同じ編み目が続いていますから、この同方向から見ると同じように見えます。

左がその1・右がその2

高さもあまりないし、編み目より色の違いの方が目につきますが、揃っているその2のかごの方がいい感じです。そして、その2の方が、ずっと編みやすいのです。側面ごとの切り替えなどど考えずに、そのまま続ける方が簡単でした。

「ひも中心合わせ」だと、底の角のひもの本数も問題ですが、立ち上げ位置も、ひもの真ん中(長さ方向の中心)になりますので、作り方に工夫が必要になってきます。ですので、編み図についても、そのままというより、参考図レベルで使っていただければよいかと思います。

データをつけておきます。共通です。