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CraftBandSquareで作成

波網代の立ち上げ

波網代で、繰り返しの1単位をどう作るかについては、幅と並び・編み目など、いろいろ試せるようになったと思います。では、それでできた単位を、かごやバッグなどの立体に適用するには、どうしたらよいのでしょうか。

テストにはCraftBandSquareを使い、縦ひも×横ひもで底に模様を作りました。平面であれば完成ですが、立体的なかごを作るのであれば、作成した単位を側面に配置する必要があります。側面への配置を、このアプリと、四角のかごをつくるもうひとつのアプリ、CraftBandSquare45でみてみましょう。

Square

底に対して垂直に立ち上げる場合は、側面の模様は、縦ひも×側面の編みひも、および横ひも×側面の編みひもに、単位を持たせることになります。

CraftBandSquareは、[ひも上下]でセットする編み目は、底・側面(上・右)・側面(下・左)で別々に入力できますし、上・右、下・左についても実質個別扱いできますから、単位vs.ひもの本数を適切に合わせれば、模様の配置はそう難しくないでしょう。側面のつながりは[プレビュー2]で見られますし、一時保存しておいて、試してダメなら戻せばよいのです。

試しに、幅と並びの例の最後にある幅の並び、

1,1,2,2,2,3,4,6,9,9,6,4,3,2,2,2,1,1

を、側面にも作ってみました。縦・横・側面の3方向で少し色を変えて作った[プレビュー]図はこんなです。

[プレビュー2]で側面をつなげたモデルです。


CraftBandSquareでは縦と横は独立(おなじバンドが続くという制約はありますが)ですから、方向ごと並びを変えることも可能です。例えば、先のページの右側の図、片側は等幅というパターンを側面に作ると、こうなります。

垂直方向となる縦ひも・横ひもともに等幅にしたので、底は波ではない普通の網代になりました。幅変更に伴うサイズ変更をどう扱うかは考えどころですが、各面・各方向、それぞれに単位を組み合わせればよい、というのがCraftBandSquareで立ち上げる時のデータの作り方といえましょう。

Square45

斜めに立ち上げるCraftBandSquare45 ではどうでしょう。まず、幅の変更について、確認しておきましょう。

波網代に限らず、底の縦ひも・横ひものいずれかの幅を変更した場合、箱状に立ち上げるためには「底が長方形になること」という条件がつきます。

例えば、横の四角数10個・縦の四角数5個とし、基本のひも幅は5本幅としましょう。縦ひもと横ひもの数はともに10+5の15本になります。縦横を展開し、横ひものうち3本だけを15本幅にしてみると、プレビュー図はこんなになります。

ステイタスバーには長方形にならない、という警告が表示されています(赤の矢印)。横ひもだけ幅広にしたのですから、当然ですね。つまり、立ち上げて直方体形状にするには、底は、長方形に作る必要がある、ということです。

長方形ということは、相対する短辺同士・長辺同士の長さ、つまりそれらの辺を構成するひもの幅を加えた長さが同じでなくてはなりません。

つまり、こうです。

  • 縦ひもの上から、横の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、横の四角数の本数ぶん

これら4点については、ひもの本幅数を足し合わせた長さは、全て同じであること。
同様に、

  • 縦ひもの上から、縦の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、縦の四角数の本数ぶん

の本幅数を足し合わせた長さも、全て同じである必要があります。ひもの本幅数は、個別に・任意に変更することはできますが、この条件を満たした幅にしないと、立ち上げられない、ということです。アプリでは、プレビュー2の表示ができません。

※縦ひもと横ひもの本数が異なるケースについては、アプリの設定対象外とします。もしそのようにしたければ、2本寄せや3本寄せのように、実質1本だけれどデータ上は2本(3本)などとして入力することで、本数を合わせてください。


次に、側面を見てみましょう。
下図は、底のバンドがどのように組み合わされて側面になるか、を示したものです。

簡単に言えば、それぞれの側面は、縦ひもと横ひもが交互、かつ正順・逆順入れ替わりつつ重なって作られるということです。Squareは縦・横・側面が独立ですが、Square45では入り混じるのです。

そのため、繰り返しパターンを作るのであれば、その単位は縦横同じとなる正方形に限られ、その並びは、中心に対して両側に対称でなくてはなりません。そして、縦の四角・横の四角ともに、単位の整数倍でなければなりません。以前「PPバンドの斜め組み編みの模様」という記事で、作例から導き出した条件ですが、その裏付けとなるのが上図と言えましょう。

立ち上げには底が長方形という条件があったと同様、縁が水平、つまり直方体形状を作るためには、側面も長方形である必要があります。側面に積みあがるバンドを加えた高さが、4側面各2方向すべて同じということです。

高さの四角数で指定する、どんな数値に対しても同じ高さになるためには、4側面各2方向に、同じ幅のバンドが同順で積みあがる必要があります。その条件もまた、中心に対して両側に対称な並びの単位でできていること、となります。

つまり、幅変更を伴う時に、どんな高さでも直方体形状にするには、本幅は上記繰り返し条件を満たすように並べなければならない、ということです。これは、底が長方形になるための十分条件でもあります。

単位の高さの倍数など特定の高さに対してだけなら、もう少し条件は緩くなるでしょうけれど、倍数や約数を組み合わせるなど、対称に作るより難しそうです。特定の全体サイズに合わせた、繰り返しではない模様の方が作りやすいかもしれません。


ということで、波網代模様を斜めに立ち上げる場合は、

  • ひとつの単位は、中心の両側に、本幅が対称に並んでいること
  • 横の四角は、単位の整数倍で作られていること
  • 縦の四角は、単位の整数倍で作られていること

が、わかりやすい十分条件です。繰り返しの単位ですから、起点を縦ひも・横ひもの各1本目とすれば、縦ひも・横ひもともに同じ並びが繰り返され、四角数位置が単位の区切りと一致するように作ればよいということです。

色を組み合わせる場合は、幅とセットの並びになります。波網代との組み合わせで模様が作られる典型例、鶴網代でみてみましょう

メッシュワーク・紙織り#69516

手織りの情報サイト https://www.handweaving.net/ から、模様 #69516です。

Handweaving.net: Weaving Draft Tieup: Pg-113-No-51, Threading: p113-51, Mušterske bukve Jožef Bernik, Slovenia, 1878, #69516

もうひとつ、ペーパークラフトを試してみました。A5に収まるサイズ、3ミリ幅です。緑色の画用紙に、細く切った折り紙を差し込んだのは先と同じ。でも、セットに1枚しか入っていない、貴重な金色です。プリントアウトでは無理でしょう。紙バンドのフレームもつけました。

裏側に画像を印刷し、裏側を上にして差し込みました。正しく差せれば黄色のボックスは折り紙の下に隠れます。

CraftBandSquare のデータです。[ひも上下]には、模様の1単位、46×46が入っています。飛び数の最大は5なので、かごにも使えるかもしれません。

バンドの種類は、同じく「汎用(1幅1ミリ)」を使っています。必要であれば、先の設定ファイルをインポートしてください。

メッシュワーク・紙織り#68201

手織りの情報サイト https://www.handweaving.net/ から、模様 #68201です。

Handweaving.net: Weaving Draft Tieup: p25-1-Nro-41, Threading: p1-1-(point), Treadling: p1-1-(point), Modelbuch for Tobias Arnold, Germany/USA?, 1825, #68201

飛び数の最大が10なので、PPバンドはもとよりクラフトバンド/紙バンドでも難しそうですが、ペーパークラフトならいけるかな?ということで、試してみました。

A4の白画用紙に「うら」の画像を印刷しました。下の図です。余白を残して縦線をスリット状にカットし、5ミリ幅に切った折り紙を差し込みました。今まで、バンドを編むときは、編み図を見ながらだったのですが、この場合は不要でした。印刷した絵が、そのまま図案になっているからです。

薄い紙なので、すき間ゼロの5ミリ方眼に作ったのですが、平編みが続く箇所は詰め切れず、所々、5ミリより少し狭くして調整しました。不均一だし、もっと丁寧にきちんと測って作らないとダメか、、と思いつつ作業していたところ、

「なんでそんな面倒な。カラープリントすればいいだけじゃん」

とのコメントが。いやいやいや、この不均一さこそがハンドメイドの味でしょ、印刷では作れませんから!

5メートルくらい離れて見れば、色もきれいだしね。額装まではしませんが、A4のカードケースに入れました。

CraftBandSquare のデータです。[ひも上下]には、模様の1単位、46×46が入っています。

バンドの種類として「汎用(1幅1ミリ)」を使いましたので、これも添付しておきます。

『パソコンを使ってメッシュワークの模様をデザインしよう』令和6年度後期りぶら講座のお知らせ

フリーソフト「CraftBandMeshシリーズ」を使って、メッシュワークの模様をデザインしましょう。バンドを編んで作る“かご”のソフトを、高さを指定せず平面に適用することで、多彩な模様を簡単に作成することができます。

素材の幅や色は任意に登録できますので、縦・横2軸、横・斜め60度・120度の3軸で、編み目と組み合わせた様々な模様を作ってみましょう。

各自のパソコンにソフトをインストールして基本操作を学びます。作成した画像は、印刷すれば台紙や型紙になります。ソフトや作成したデータは、そのまま持ち帰って活用できます。

講座名令和6年度後期りぶら講座
「パソコンを使ってメッシュワークの模様をデザインしよう」
日時2025年1月13日(月・祝) 13:30~15:00
会場図書館交流プラザ りぶら 会議室103
受講料
教材費
無料 
定員20名 どなたでも参加可。当日空席があれば参加可。
持ち物Windowsパソコンをご持参ください。
ソフトをインストールして各自演習します。ペア参加(2人で1台)も可能です。
(事前インストールしていただくと効率的)
申込期限2025年1月4日(土)
申込方法りぶら講座ホームページhttps://www.libra-kouza.com/から申し込み
もしくは図書館交流プラザにある申込書をりぶらサポータークラブ事務局に提出
連絡先講座内容に関するお問い合わせはこちら。もしくはお問い合わせより。
申し込みに関してはりぶらサポータークラブ事務局へ。

「メッシュワーク」の試作例はこちら

配布チラシ画像

チラシ表面
チラシ裏面

講習内容

1. インストールと共通操作

ネットからダウンロードしてソフトをインストールし、使える状態にしましょう。
今回は、5点のうち3点のソフトを使用します。基本的な画面構成、共通の基本的な操作を知りましょう。

2. 2軸・CraftBandSquare(45)

縦と横、2方向の組み合わせです。それぞれの本数を設定し、幅・色を個別に指定して、どんな模様になるか見てみましょう。繰り返しや色の変更も簡単です。更に、編み目の変化を加えてみましょう。 バンドを斜め45度に配置した模様も作ってみましょう。

3. 3軸・CraftBandHexagon

60度ごと3方向に組み合わせます。3方向それぞれ、色や幅が指定できます。 画像では、おもて・うらや、方向ごとの表示の有無を指定できますので、製作時に便利です。

4. 指定幅色の登録

バンドの種類を登録すると、正確な幅で作図できます。
任意の色(RGB値)に名前をつけて登録すると、その色が使えるようになります。

5. 質疑応答

ご質問、ご意見、ご要望、メッシュワークに限らず“かご”についても、何でもどうぞ。

Q&A

Q. 講習会に参加しないとソフトを使えないのですか?
A.  フリーソフトですから、公開されている情報をもとにご自分でパソコンにインストールされれば、いつでも、誰でも、使うことができます。
可能であれば、事前にインストールされることをお勧めします。

Q. 会場ではwifiは使えますか?
A.  フリーwifiがあります。メールアドレスの登録や制限時間での再接続など、各自の準備をお願いします。

Q. 何に使う模様をデザインするのですか?
A.  ペーパークラフトやパッチワーク手芸、リボン編みなどに応用できるでしょう。できた模様をパーツとして組み込み、ご自分の作品を作ってください。

Q. わざわざソフトを使う必要があるのでしょうか?
A.  数本程度を編むのであれば不要でしょうけれど、繰り返しや対称性、組み合わせの試行や配置、更に3軸となると、専用ソフトを使った方が便利でしょう。

Q. 何種類くらいの模様が扱えるのですか?
A.  網代模様などすぐに使えるひな型は数十種あります。数万種類が登録されたサイトもあります。オリジナルの編集もできますから、色や幅を組み合わせると、ほぼ無限大といえるでしょう。

Q. 曲線は扱えますか?
A.  素材として使えるのは、直線のバンド形状だけです。でも、幅を変えたバンドを組み合わせることで、曲線が浮かび出るような模様を作ることができます。

講座情報掲載

チラシのPDFはこちら

松皮菱網代編みのかご

名称松皮菱 網代 編み
名称(読み)まつかわびし あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位24 × 32
バンド幅
飛び数1,3,5,7
対称性水平線,垂直線
備考

『竹の工芸-近代における展開』長谷部満彦他,東京国立近代美術館,1985
110ページ, 編組見本,036

CraftBandSquareで、3色で作ってみました。外側から見た模様で、A4の書類が入るトレイです。

松皮菱網代編みのかご

内側です。

松皮菱網代編みのかごの内側

底は模様の繰り返しで、2単位が上下・左右に対称になるように配置しましたが、少し欠けています。上右・下左の各側面を底の模様の延長とするため横ひも+縦ひもの本数に展開したのですが、現上限が99本だからです。

プレビューの編み図

底と側面は続きますが、側面同士は不連続です。でも桝目の中心位置が揃っているので、縦と横が接する割には一体感がある..かな。色が違っていますけど。

プレビュー2の3Dモデル

データです。[ひも上下]には、底に模様の1単位が入っています。側面は、横ひも57本+縦ひも41本分に合わせていますが、高さは24本分のデータが入っています。

追記

[ひも上下]の側面のデータの作り方についてのご質問がありました。上には簡単な説明を書いていますが、下図を見ていただくと、ご理解いただけるでしょうか。