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ソフトウェアの説明書

鶴網代のバッグのデザイン

CraftBandSquare45で鶴網代、つまりひもの本幅と色を変えた模様を全体に繰り返すには、どのようにデータを作ったらよいのでしょうか。先稿からは、

  1. バンドの単位を作る。色と幅の並びを、中央に対して対称にすること
  2. 横の四角数は、単位の整数倍にすること
  3. 縦の四角数は、単位の整数倍にすること
  4. 編み目(網代編み)の対応付けで、模様が決まる

過去例があります。「波網代の鶴模様のかご」です。上記条件がどうなっているか、見てみましょう。

1. バンドの単位は9点です。中央(0)に対して、何本幅、色、ともに対称な並びになっています。

位置-4-3-2-10+1+2+3+4
何本幅6幅4幅3幅2幅2幅2幅3幅4幅6幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル

2. 横の四角数は 27 です。9 × 3 ですから、単位の3倍です。
3. 縦の四角数は 27 です。9 × 3 ですから、単位の3倍です。
4. 編み目は、三つ飛び網代編み(6×6)です。 三つ飛び網代編みの3単位が、バンドの2単位に対応します。(6×3 = 9×2)

側面のプレビュー2図で、編み目とバンドを組み合わせた、繰り返し単位(18×18)を赤点線で囲ってみました。全体は、4種類の少し異なる鶴の連なりで構成されます。鶴の羽ばたきです。

ちなみに、全く同じ鶴の連なりにするのであれば、バンドの単位を6の倍数で作る必要があります。6・12・18…です。

縦と横の数を変えてみる

上の例は、縦と横の四角数が同じでした。同じバンドの単位を使って、縦と横の四角数を変えるとどうでしょうか。9の倍数ですから、縦と横、ともに9・18・27・36・45…から選ぶことになります。バッグを想定して、横の四角数45、縦の四角数18を選んでみましょう。

アプリの操作は、[四角数]のタブに、各45と18を入力します。縦横を展開して、[編集]メニューの[色の繰り返し]画面に9行追加し、「何本幅」と「色」にバンドの単位をセットして、[変更実行]すればOK。計算寸法も、幅変更を反映した数値になります。

高さの四角数は、縦と横の中間、27にしておきます。いくつでもよいのですが、これも倍数にしておくと、高さ方向の模様が揃うからです。

次は[ひも上下]で編み目を作ります。底は、三つ飛び長桝網代編みです。今は「開始高さ」も指定できますので、早見表に従って、

  • 「垂直に」2
  • 「底に」1
  • 「開始高さ」17 (高さ27で作りたいのですが、編集の上限が99のため)

として[合わせる]ボタンをクリックします。底部分を「長桝網代底の編み図生成」の手順に従って、入れ子の長方形に修正します。

[プレビュー2]で見てみましょう。開始高さが17なので、上角部分が編まれていませんが、他と同に編めばよいわけですから、凡その出来上がりは掴めるでしょう。

単位を変えてみる(点数)

同じ鶴の連なりになるような単位に変えてみましょう。バンドの単位は、6点では少なすぎるので、12点にします。

幅と色の並びを作ります。偶数ですが、同様に対称に作れます。仮に次のようにしてみました。

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅6幅6幅4幅3幅2幅2幅3幅4幅6幅6幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル

12の倍数ですから、横の四角数は36、縦の四角数は12としましょう。高さは中間の24にします。[ひも上下]も同様にして、

  • 「垂直に」2
  • 「底に」1
  • 「開始高さ」24 (この数であればフルに指定できます)

[合わせる]としてから長桝網代編みに修正します。プレビューで見てみます。

模様の単位が大きくなったので、柄も大きくなりました。三つ飛びに合わせたので、こんどは全て同じ鶴です。

単位を変えてみる(並び)

12点単位のフレームができました。これで、幅と色の並びを変えたときの模様の違いを、プレビューで簡単に比べることができます。

何点か、試してみましょう。

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅7幅6幅5幅4幅3幅3幅4幅5幅6幅7幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
直線状に変化させてみました


位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅6幅6幅6幅3幅3幅3幅3幅3幅3幅6幅6幅6幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
2種類だけで作ってみました


位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅6幅4幅4幅2幅2幅2幅2幅4幅4幅6幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
スリム化しました

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅2幅2幅4幅4幅6幅8幅8幅6幅4幅4幅2幅2幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
波の位置をシフトしました

最終的なデザインは、模様だけでなく、サイズ、作りやすさ、材料が効率的に使えるか、などの勘案になるでしょう。バッグですから、縁や持ち手のデザインも必要です。

なお、三つ飛び網代編みの編み目との位置関係は、底の三つ飛びラインに合わせると決まってしまうのですが、変えることもできます。[上下交換]すると鶴の方向が変わります。

12点単位の例、上の値とは少し異なりますが操作の参考にしてください。

波網代の立ち上げ

波網代で、繰り返しの1単位をどう作るかについては、幅と並び・編み目など、いろいろ試せるようになったと思います。では、それでできた単位を、かごやバッグなどの立体に適用するには、どうしたらよいのでしょうか。

Square

テストにはCraftBandSquareを使い、底に模様を作りました。平面であれば完成ですが、立体的なかごを作るのであれば、作成した単位を側面に配置する必要があります。縦ひも×横ひもの代わりに、縦ひも×側面の編みひも、もしくは横ひも×側面の編みひもに、その単位を持たせるのです。

CraftBandSquareは、[ひも上下]でセットする編み目は、底・側面(上・右)・側面(下・左)で別々に入力できますし、上・右、下・左についても実質個別扱いできますから、単位vs.ひもの本数を適切に合わせれば、模様の配置はそう難しくないでしょう。側面のつながりは[プレビュー2]で見られますし、一時保存しておいて、試してダメなら戻せばよいのです。

試しに、幅と並びの例の最後にある幅の並び、

1,1,2,2,2,3,4,6,9,9,6,4,3,2,2,2,1,1

を、側面にも作ってみました。縦・横・側面の3方向で少し色を変えて作った[プレビュー]図はこんなです。

[プレビュー2]で側面をつなげたモデルです。


CraftBandSquareでは縦と横は独立(おなじバンドが続くという制約はありますが)ですから、方向ごと並びを変えることも可能です。例えば、先のページの右側の図、片側は等幅というパターンを側面に作ると、こうなります。

垂直方向となる縦ひも・横ひもともに等幅にしたので、底は波ではない普通の網代になりました。幅変更に伴うサイズ変更をどう扱うかは考えどころですが、各面・各方向、それぞれに単位を組み合わせればよい、というのがCraftBandSquareで立ち上げる時のデータの作り方といえましょう。

Square45

斜めに立ち上げるCraftBandSquare45 ではどうでしょう。まず、幅の変更について、確認しておきましょう。

波網代に限らず、底の縦ひも・横ひものいずれかの幅を変更した場合、箱状に立ち上げるためには「底が長方形になること」という条件がつきます。

例えば、横の四角数10個・縦の四角数5個とし、基本のひも幅は5本幅としましょう。縦ひもと横ひもの数はともに10+5の15本になります。縦横を展開し、横ひものうち3本だけを15本幅にしてみると、プレビュー図はこんなになります。

ステイタスバーには長方形にならない、という警告が表示されています(赤の矢印)。横ひもだけ幅広にしたのですから、当然ですね。つまり、立ち上げて直方体形状にするには、底は、長方形に作る必要がある、ということです。

長方形ということは、相対する短辺同士・長辺同士の長さ、つまりそれらの辺を構成するひもの幅を加えた長さが同じでなくてはなりません。

つまり、こうです。

  • 縦ひもの上から、横の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、横の四角数の本数ぶん

これら4点については、ひもの本幅数を足し合わせた長さは、全て同じであること。
同様に、

  • 縦ひもの上から、縦の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、縦の四角数の本数ぶん

の本幅数を足し合わせた長さも、全て同じである必要があります。ひもの本幅数は、個別に・任意に変更することはできますが、この条件を満たした幅にしないと、立ち上げられない、ということです。アプリでは、プレビュー2の表示ができません。

※縦ひもと横ひもの本数が異なるケースについては、アプリの設定対象外とします。もしそのようにしたければ、2本寄せや3本寄せのように、実質1本だけれどデータ上は2本(3本)などとして入力することで、本数を合わせてください。


次に、側面を見てみましょう。
下図は、底のバンドがどのように組み合わされて側面になるか、を示したものです。

簡単に言えば、それぞれの側面は、縦ひもと横ひもが交互、かつ正順・逆順入れ替わりつつ重なって作られるということです。Squareは縦・横・側面が独立ですが、Square45では入り混じるのです。

そのため、繰り返しパターンを作るのであれば、その単位は縦横同じとなる正方形に限られ、その並びは、中心に対して両側に対称でなくてはなりません。そして、縦の四角・横の四角ともに、単位の整数倍でなければなりません。以前「PPバンドの斜め組み編みの模様」という記事で、作例から導き出した条件ですが、その裏付けとなるのが上図と言えましょう。

立ち上げには底が長方形という条件があったと同様、縁が水平、つまり直方体形状を作るためには、側面も長方形である必要があります。側面に積みあがるバンドを加えた高さが、4側面各2方向すべて同じということです。

高さの四角数で指定する、どんな数値に対しても同じ高さになるためには、4側面各2方向に、同じ幅のバンドが同順で積みあがる必要があります。その条件もまた、中心に対して両側に対称な並びの単位でできていること、となります。

つまり、幅変更を伴う時に、どんな高さでも直方体形状にするには、本幅は上記繰り返し条件を満たすように並べなければならない、ということです。これは、底が長方形になるための十分条件でもあります。

単位の高さ以外でも、特定の高さに対してだけならもう少し条件は緩くなるでしょうけれど、単位の中に複数の小単位を作るなど対称に作るより難しそうです。特定の全体サイズに合わせた、繰り返しではない模様の方が作りやすいかもしれません。


ということで、波網代模様を斜めに立ち上げる場合は、

  • ひとつの単位は、中心の両側に、本幅が対称に並んでいること
  • 横の四角は、単位の整数倍で作られていること
  • 縦の四角は、単位の整数倍で作られていること

が、わかりやすい十分条件です。繰り返しの単位ですから、起点を縦ひも・横ひもの各1本目とすれば、縦ひも・横ひもともに同じ並びが繰り返され、四角数位置が単位の区切りと一致するように作ればよいということです。

色を組み合わせる場合は、幅とセットの並びになります。波網代との組み合わせで模様が作られる典型例、鶴網代でみてみましょう

v1.8.9 リリース

#issue 80~83に対応しました。
「一時保存」機能が追加されました。操作ミスを後から“元に戻す”ことはできませんが、ミスしそうな操作の前に保存しておけば、戻すことができます。また、データを比較しながら作りこんでいくような時に、気軽に色々試せるでしょう。

いずれのアプリも、メイン画面、概算ボタンの並びに[一時保存]のボタンが増えました。[編集]メニューからも呼び出すことができます。

このボタンをクリックすると、こんな画面が表示されます。

ここから、現在のデータの状態を保存したり復元したりすることができます。

一時保存

どんな状態のデータなのかをメモ欄に記述し、 [一時保存]のボタンをクリックすると、データが保存され、画面が閉じます。
メモ欄は空でも問題ありませんので、[一時保存]のボタンを2回クリックすれば、保存が完了する、ということです。

復元

この後、色や本数など、いろいろ編集したとしましょう。
その後でも、先に[一時保存]した時の状態に戻すことができます。

メイン画面の[一時保存]のボタンを、再度クリックしてください。

先に[一時保存]した時の状態が保持されているのがわかります。

該当行の[復元]ボタンをクリックすると、その時の状態に戻ります。[一時保存]→[復元]の2回クリックで戻せる、ということです。

なお、復元すると、その間に行った編集は失われることになります。現状を残しておきたければ、[一時保存]してから[復元]してください。

一時保存の管理

[一時保存]は何度でも行うことができます。例えば、4回[一時保存]するとこんな感じ。一時保存のリストが、新しい順に表示されます。

一時保存リストから不要な保存を削除したり、メモを編集することができます。

従来から、ブラウザのタブに画像を残すことができましたが、この機能を使えば、その画像に対応するデータも残すことができます。

なお、この機能ですが、編集途中の一時的な状態を保持するためのもので、別のファイルを開いたり、アプリを閉じた時点で保存も消えます。永続的に残しておきたいデータは、「名前をつけて保存」してください。また、保存対象は現作品データだけで、設定は対象外です。


設定ファイルには、バンドの種類に「汎用(1幅1ミリ)」を追加しました。最近のメッシュワークで使用していたものです。

『パソコンを使ってメッシュワークの模様をデザインしよう』令和6年度後期りぶら講座のお知らせ

フリーソフト「CraftBandMeshシリーズ」を使って、メッシュワークの模様をデザインしましょう。バンドを編んで作る“かご”のソフトを、高さを指定せず平面に適用することで、多彩な模様を簡単に作成することができます。

素材の幅や色は任意に登録できますので、縦・横2軸、横・斜め60度・120度の3軸で、編み目と組み合わせた様々な模様を作ってみましょう。

各自のパソコンにソフトをインストールして基本操作を学びます。作成した画像は、印刷すれば台紙や型紙になります。ソフトや作成したデータは、そのまま持ち帰って活用できます。

講座名令和6年度後期りぶら講座
「パソコンを使ってメッシュワークの模様をデザインしよう」
日時2025年1月13日(月・祝) 13:30~15:00
会場図書館交流プラザ りぶら 会議室103
受講料
教材費
無料 
定員20名 どなたでも参加可。当日空席があれば参加可。
持ち物Windowsパソコンをご持参ください。
ソフトをインストールして各自演習します。ペア参加(2人で1台)も可能です。
(事前インストールしていただくと効率的)
申込期限2025年1月4日(土)
申込方法りぶら講座ホームページhttps://www.libra-kouza.com/から申し込み
もしくは図書館交流プラザにある申込書をりぶらサポータークラブ事務局に提出
連絡先講座内容に関するお問い合わせはこちら。もしくはお問い合わせより。
申し込みに関してはりぶらサポータークラブ事務局へ。

配布チラシ画像

チラシ表面
チラシ裏面

講習内容

1. インストールと共通操作

ネットからダウンロードしてソフトをインストールし、使える状態にしましょう。
今回は、5点のうち3点のソフトを使用します。基本的な画面構成、共通の基本的な操作を知りましょう。

2. 2軸・CraftBandSquare(45)

縦と横、2方向の組み合わせです。それぞれの本数を設定し、幅・色を個別に指定して、どんな模様になるか見てみましょう。繰り返しや色の変更も簡単です。更に、編み目の変化を加えてみましょう。 バンドを斜め45度に配置した模様も作ってみましょう。

3. 3軸・CraftBandHexagon

60度ごと3方向に組み合わせます。3方向それぞれ、色や幅が指定できます。 画像では、おもて・うらや、方向ごとの表示の有無を指定できますので、製作時に便利です。

4. 指定幅色の登録

バンドの種類を登録すると、正確な幅で作図できます。
任意の色(RGB値)に名前をつけて登録すると、その色が使えるようになります。

5. 質疑応答

ご質問、ご意見、ご要望、メッシュワークに限らず“かご”についても、何でもどうぞ。

Q&A

Q. 講習会に参加しないとソフトを使えないのですか?
A.  フリーソフトですから、公開されている情報をもとにご自分でパソコンにインストールされれば、いつでも、誰でも、使うことができます。
可能であれば、事前にインストールされることをお勧めします。

Q. 会場ではwifiは使えますか?
A.  フリーwifiがあります。メールアドレスの登録や制限時間での再接続など、各自の準備をお願いします。

Q. 何に使う模様をデザインするのですか?
A.  ペーパークラフトやパッチワーク手芸、リボン編みなどに応用できるでしょう。できた模様をパーツとして組み込み、ご自分の作品を作ってください。

Q. わざわざソフトを使う必要があるのでしょうか?
A.  数本程度を編むのであれば不要でしょうけれど、繰り返しや対称性、組み合わせの試行や配置、更に3軸となると、専用ソフトを使った方が便利でしょう。

Q. 何種類くらいの模様が扱えるのですか?
A.  網代模様などすぐに使えるひな型は数十種あります。数万種類が登録されたサイトもあります。オリジナルの編集もできますから、色や幅を組み合わせると、ほぼ無限大といえるでしょう。

Q. 曲線は扱えますか?
A.  素材として使えるのは、直線のバンド形状だけです。でも、幅を変えたバンドを組み合わせることで、曲線が浮かび出るような模様を作ることができます。

講座情報掲載

チラシのPDFはこちら

『鉄線編みのプラかごの作り方』手順書

鉄線編み、シックススター2色のかごバッグの作り方を手順書にしてみました。六角形の底からそのまま立ち上げられる、いちばんポピュラーなタイプです。

先のカゴより、ワンサイズ小さいカゴです。金ラインのバンドの残りに合わせましたが、50メートルの購入でちょうど2個、2サイズ作れたわけです。星の回転方向も逆にしてみました。(右綾/左綾でどちらでも選べます)

パワーポイントを動画にしたのがこちら。

鉄線編みのプラかごの作り方

手順書ですが、パワーポイントだとファイルサイズがちょっと大きすぎるので、PDFを貼り付けておきます。

型紙に使ったPDFファイルも置いておきます。編み図は手順書に含まれていますので、実寸で印刷すれば、アプリなしでも試せると思います。

データです。CraftBandHexagonで開けばバンド色や本数を任意に変えて再利用できます。

できあがりは、こんな感じです。

波網代・編み目の組み合わせ

幅と並びを変えた波網代を何点か作ってみましたが、更に編み目を変えるとどうなるでしょうか。先のテスト用フレームで「1,2,3,4,5,6,7,8,9,9,8,7,6,5,4,3,2,1」のパターンで試してみましょう。

[色の繰り返し]画面を次のような値にセットし、[変更実行]とすると、縦ひも・横ひもともに繰り返しが適用されます。プレビュー図を確認後、[横ひも]タブの[リセット]ボタンで、横ひもをすべて5幅にリセットし、先の図と比較してみます。

1-9,9-1

縦ひも・横ひも、ともに18点の繰り返しですので、編み目の単位もこのサイズに合わせましょう。

[ひも上下]タブを開き「水平に」「垂直に」のそれぞれの数値、いずれも18にしてから[サイズ変更]ボタンをクリックしてください。

編集領域のサイズが、6×6から18×18に拡大されます。ここを、3つ飛び網代編みで埋めましょう。

[設定呼出]ボタンをクリックして、再度「上下図の呼び出し」画面を表示させます。先と同じ「6×6-33-網代編み3つ飛び」を選択しますが、今度は、反映方法を入れ換えなし、繰り返しあり、にします。

プレビュー図は先と同じになっているはずです。単位サイズは大きくなりましたが、連続した3つ飛び網代編みになっているからです。


次に、この単位の右半分を左右反転してみましょう。18列の半分ですから、10列1行から18列18行の範囲をクリック&ドラッグして選択状態にします。「左右反転」ボタンをクリックすると選択されていた領域が左右反転します。いずれかのセルをクリックして領域選択を解除し、編み目を確認してください。

網代編みの流れ方向が9列ごとに反転しました。プレビューで見てみましょう。

左側は、縦ひも・横ひもとも波網代、右側は横ひもをリセットした縦ひものみ波の図です。


同じ様にして、上半分を「天地反転」しましょう。

四方網代風の編み目になりました。プレビューで見てみましょう。

左は18×18の繰り返し、右は横ひもが等幅の図です。


左下1/4領域を選択して「上下交換」をクリックします。次に右上1/4領域を選択して再度「上下交換」をクリックします。

桝網代風の編み目になりました。プレビューで見てみましょう。

左は18×18の繰り返し、右は横ひもが等幅の図です。


上方向に9回シフトします。9行は18行の半分ですから、上半分と下半分がちょうど入れ替わります。

開き網代風の編み目になりました。プレビューで見てみましょう。

左は18×18の繰り返し、右は横ひもが等幅の図です。


垂直方向の繰り返し単位を18の半分、9にします。

垂直方向では、同じ範囲に対して単位が2回適用されることになります。プレビューで見てみましょう。

左は、ひも幅は18×18・編み目は19×9の繰り返し、右は横ひもが等幅の図です。


下に5回シフトします。

5行は9行の約半分ですから、ひも幅との位置関係を上下方向に約半分ずらすことになります。

左図は、先の図と幅と編み目の位置関係がずれています。右図は等幅ですから同じになります。


まだ「模様」と呼べるほどのものではなく、繰り返し幅も、編み目も、改善の余地は大いにあります。でも、組み合わせを試すためのおおよその操作は、ご理解いただけたのではないでしょうか。

波網代・幅と並びの例

波網代のテスト用フレームを使って、いくつかのパターンを試してみました。数字は、本幅値の並びです。

1,1,1,3,3,3,5,5,5,7,7,7

波網代(1,3,5,7)の片パターンです。


1,1,1,3,3,3,5,5,5,7,7,7,5,5,5,3,3,3

波網代(1,3,5,7)の対称パターンです。


1,2,3,4,5,6,7,8,9

3つずつではなく、ひとつずつにしてみました。


1,2,3,4,5,6,7,8,9,9,8,7,6,5,4,3,2,1

ひとつずつの対称パターン。


1,1,2,2,2,3,4,6,9

波風、片側です。


1,1,2,2,2,3,4,6,9,9,6,4,3,2,2,2,1,1

波風の対称パターン。


幅と並びの組み合わせは容易に試せますので、繰り返しであれば、まずはその単位をどうするかですね。

最後の状態のデータを添付しておきます。


ここまでのパターン、3つ飛び網代編みの開始位置は全て同じでした。開始位置を変えると、波の位置も変わります。3つ飛び網代編みの位置をシフトしたらどうなるか、上から4番目、1-9,9-1のパターンで動画にしてみました。

波網代・幅と並びの作成

講習会で何回か聞かれたのが「波網代はできますか」でした。できますと答えたものの、今回の講習内容には入っていません。試作例はいくつかありますが、どのように操作すると良いのでしょうか。

「縦横(側面)を展開」すると、1本ごとに本幅を変えることができます。コピー&ペーストで繰り返しを効率化できますが、編集メニューにある[色の繰り返し]機能を使うと、更に簡単に試すことができます。

テスト用のフレーム作成

波網代は縦・横の模様ですので、四つ目系のCraftBandSquareおよびCraftBandSquare45で作れます。ここでは、CraftBandSquareで、底に模様を作ってみましょう。高さ方向はゼロです。

CraftBandSquare を起動し、バンドの種類を選択し、[ファイル]メニューから「新規作成」とします。

ここでは、次のようにします。

  • バンドの種類は、「竹ひご(1幅1ミリ)」
  • 基本のひも幅は、5
  • 基本色は、茶
  • 横ひもは36本、縦ひもは60本
  • 「縦横側面を展開する」にチェックを入れる

目標寸法から概算させても良いのですが、最初から本数を入力して作ることもできます。3つ飛び網代編みは6×6単位なので、横長画面に収まる・繰り返しがわかる程度の倍数として、36本と60本にしました。

次に、模様がわかりやすいよう、縦ひもと横ひもの色を変えます。基本色が「茶」ですから、横ひもはそのまま茶色とし、縦ひもを「こげ茶」にします。

[編集]メニューの[色の変更]から、縦ひもの色をまとめて変更することができます。

次は3つ飛び網代編みです。サンプルに「6×6-33-網代編み3つ飛び」として登録されていますので、[ひも上下]のタブから、呼び出して適用します。

[設定呼び出し]ボタンをクリックすると「上下図の呼び出し」画面が表示されます。「上下図名」のドロップダウンに、現在登録されているパターン名がリストされますので、その中から選んで、[OK]としてください。

現データの上下パターンが呼び出したものに変わります。現対象領域(縦60本・横36本)に対して、単位が小さい場合は、繰り返しになります。

[プレビュー]タブで確認しましょう。底全体が、3つ飛び網代編みになったでしょうか。

テストパターン(1,3,5)

色々な網代編み」には2種類の波網代が掲載されています。最初の(1,3,5)のパターンを試してみましょう。1幅・3幅・5幅、各3本ずつの繰り返しです。

横ひも、縦ひも、それぞれのタブで個別に幅を指定してもよいのですが、「色の繰り返し」機能を使うと簡単です。この機能は、対応しているアプリでは、色だけではなく本幅についても繰り返しを設定することができます。

[追加]ボタンで行を追加、[削除]ボタンで行を削除することができます。3行なら3点の繰り返し、5行なら5点の繰り返しにできます。ここでは「1,1,1,3,3,3,5,5,5」の9点の繰り返しを指定します。

繰り返しの幅が入力できたら[変更実行]ボタンをクリックし、メッセージが表示されれば完了です。[閉じる]ボタンで画面を閉じて、[プレビュー]タブで結果を見てみましょう。

縦横ともに、指定した幅の繰り返しになりました。
図の下部には、おもて/うらを指定できるラジオボタンがあります。これを切り替えると、裏側から見た図、つまり左右を反転したらどうなるかを見ることができます。

次に、同じ並びの亜種として、幅を変えるのは縦ひものみ・横ひもは同幅だとどうなるかを見てみます。その前に、[ブラウザ]ボタンをクリックして、変更前の状態を残しておきましょう。

[横ひも]タブを開いて[リセット]ボタンをクリックすると、全てが基本のひも幅・色は空にリセットされます。

[プレビュー]タブで確認するとともに、[ブラウザ]ボタンで表示させ、先の図と比較してみてください。

さて、できた模様、波のようになっているかと言われると、ちょっと変ですね。段差があるというか、不連続な感じです。

1.3.5の繰り返しですから、111,333,555,111,333,555… にしたのですが、5の次が1で非対称なのです。スムーズに繰り返すのであれば、111,333,555,333,111,333,555,333,111…になるようにすべきでした。

「色の繰り返し」機能をもう一度呼び出しましょう。先の状態、9行の繰り返しになっています。ここに3行を加えて12行にし、1,1,1,3,3,3,5,5,5,3,3,3 として[変更実行]しましょう。また、先と同様、横ひもを全て5幅にした図も作ってみましょう。

波らしい、スムーズな模様になりました。

他のパターンも試せるように、データに「名前をつけて保存」しておきましょう。


次の「波網代・幅と並びの例」と合わせて操作を動画にしてみました。

V1.8.7 リリース

issue #77 #76 #73 #63 に対応しました。

  • 編みかたでも「集計対象外」が指定できるようになりました。
  • 追加品の長さ参照で、目標寸法が選べるようになりました。

バンドの種類で「本幅の幅」が設定可能に

[バンドの種類]の設定画面に、「本幅の幅」という項目が増えました。

このボタンをクリックすると「何本幅ごとの幅」という画面が開きます。

何本幅ごとの幅

従来は、本幅数に対する幅は、等分値で固定でした。
これが、本幅ごとに個別に設定可能になりました。
変更したい本幅にだけ値をセットします。空白箇所は等分幅となります。

あるバンドの種類に対して「何本幅ごとの幅」をセットすると、そのバンドの種類を参照しているデータ、すべてが影響を受けます。使用にはご注意ください。

CraftBandMesh の展開時の何本幅が変更可能に

CraftBandMesh についても、SquareやHexagonのように、何本幅が変更可能になりました。

既存のデータを使う時には、一度、保存操作を行ってください。

展開時には、縦ひも・横ひもタブ側の何本幅値が優先されるため、底(縦横) で本幅値を変更しても縦ひも・横ひもタブ側は変わりません。合わせたい場合は、追加した[展開本幅の同期]ボタンを使ってください。

短い横ひもについては、(底(縦横)で短い横ひもの本幅をゼロにすると、無し、つまり長い横ひもの間にひもを置かない状態になります。1以上だと有りで、すべての長い横ひもの間にひもを置きます。幅は変えられますが、個別に有無を変えることはできません。

ダウンロードはこちら。

Release v1.8.7 のリリース

更新インストールの操作については、1.8.6 を参考にしてください。
(サンプル設定ファイルの更新はありません。)

『フリーソフトを使って竹細工のかごの図面を作ろう』令和6年度前期りぶら講座

講座は終了しました。ご参加いただきました皆様、ご協力いただきました皆様、ありがとうございました。

講座の案内はこちら。


講座で使用したパワーポイントです

同内容のPDFファイルです

セットアップと準備

ダウンロードとインストールについては「起動するまで」を参照。

インストールが完了すると、デスクトップに、シリーズ5点のアプリのアイコンが作られます。各アプリは対応するアイコンをダブルクリックして起動します。

① いずれのアプリも、最初に1回だけ「設定ファイルの場所と名前」の入力を求められます。これが、自分にとってのデータベースとなるファイルです。

  • ドキュメントなど、読み書きが可能で、自分が把握できる場所を指定する
    (直接操作するファイルではないので、デスクトップは避けた方が無難)
  • 5点のアプリ、それぞれに対して、同じ場所の同じファイルを指定する
    (今回はCraftBandKnotは使いませんが、初回起動だけはしておきましょう)

② 次のファイルをダウンロードしてください。いずれかのアプリで[設定]メニューの[基本設定]画面を開き、[インポート]ボタンをクリックし、ダウンロードしたファイルを指定して、上書きの問い合わせには[はい]としてください。1回だけでよいです。
参考動画: 2点ダウンロードしている例ですが、最初の1点と同じ操作です
これにより、[ひも上下]から、様々な網代模様が呼び出せるようになります。

③ 各アプリ、[編集]メニューの[バンドの種類選択]画面で「出力時の寸法単位」をcm にしておきましょう。参考「[編集]-[バンドの種類選択]

シリーズ共通の画面操作を知りましょう

こちらに、CraftBandSquareの冊子形式マニュアルPDFが掲載されています。基本画面の操作についてなので、もう少し説明が欲しい、という方はどうぞ。

まずは一通り触ってみましょう

実は、残念ながら、サンプルのデータベースには、竹細工用の情報はほとんど含まれていません。でも、データベースへの登録については後にして、まずは、触ってみましょう。縁の始末や編みかたには、とりあえず、ある中から適当に流用してください。

以下投稿に、動画付き・簡単使用例のマニュアルがあります。順にやってみましょう。

ただし、いずれも最初に「バンドの種類」を選ぶところで「竹ひご(1幅1ミリ)」を選んでください。基本のひも幅は1~12から選択してください(1ミリ~12ミリ相当です)。

サイズもお好きな数値で、ドロップダウンの選択肢からも、好きに選んで試してみてください。本数も、Up/Downでいろいろ変えてみてください。

1分で計算シリーズ、いずれも「縦横展開」なしの簡易モードですが、アプリの操作イメージはつかめたでしょうか。

データベースがあると便利ですよね?

触ってみていかがでしたか?難しい?
でも、慣れたら、結構簡単にデータが作れるようになるかも、と思いませんでしたか?

もし思われたとしたら、その理由は「ドロップダウンから選んで組み合わせるだけで、そこそこ形になる」からじゃないでしょうか。

メイン画面の[設定]メニューから、[バンドの種類][編みかた]などの画面を開くことができます。各画面を開いて見てください。登録されているそれぞれの名前、ドロップダウンを操作した時に見かけたものはありませんか?

  • バンドの種類の選択肢は、[バンドの種類]画面にあります。
  • 縁の始末の選択肢は、[編みかた]で「縁専用」のチェックがONのものです。
    Meshの編みかたの選択肢は、「縁専用」のチェックがOFFのものです。
  • 追加品の選択肢は、[付属品]画面にあります。
  • バンドの「」の選択肢は、[描画色]画面にあります。

それぞれが、表形式のデータベースです。ここに含まれているデータは、固定のものではなく、ユーザーが自由に追加したり、変更したり、不要なら削除もできます。今入っているデータは、単なるサンプルと思っていただいて結構です。(サイトで公開している各かごのデータは、これで作られています)

そして、これらのデータベースは、個々の「かご」を作る時には常に、共通に参照されます。データベースに登録する時には、使い回しができるように、を考えてみてください。毎回作るのではなく、次に使う時には部品として選ぶだけで済むような。データベースには、それぞれのユーザーのノウハウが蓄積されていくのです。

竹細工用のデータを加えてみましょう

竹工芸資料室「佐々工房」というサイトがあります。竹工芸の専門家で、何冊かの著書も出版されている方が、ご自身の作品の他、竹関係の資料関連情報を集めて公開されています。

その中で「テキスト」として公開されているゴザ目編みとしずく巻きの練習作品』を、データベースと合わせて、CraftBandMesh のデータにしてみましょう。(佐々工房の佐々木様には、使用のご許可をいただいています。ありがとうございます。)

データベースには、こんな登録が要りそうです。

登録対象登録したいこと要検討点
バンドの種類使用する竹ひごの幅は、
4mm, 2.5mm, 10mm(ふち)
・本幅数と幅の組み合わせを何にするか
・3点が選べて、わかりやすく、次からも使いまわせること
・絶対その数値が必要か、多少変えてもよいのか
編みかた【底】籐による二本縄編み、
上からと下から
・名前と表記、二本/ 2本, 縄/なわ、どうする?
・籐を、本幅値で扱うこと
・「上から」「下から」をひとつにするか、ふたつに分けるか
編みかた【胴】ゴザ目編み・ゴザ目?ござ目?
・3周目まで/4周目~6周目/7周目以降、編みかたや、厚さの違いの扱いは?
・重ねつなぎをどう扱うか
・半周ずれて開始することを、どう扱うか
・2本セットにするか、1本ごとにするか
編みかた【縁】しずく巻き・どこまでを「しずく巻き」として扱うか
・縁の口に置く、籐を巻いた輪は、しずく巻きの一部にするか、付属品として分離するか
付属品縁に置く、籐を巻いた輪
(分離した場合)
・名前は?わかりやすく、類似品と区別できること
・籐専用?他の素材で使うこともある?

次に、その登録をもとに、CraftBandMesh のデータを作ってみましょう。

※実際のところは、CraftBandMesh のデータを作りながら、必要になった時点でデータベースに登録したり、使ってみて不備に気付いたら登録内容を修正したり、だと思います。既に参照している編みかたや付属品のデータベース内容を、後から修正した時には、

  1. 底(楕円)・側面・追記品から、修正した登録を参照している行を、一旦削除する
  2. ドロップダウンから、改めて追加する

としてください。

※講座のパワーポイントに一例を載せています。ご自分の作成結果と比較してみてください。

設定データファイルについて

初回起動時に1回だけ指定したファイル、それが「設定ファイル」です。2回目以降は常にそのファイルを使っています。[設定]メニューで呼び出される各画面のデータベース、すべてがこのひとつのファイルに保存されています。
標準的な、XMLと呼ばれる形式で作られたテキストファイルです。

データができたら

ファイルに名前をつけて、保存しておきましょう。
どのアプリで作ったか、わかる名前にしておきましょう。

「縦横展開」ありで表示されるタブの操作も、いろいろ試してみましょう。
サンプルをダウンロードして、データの中を見てみましょう。
既存データをアレンジしてみましょう。

過去に、自分が作った作品を、データ化してみましょう。
教室のテキストの掲載作品を、データ化してみましょう。
これから作りたい作品のデータを作ってみましょう。

データベースを、充実させていきましょう。
ひな型として、使い回しができるデータを、貯めていきましょう。

アプリのどの部分が便利なのか、自分なりの使い方を見つけましょう。
他の方と、使い方のノウハウや、データを交換しましょう。

  • 実寸で印刷するには→「型紙の実寸印刷
  • サイトにある試作例を参考にする→「SiteMap」データが添付されています
    (参考になったページがあったら是非「いいね♡」をクリックしてください)
  • 講座でよくわからなかった点、質問点、ご要望などは→ユーザーズフォーラム

追記

講座に、クラフトバンドで作品を作っている、という方が参加されていました。竹細工では使わないので省きましたが、四つ畳み編みのアプリ、CraftBandKnot 関連リンクを以下につけておきます。