長桝網代編みのかご(上の四角)
先と同じ長桝網代編みの底で、上の四角で立ち上げるとどうなるでしょう。
立ち上げ位置を、先の同じ図に追記してみました。先に作ったのが赤の線(下の四角)そして、上の四角が緑の線です。
ひも数を増やし、全体を大きくしたため、横の四角数16、縦の四角数34、縦ひも・横ひもが各50本となりました。

できたかごがこちら。

下の四角も、上の四角も、底の辺は長方形の角を繋げた線で出来ています。そのため、位置も確実にとれますし、同じ様に作ることができました。
底から見て「上の四角」の位置で立ち上げているのがわかるでしょうか。

編み図です。

CraftBandSquare45のデータです。
3つ飛び網代編みの立ち上げ位置
CraftBandSquare45は、縦ひも・横ひもに対して45度で底の辺を作り、辺で折って立ち上げ、側面にするタイプです。
3つ飛び網代編みは、3つの四角で作られた1×3の長方形が、1つずつずれた模様です。この長方形と立ち上げ位置(底の辺)との関係は、ラインに沿って折る場合は次の6つのいずれかになります。上下の2本を同時に折るからです。

この6パターンを個別に取り出すと、次のようになります。

横線が立ち上げ線です。底を下とし、立ち上げた側面を上とします。長方形に含まれる3つの四角を、それぞれの位置、下・中・上で識別します。45度ですから、各四角の対角線になります。並びの方向は、右向きと左向きがあります。
この6パターンのうち、AかBかCか、もしくは aかbか、については、四角の位置が異なりますから、ひもの数やサイズが変わります。でも、Aとa・Bとb・Cとcについては変わりません。
網代編みは、全面、2枚のバンドが上下に重なっています。3つ飛びの場合は、その2枚が3本ごとに交差して入れ替わります。編み図は上側にあるひもの状態を示していますが、その下にはひもが隠れているのです。下側のひもの一部を点線で示してみました。

上のひもと下のひもは90度で交差しています。交差位置は上下とも同じですから、底の辺に対する上の四角・中の四角・下の四角の位置は、上のひもと下のひもで同じになります。
全体の上と下を入れ替える、という操作をすれば、Aとa・Bとb・Cとcを入れ替えることができます。そしてこの操作は、ひもの数やサイズは同じままで行うことができます。

つまり、立ち上げ位置を決めるにあたっては、上の四角・中の四角・下の四角のどこに位置するのかは、ひもの数やサイズが変わるので重要。でも、右向き/左向きについてはあまり考慮しなくてよい(ひもの数やサイズを変えずにいつでも交換できるから)ということです。
では、先に作った長桝網代編みのかご、立ち上げ位置はどこだったでしょうか。
示されていた位置の図、左上部分を拡大して、見てみましょう。

右下が底、左上が側面ですから、赤と青、2つの底位置は、いずれも「下の四角」になっています。
では、同じ長桝編みの底に対して、「上の四角」「中の四角」で立ち上げることは可能なのでしょうか。やってみましょう。
長桝網代編みのかご
名称 | 長桝 網代 編み |
名称(読み) | ながます あじろ あみ |
模様タイプ | 中心2点の4分割 |
単位 | 中心2点間・各領域は3つ飛び |
バンド幅 | |
色 | |
飛び数 | 1,3,5 |
対称性 | 半回転 |
備考 |
底に使われる「長桝網代編み」ですが、その具体的な作り方が書かれている文献がありました。
『竹細工 増補改訂版』田中瑞波、メイツ出版、2023
です。「PART6 お気に入りの竹かごをつくる」では、“お手製の弁当箱でごはんがもっと美味しくなる”というタイトルで、111~120ページに、本体と蓋、ともに長桝網代編みの作り方が詳細に説明されています。竹ひごを縦に7本並べるところからスタートして、横にひごを差していき、縦横46本ずつになるまで24ステップ。
ここから本体部分を読み取ったのが以下の図です。本体は幅4ミリの竹ひごで作るとのことでしたので、
- バンドの種類に15本幅15ミリとした「竹ひご(1幅1ミリ)」を追加
- 基本のひも幅を、4本幅(=4mm)
とし、CraftBandSquareの底のデータとして作りました。縦ひも・横ひもとも46本とした底のデータです。

そして、この編み方から立ち上げ可能な位置として示されているのが2か所。幅狭の方を青線、幅広の方を赤線で示しています。縦横の四角数で数えると、各、11×35と14×32です。
文献で製作しているのは幅広(赤)の方ですので、それを、4本幅のクラフトバンド/紙バンドで作ってみました。
斜めに立ち上げて作るタイプは、CraftBandSquare45 です。横の四角数を14・縦の四角数を32としました。Ver1.7で底の[ひも上下]に対応しましたので、縦横を展開し、[ひも上下]のサイズを46×46として、上のデータをコピー&貼り付けました。
縦横がわかりやすいよう、交色で作りました。もとが4ミリの竹ひごのところが、4本幅5.3ミリで作りましたので、全体的なサイズも大きくなりました。高さの四角数は7.5、縁は「カットして縁ひもを貼る(厚さ2重)」です。

底から見たところです。

CraftBandSquare45 による底の編み図です。

CraftBandSquare45で作ったデータです。
最初に作った、CraftBandSquareのデータもつけておきます。設定データのエクスボートもつけておきますので、インポートしていただくと、バンドの種類に追加した「竹ひご(1幅1ミリ)」が使えるようになります。
ボックスに便利な金具
色々な網代編みを再現してきましたが、あまり手間はかけず・でも実用できるように、ということで主にボックスにしてきました。編むのは模様だけ、持ち手や縁飾りも無し。
ボックスですから使う場合は床や机や棚に置くしかなかったのですが、手許にあったこんな金具が意外に役立つことがわかりました。

輪を棒に通すタイプのカーテン取付金具です。布をしっかり挟み込めるよう、先がギザギザのクリップがついています。このクリップが、ボックスの縁のバンドを挟むのに具合がいいのです。
小さいかごなら壁掛けしたり、両側に2個とりつけて持ち手のようにしたり。付け外しも簡単ですから、用途に応じて数や位置を変えることができます。

残っているかごを並べてみました。かご屋さんみたいでしょ♡
変形桝網代編み2のボックス
名称 | 変形桝 網代 編み 2 |
名称(読み) | へんけいます あじろ あみ 2 |
模様タイプ | 単位の繰り返し |
単位 | 18 × 20 |
バンド幅 | |
色 | |
飛び数 | 1,3,5 |
対称性 | 水平線,垂直線,半回転 |
備考 |
佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。
2行目の「変形 桝 網代 2」をボックスに作ってみました。
単位は18×20ですが、2種類の桝が並んで見えるよう各側面2単位ベース、対称にするため横ひもをマイナス1、縦ひもと編みひもをプラス1としました。単位が大きいため4本幅をベースにしました。

底も同じ模様です。

編み図です。

データです。CraftBandSquare で開くと、底と側面、それぞれ模様の1単位が入っています。
元禄模様網代編みのボックス
名称 | 元禄模様 網代 編み |
名称(読み) | げんろくもようあじろ あみ |
模様タイプ | 単位の繰り返し |
単位 | 10 × 10 |
バンド幅 | |
色 | |
飛び数 | 0,2,3,7 |
対称性 | 水平線,垂直線,半回転 |
備考 |
佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。
3行目の「元禄模様」をボックスに作ってみました。ただし、元図は模様部分3本・あいだ2本を重ねていますが、重ねるのではなくその本数分の幅で作りました。つまり、
- ベースは4本幅
- 2本重ねは8本幅
- 3本重ねは12本幅
という訳です。

元図データの[ひも上下]はこんなです。

[チェック]ボタンをクリックすると「列1,5,6,10を確認してください」という警告が出てきます。行/列に1点も交差がない場合の警告です。編んで固定できないため、ボンドで貼り合わせて作りました。
内側から見るとこんなです。縦・横・底に、交差のないバンドがあります。飛び数ゼロはこのことを示しています。

元図の編み図はこんなです。

データです。同じ幅で作ったものと、幅を変えて作ったもの2点をつけておきます。
市松模様網代編みのボックス
名称 | 市松模様 網代 編み |
名称(読み) | いちまつもよう あじろ あみ |
模様タイプ | 単位の繰り返し |
単位 | 6 × 6 |
バンド幅 | |
色 | 水平A色 垂直B色 |
飛び数 | 3 |
対称性 | 水平線,垂直線,半回転 |
備考 |
佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。
2行目の「市松模様」をボックスに作ってみました。ただし、元図は各3本を重ねた6×6ですが、作ったのは2本を重ねた4×4です。クラフトバンド/紙バンドの場合、もとが細いひもを12本貼り合わせていますから、8本幅3本と、12本幅2本は同じになるはず、という理屈です。

底も同じ模様です。

すき間なく並べられた箇所もありますが、空いてしまった箇所もあり、2本で出来ているというのが明白です…が、3本のつもりということにしてください。
編み図です。

データです。8本幅3本版と、12本幅2本版の2点をつけておきます。
斜め網代編みの底の生成
以前、斜め網代編みの底の組み方について検討しました。
そして、とりあえずシンプルなルール
「底の中央線で4分割し、各、接している側面の塗り方をそのまま延長」
で作れそう、ということで試してみました。
手作業で、図に色を塗って、それを編み図にしたのです。
シリーズ最新版、V1.7.0では、この“塗り方”が、アプリ上で簡単に生成できるようになりました。試しに、先に色塗りした3点のパターンを生成させてみましょう。
[縦横の四角]の設定はいずれも、垂直1・底に1となります。

まず、15-7のパターンです。四角数に15と7を設定します。先にならって、縦ひもを赤にしました。

次は11-8です。同様に四角数を設定します。プレビュー図で見ると、縦と横がわかりやすいです。

次は9-9です。正方形の例です。

1分で塗れるとしても、ワンクリックの方が簡単です。データにも残ります。
そして、最後の9-9、こんな設定もありだと思います。


中心部分が、1×1ではなく2になっているので、作りやすいと思います。
2つ飛びの場合の「四方網代」はこちらが正式なのではないかと思います。
なお、同じデータで四角数を変えた場合、[ひも上下]のサイズは自動的には変わりません。作りたければ都度[合わせる]ボタンをクリックしてください。生成パターンはあくまでお試し値ですし、合わせずに違うサイズで作ってもよいのです。編集して模様を作ったとしたら、編集結果が優先ですから。
V1.7.0 リリース
CraftBandSquare45 の底の「ひも上下」編集( issue#37)対応を行ったバージョンをリリースしました。CraftBandSquareと合わせて「ひも上下」編集画面でのコンテキストメニューを強化し、パターンを作りやすくしました。
公開はこちら
Release v1.7.0.0のリリース
「ひも上下」タブの表示
CraftBandSquare45の初期状態では[ひも上下]タブは表示されません。プレビュー画像も従来同様です。
[四角数]タブで「縦横を展開する」のチェックをONにすると、[横ひも][縦ひも]と合わせて[ひも上下]のタブが表示されます。プレビュー画像も、[ひも上下]を反映したものに変わります。

底に合わせたサイズで編集
[ひも上下]タブの初期値は平編みです。CraftBandSquareと同様、指定のサイズでパターンを作ると繰り返し適用されます。
「縦横の四角」の[合わせる]ボタンをクリックすることで、繰り返しではなく、現在の縦横の四角数で作られる底のサイズに変更することができます。

「垂直に」「底に」ともゼロにした場合は、底の辺のみにチェックが入った状態になります。底のサイズで編集する時にはチェックの色が少し変わり、底であることがわかりやすくなっています。

底の初期値を生成
「縦横の四角」では次のような指定ができます。
- 横の辺 … 左上と右下の辺(横の四角数に対応)のチェックの状態(※)
- 垂直に… 底の辺から開始して、(※)の状態を上方向に何点連続させるか
- 底に…底の辺の下、底側に(※)の状態を何点連続させるか
(「垂直に」で設定した値+「底に」で設定した値 ) が、ON および OFFの連続数になります。
例えば、「横の辺」をON、「垂直に」を3、「底に」を0にすると下図のようになります。

プレビュー図はこんな感じです。

[ひも上下]編集画面でのコンテキストメニュー
[ひも上下]編集画面上で右クリックすると、コンテキストメニューが表示されます。従来はコピー・切り取り・貼り付け・削除だけでしたが、ここに、各セルの選択状態を変更できるメニューを追加しました。
斜めに選択できるようになりましたので、特に網代系のパターンは、編集しやすくなったと思います。

中心5網代編みのボックス
名称 | 中心5 網代 編み |
名称(読み) | ちゅうしん5あじろ あみ |
模様タイプ | 単位の繰り返し |
単位 | 14 × 14 |
バンド幅 | |
色 | |
飛び数 | 1,2,3,5 |
対称性 | 水平線,垂直線,半回転 |
備考 |
佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。
1行目の「中心5」をボックスに作ってみました。

単位が14×14で2模様28本ですが、中心に対して対称にするため、横ひも27本・縦ひも29本です。飛び数に2が出てきます。中心の5を5だけで作れば1,3,5ですが、真ん中に点を置いたため2が加わっています。
底も同じ模様です。

編み図です。

データです。底・側面とも、各1単位が入っています。