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ソフトウェアの説明書

『折りカラー編み(OriColorWeave)』斜め編みの底配置(2)

斜め編みで、縦横に色を切り替えた非対称のパターンですが、切り替え位置を反転(底の長方形を90度回転させることに相当)するとどうなるか、見てみました。

先と同様、横の四角数8・縦の四角数3、縦ひも・横ひもとも11本の配置パターンをリストアップしてみました。Aが紫,Bをイエローとして、交色から半分の5-6までの一式です。

縦ひも・横ひもとも2色を切り替えて配置し、縦横で色を反転した場合は、図から、

  • 折りカラー編みでクロスにできない切り替え位置がある
  • 可能なのは、同色本数のいずれかが縦の四角数(小さい方)以下の場合のみ
  • 高さは「同色本数の多い方/2」 [+(横の四角数+縦の四角数)の整数倍]で 0.5単位
  • 同色本数が共に縦の四角数(小さい方)を越える場合は、同色領域が分断され、折り返しラインは作られない

全体をクロスにできる配置では、最初にクロス領域・同色領域とも2箇所作られており、折り返しの高さ位置は先(1)と同じですが、

  • 色の切り替えの場合は、クロス領域・同色領域とも位置ごとサイズが変わる(1)
  • 色を切り替えて反転した場合は、同色領域は、縦の四角数の幅で作られる(2)

という違いがあります。

同じく、A3-B8 ・高さ4のパターンを試作してみました。

1.

同色の固定幅の間にクロス領域が作られています
※前と後ろの模様が異なります

2.

大きいクロス領域2箇所を、外側に折りカラー編みします
※逆でも可ですが外側の方処理しやすい為

3.

残り、単色領域から続く小さいクロス領域2箇所を、内側に折りカラー編みし、内側・外側の底で端の始末をします

4.

全体がクロスになりました
※底は、内側・外側とも、「底の中央線」まで差し込みました

試作したかごを比べると紫・ピンク(1)も紫・イエロー(2)も同じ高さ、底の模様も同じになりました。最初の底ひも配置も同じで、底の長方形がどちら向きか、の違いです。
交色ベースで作成したとしたら、(3+8)/2=5.5 ですから、この高さ4は作れなかったでしょう。

『折りカラー編み(OriColorWeave)』斜め編みの底配置(1)

斜め編みで外側・内側ともにクロスになる配置として、今まで交色ベースで試してきましたが、縦横に色を切り替えた非対称のパターンでも折り返しが可能です。

横の四角数8・縦の四角数3で、切り替え位置を縦横の四角数に合わせて作ってみた例です。

1.

前面と背面に、最小と最大のクロス領域が作られています
※前と後ろの模様が異なります

2.

大きい方のクロス領域を、外側に折りカラー編みして底で始末します
※逆でも可ですが外側の方処理しやすい為

3.

残りの小さい方のクロス領域を、内側に折りカラー編みします
※底の始末は内側を先にした方がよいかも

4.

全体がクロスになりました
※底は、外側・内側とも、「底の中央線」まで差し込みました


この例では、縦ひも・横ひもとも11本です。A,B2色で、Aが紫,Bがピンクとして、交色から半分の5-6までの配置パターンの組み合わせをリストアップすると、次の図のようになります。5-6に続く6-5以降は、縦横を入れ替えたものに相当しますので、配置パターンとしては全てになります。

縦ひも・横ひもを2色を切り替えて配置し、縦横で色を逆にした場合は、図から、

  • 切り替え位置によらず、折りカラー編みでクロスにすることは可能
  • 同色本数のいずれかが縦の四角数(小さい方)より小さければ、折り返し位置はクロス2箇所で、高さは 「同色本数の多い方/2」
  • 同色本数が共に縦の四角数(小さい方)以上であれば、折り返し位置はクロス1箇所で、高さは 「横の四角数(大きい方)/2」
  • 高さは 「横の四角数(大きい方)/2」~「(横の四角数+縦の四角数)/2」 [+(横の四角数+縦の四角数)の整数倍]で、0.5単位

交色から開始した場合より高さの調整範囲は狭くなりますが、小数点以下ゼロと0.5 が選べますし、前後非対称な位置を選ぶことができます。

試作例のデータです。A3-B8 ・高さ4のパターンです。

『折りカラー編み(OriColorWeave)』斜め編みの高さ

先稿で、折りカラー編みの適用例として縦横二色の斜め編みを説明しました。

最初に底をクロスに作る場合、作ることができる「かご」の高さは (縦+横)/2 の 倍数ですから、縦横の四角数が決まればほぼ決まります。最小値は、バッグとして不自然ではないバランスですので、十分使える値だと思いますが、高さを変えて作ることはできないのでしょうか。

実は、変えられるのです。実際、北欧風市松模様のかごは、式の半分の高さで作りました。そして更に、先に試した横の四角数4・縦の四角数3で、高さを変えて2個、作ってみました。

高さを変えた「折りカラー編み」

高さを変えるには、底のバンドの並びを変えます。並べた縦横の両端、ひとつ変えるごとに、高さがひとつずつ低くなります。

今の例では、(横の四角数+縦の四角数) / 2 である高さは3.5です。上の写真は、左が高さ2.5・右が高さ1.5で作りました。3.5と合わせて、3点のプレビュー図を並べてみましょう。

このように、折り返しの縁のラインを合わせてみると、クロス(格子模様)が同色のブロックに変わっていく位置を、順に底にしている、ということがわかります。

そして、先と合わせて4つのかごの底を並べてみると、こうなります。

折りカラー編みのかごの底

高さによらず、同じ模様が現れてくるのです。考えてみれば、底の辺は、すべて側面が同じドット模様になるバンドの並びで出来ているわけですから、中も同じになって然るべきなのでしょう。でも、最初に作る底が違うので、作ってみるまでわかりませんでした。

内側はこんなです。右の2点は、底が浅いので底までバンドを折り返し、その結果、底と同じ模様になりました。左の2点は、側面の下段でカットしているため最初のクロス(格子模様)が保持されています。

折りカラー編みのかごの内側

どの高さにおいても、左の2点のかごのように高さにプラス3.5で作ることは可能ですから、斜め編みでは、縦・横・高さは任意で、クロスに揃ったかごを折りカラー編みできる、と言えましょう。

上の2点のかごのデータをつけておきます。


側面全体をクロスにする時の バンドの配置ルール:

並べた縦横の両端、ひとつ変えるごとに高さがひとつずつ低くなる

については経験則で、数学的に証明[※]されたわけではありませんが、もうひとつのかごバッグ、横の四角数10・縦の四角数5の例でも同様、ということを示しておきます。

縦横2色のクロス

高さ 7.5 = (10+5)/2

端から1本、高さマイナス1

高さ 6.5 = (10+5)/2 – 1 (端から1本)

端から2本、高さマイナス2

高さ 5.5 = (10+5)/2 – 2 (端から2本)

端から3本、高さマイナス3

高さ 4.5 = (10+5)/2 – 3 (端から3本)

端から4本、高さマイナス4

高さ 3.5 = (10+5)/2 – 4 (端から4本)

『折りカラー編み(OriColorWeave)』とは

ここまで何点か「折りカラー編み」のかごを作ってきましたが、改めて、折りカラー編みとは何なのでしょう。ひとことで言うと、こうです。

バンドを折り返したときに現れる色を活かして 模様を作る編み方

この編み方の特徴は、裏表が同色のバンドを使用することにあります。折り返したバンドの裏面も、表面と変わらずに使うことができるため、意図的に模様の一部として取り入れることが可能になります。

従来、かごを編む際の模様づくりでは、主に表側のデザインのみが考慮されてきました。また、カットされたバンドの端は「縁」として処理する必要があり、折り返して処理する場合は、デザインに影響を与えないよう、次のような方法が取られてきました。

  • 同じ色のバンドに重ねる
  • 裏側に重ねる

折りカラー編みでは、この折り返し部分をデザインの一部として活かし、新たな模様を生み出します。

  • 折り返しによって、バンドの裏面を別の色のバンドに重ねることができる
  • 重ね方を工夫することで、色を変えることも、もとの色を残すことも選べる

このように、最初に作られた模様に「折り返し色」が加わることで、独自のデザインが完成するのが折りカラー編みの特徴です。

さらに、折りカラー編みでは、後から短いバンドを差し色として重ねるのではなく、底から伸びたバンドをそのまま使うため、強度が増し、縁の一体感が生まれます。

適用例

折りカラー編みの一番シンプルな適用例が、縦横二色の斜め編みです。すなわち、縦A色・横B色の二色で底を編み、斜め45度方向に折って立ち上げるパターンです。

底はA色とB色のクロスになっていますが、立ち上げた側面はクロスが崩れます。A色とB色が斜めに組み合わさり、A色B色のクロスだけでなく、A色同士・B色同士のブロック箇所が現れるのです。

折りカラー編みで、特定の高さで縁を作り、一部を外側(表側)に折り返すことで、A色同士・B色同士のブロックをクロスに戻し、外側の側面全体をクロス状態にすることができます。

更に、残り部分を内側(裏側)に折り返すことで、内側の側面もクロス状態にすることができます。そして、外側・内側の両面を折り返せば、側面全体が二重になった編地が作られます。

具体例で見てみましょう。

縁での折り返し

縁の折り返しタイプ

交差する2本が同色の場合(左図)は折り返しても色は変わりませんが、異なる2色が交差する場合は、色を変える(中図)ことも保持する(右図)こともできます。

斜め立ち上げと側面のバンド色

縦のバンドが白、横のバンドが紫で、平編みの例です。左図のように底を作り、黒枠線で示した位置を底として立ち上げて側面を編むと、右図のようになります。底はクロス(格子模様)ですが、側面には同色のブロックが現れます。

全バンドが交差する高さ位置

底を縦と横、別の2色のクロス(格子模様)にした場合、交差したバンドで作られる四角形を単位とすると、側面の高さが

(横の四角数 + 縦の四角数) / 2

定数倍の位置では、全てのバンドが2色の交差状態になります。

上図は、横の四角数4・縦の四角数3で平編みした時の展開図です。上の式に該当する高さの四角数、3.5・7・10.5・14 を例示しています。

折りカラー編み

全バンドが交差する高さ位置をにすると、折り返す時に、全バンドに対して、編み色を変えるかどうかを選ぶことができます。表側(外側)の模様についてであれば、

  • 色を変えるのであれば、外側に折り返す
  • 色を変えないのであれば、内側に折り返す

とすればよいのです。

そして、上図4つののライン、各、赤線と青線で示した部分(=クロス領域の対角線)は、同色ブロックの切り替わり箇所でもあります。なので、このライン上で、赤線ラインもしくは青線ラインのいずれかを外側に折り返せば、側面全てを2色のクロス(格子模様)に戻すことができます。

更に、裏側(内側)についても同じ状態になっており、は赤線ラインと青線ラインで分離していますから、外側に折り返した残りを内側に折り返すことで、内側も2色のクロス(格子模様)にすることができます。

[※]ただし、原理的に、底と側面の格子をすべて連続させることはできません。どこかで調整が必要ですが、位置は選べるので、それぞれのかごに適した場所にすればよいでしょう。

この例、横の四角数4・縦の四角数3で、小かごを作ってみました。高さの四角数7と3.5の2点です。

外側の方が重ね編みしやすいので、横の四角数4に対応した青線ラインで外側に折り返しました。内側にも折り返したのですが、高さ7の方は底まで手が届きにくく、下の方は妥協してしまいましたが。

CraftBandSquare45 のデータです。各、指定位置で折りカラー編みしてください。

輪弧の底編み図の作例

Ver1.8.11のCraftBandMeshを使って、輪弧の底編み図をいくつか作図させてみました。

[底(輪弧)]タブで、基本の数値として幅と本数、輪弧用の3点のパラメータを入力します。編み目の有無は、[プレビュー]タブの「底ひも」、上下なし・下上・上下の三択で、「連続数」の並びをその下・上の順に重ねる図を描きます。

図の色が抜けていたら、物理的には重なり得ない状態ということです。その場合は、以下、いずれかの調整を行ってください。

  • 内円の半径を大きくする
  • ひもの本数を減らす
  • ひも幅を狭くする(細いひもにする)
  • 連続数(飛び数)を大きくする

4すくい2おさえ、反時計回り

内部的な処理は一方向、ひも番号順にひもに垂直な角度ですので、反時計回りになります。中心左巻きがメジャーのようですので、下上として優先選択にしました。

ひも幅8本幅(8mm)本数20本
内円の半径80mm底部分の径200mm
上下の連続数4,2,4[プレビュー]の底ひも下上

3すくい2おさえ、時計回り

下上/上下を変えると中心が右巻きになります。

ひも幅8本幅(8mm)本数20本
内円の半径48mm底部分の径200mm
上下の連続数3,2,1,1,1,1[プレビュー]の底ひも上下

5本ごとの色

[底(縦横)]タブの「縦横を展開する」で、縦ひも個別に色が指定できるようになります。
5色の繰り返しを設定してみました。

ひも幅8本幅(8mm)本数30本
内円の半径80mm底部分の径200mm
上下の連続数4,2,2,2,2,2[プレビュー]の底ひも下上

細いひご60本

幅を細くして、本数を増やしてみました。

ひも幅3本幅(3mm)本数60本
内円の半径100mm底部分の径100mm
上下の連続数5,2,2,2,2,17[プレビュー]の底ひも下上

絵が描けても編めるとは限りませんが、描けなければ(白抜け箇所があれば)編めません。数値は簡単に変えられますから、描ける組み合わせになるよう調整してください。「輪弧長」として、その径に必要なひごの長さも表示されます。

なお、プレビュー図は編んだ結果に相当しますが、編む手順については

  • 反時計回りに置いていく/時計回りに置いていく
  • 下に重ねる(すくい・もぐり・under)→上に重ねる(おさえ・のせ・over) / 上に重ねる→下に重ねる

の組み合わせになるようです。2×2で手順は4種類、結果は右巻き/左巻きの2種類ですから、両方を同時に変えたら結果は同じになります。


八木澤竹芸ブログ -バンブーログ-」という竹工芸家の方のブログがあります。そのサイトの記事「輪口編み、輪弧編みと地域の編み方」に、中心右巻きになる手順・左巻きになる手順、両方について、ステップごとの写真とともに詳しく説明されています。そして、これら編み方は地域によって異なり

籠の編目を見れば、どこの地域で製作された籠なのか、分かる人には分かります。

なのだそうです。輪弧という発想自体は普遍で、右巻きも左巻きも難易度は変わらないということですよね。興味深いです。

八木澤様には記事へのリンクのご許可を頂いています。ありがとうございました。