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面積長とは?

CraftBandMeshシリーズのアプリはいずれも、ひもリストの「集計値」の出力に「面積長」を出力しています。これは何でしょうか。簡単に言えば、

最低限必要な、ひもの長さ

です。

その(割いた)本幅数×長さと同じ面積を持つ、使用ひもの(割かない)長さ、だからです。計算自体は、長方形の面積計算ですから小学校の算数レベル。

例えば、12本幅のひもを使って、20cmのひもを2本カットしたいとします。

使いたい本幅実際に必要なひもの長さとり方面積長面積長の計算式
12本幅40cm割かずに2本40cm12×20×2 / 12
8本幅40cm8本幅と4本幅に割く
4本幅分は残る
26.7cm8×20×2 / 12
6本幅20cm6本幅2本に割く20cm6×20×2 / 12
4本幅20cm4本幅3本に割く
1本は残る
13.3cm4×20×2 / 12

欲しい本幅数で割いて、カットしますので、上の例では8本幅・4本幅では使われない残りが出てきます。そのため、実際に必要なひもの長さは、面積長より長くなります。

面積長というのは、残りが一切なかったとしたらの仮想的な長さであり、最大限効率よくカットできた時の長さである、つまり最低限必要な長さ、ということなのです。

既にできた作品があり、それを作るにはどのくらいの長さのひもが必要かを知りたい時に、作品の重さを測るという方法があります。

例えば、作品が320gで、ひも6mが59gだったとしたら、

(320/59)×6=32.6

で約33m必要ですね、という計算方法です。

面積長というのは、これと同じような目安値といえるでしょう。
では、面積長、どのくらい使える数字なのでしょうか。
試算してみましょう

楕円部分のひもの長さの計算

底の楕円部分を追いかけ編みで編んだとして、プレビュー図の角の円弧部分は、楕円で、底の縦ひも・横ひもの外側になるように描いています。

でも、実際に編んでみると、<最上と最下の短いひも>と重なるので、より丸く小さい。

上の絵に、違いを描き入れてみると、こんな感じでしょうか。

ひもの長さの計算では、この状態に対応して、次の2点の設定値を計算に使っています。

  • 楕円底周の加算
  • 楕円底円弧の半径加算

~加算という名前ですが、いずれも通常はマイナスの値を設定し、それを加算することで、計算値を小さくするものです。

「楕円底周の加算」は、縦ひも+横ひもで作られる長方形部分の長さに加算する値です。ここには、上図の赤文字部分、斜めに重なることで短くなる長さを設定します。

「楕円底円弧の半径加算」は、円弧を計算する時の半径に加算する値です。ここには、上図の青文字部分、小さくなった分の長さを設定します。

これら2点の値は、基本的には、バンドの種類ごとに設定されますが、個別のデータで持つこともできます。常に固定というより、ひもの幅、特に<最上と最下の短いひも>の幅で変わりますし、何といっても、編む人の編みかたに依存します。

また、側面と同じで、例えば3周を設定したなら、一番外側の計算値を3倍しています。周ごとに計算しているわけではありません。そういう設定も可能だということで、通常は既定値でよいのではないかと思います。

issue#18対応で、楕円底の設定画面に「円弧部分長」と「差しひも間のすき間」の表示を増やしました。これは、ひとつの角について、上述のようにして計算した円弧部分の長さと、

差しひも間のすき間=円弧部分長 - (差しひもの数 × 差しひもの幅)

の値です。この値がマイナスになるということは、円弧より差しひもの幅の方が広い、つまり差しひもがきれいに差せない(重なるか、根元にすき間が空くか)ということ。

また、差しひもに続いて追いかけ編みやねじり編みをした後、立ち上げた時にどのくらいの間隔になるかの目安になります。

例えば、下の図、5本幅で追いかけ編み1周の例ですが、差しひも2本(全体では2*4=8本)は難しいでしょう。「差しひも間のすき間」は、-2.4でした。

正確な値を得るには「楕円底円弧の半径加算」「楕円底周の加算」などを合わせる必要がありますが、何周編む必要があるかの目安にはなるのではないでしょうか。また、数値でなくても、プレビュー図でもおおよその状況はつかめるでしょう。

CraftBandMeshのプレビュー機能

issue#11としてあがっているのは、CraftBandMeshにプレビュー機能が欲しい、というものです。

後発のCraftBandSquare45, CraftBandKnot にはプレビュー機能がありますから、まあ当然ですね。開発中バージョンですが、こんな感じのプレビューです。

猫ちゃんかごのプレビュー

これは、『このサイズ』No.10猫ちゃんかごの画像です。等倍で作っており、大きいのでアップロード時に少し縮小しました。これで、要望のあった

  • 底のひもの間隔(詰まり具合)
  • 側面の編みかたを変えた部分のバランス

は確認できると思います。

側面の広がりについては「周長比率対底の周」に比率を設定することで、底に対してどのくらい増やす/減らすか設定できます。でもこの値は、編みかたごとなので、下15周の追いかけ編みは同じ1.1倍の絵です。

実際には、15周編みながら少しづつ増やしていくわけですが、ひもの長さは、周長 * 15 として計算しますので、それを反映しています。ひもの長さは多めに算出されますが、多少余るのは問題ないでしょうから。

もし、もうすこし細かく絵・ひもの長さを調整したければ、

追いかけ編み 15周 1点 → 追いかけ編み1周 15点

でデータを作れば、周ごとに細かく「周長比率対底の周」を設定できます。(「次周連続」にチェックを入れれば、連続したひもとして長さを計算します) 輪編みですが、そのように作った例が「周長2倍のかご」です。こんな絵になります。

楕円部分については、長い横ひもと縦ひもがクロスする位置を中心とした楕円を描いています。これでおおよそのバランスは把握できるのではないでしょうか。

なお、ひもの長さについてはこの絵の長さではなく、実物に合わせてもう少し短く計算しています。これについては、次の楕円部分のひもの長さの計算で説明します。

『このサイズが欲しい!』
キャンペーン完了

Ver1.1 リリース記念として行っていた『このサイズが欲しい!』キャンペーン、先着10名様にCraftBandMeshを使ってご希望のかごをお作りする、というものでした。

昨年12月から少しづつ進めてきましたが、ようやく10点、作り終えることができました。応募いただいた皆様には、サイズの詳細や使い方その他の質問に根気よく対応していただき、本当にありがとうございました。

サイズだけではなく、自分で作っていたら思い浮かばなかったようなデザイン、使い方。多様性ってすごいなぁと感心しましたし、いろいろ学ぶことができました。

キャンペーンのかご

キャンペーンは、CraftBandMeshを使えば、正確なサイズで、実用的なかごが作れることの実証実験でもありましたが、その目的は果たされたのではないかと思います。

先生の豊富な経験に比べたら全くのひよっ子でも、アプリを使えば、オリジナルが作れるんです。実のところ、登録されている全ての編みかたを覚えているか?と問われれば、答えはノー。都度、本を見たりYouTubeを見ながらだったりしますが、名前がわかれば探せるのです。

アプリのラインナップも増えました。色を個別指定する機能も増えました。皆さんも是非、CraftBandMeshシリーズ、使ってみてください。

gitHubにはまた、いくつかissueが上がっています。
次は、そちらの対応を行っていく予定です。