2つ飛び網代編みの立ち上げ位置(縦ライン)

では、3つ飛びと同様に2つ飛びについても、模様ラインに対して垂直に立ち上げる場合はどうでしょうか。

立ち上げ位置は、次のいずれかになります。

2つ飛びの場合は、上の四角と下の四角の2つしかないので、上の四角の方で識別することにします。左右・上下を通るラインが上の四角になっている方に注目し、それが右向きか、左向きか、を見るということです。

立ち上げ線を水平に置いた時の2パターンは次のようになります。
図の左を「左向き長方形」、右を「右向き長方形」とします。

左向き長方形と、右向き長方形

底の四角の位置に、1・2の数字を振っているように、2点の繰り返し模様です。ひも上下のデータ的には、上・下もしくは下・上の 1-2 の繰り返しで、上下は、側面の角度が90度変わるごとに入れ替わります。

ラインに沿って立ち上げるタイプでは、側面の網代編みラインがつながるように、編み目を作りました。こちらのタイプも、まず各側面が底に対して垂直な網代編みラインになっているという前提で、同様にそのラインがつながる条件は、

  • 底の周の4辺とも、同じ「左向き長方形」もしくは「右向き長方形」であること
  • 底の角、即ちある側面から隣の側面に変わる箇所では、角の両側が上図の1・2の連続的な繰り返しになっていること

なお、底の周の四角数については「(縦の四角数+横の四角数)×2」であり必ず偶数になりますので、「2の倍数である」という条件は、どんな数であっても成立します。

これも、具体例を作ってみましょう。

つながらない例

側面によって「左向き長方形」と「右向き長方形」が異なっています。

つながらない例

全て「右向き長方形」ですが、左の側面から右の側面にかけて、1・2・1・2になっていません。余分があります。

つながらない例

左の側面から右の側面にかけて、1・2・1・2になっていません。不足があります。

つながらない例

つながる例

全て「右向き長方形」で、底の上の角が左の側面から2、右の側面に回って1・2..と連続しています。

つながる例

全て「右向き長方形」で、底の上の角が左の側面から1、右の側面に回って2..と連続しています。

つながる例

2つの例を載せましたが、要は角の両側に1と2です。3つ飛びのように側面の状態が変わるわけではなく、ともに端の四角位置で、実質同じと見て良いのではないでしょうか。

そして、編み方の名前は何でしょう?
3つ飛びは「ヘリンボーン編み」でしたが、こちらも同じ「ヘリンボーン編み」でよいのでしょうか?

2つ飛び網代編みの立ち上げ位置と底編み図生成

立ち上げ位置の検討で、3つ飛びを模様ラインに平行に折る場合、折り位置は「上の四角」「中の四角」「下の四角」のいずれかでした。2つ飛びではどうでしょう。

四角が2つでできた長方形ですから「上の四角」/「下の四角」、これと「右向き」/「左向き」を組み合わせると

  • 「右向き/上の四角」
  • 「右向き/下の四角」
  • 「左向き/上の四角」
  • 「左向き/下の四角」

となります。
3つ飛びの時と同様、左右については交換可能ということで、これを「上の四角」と「下の四角」として識別することにしましょう。

上の四角と下の四角

次は「角(かど)にかからない中央部分」を見てみます。3つ飛びの時と同様、模様ラインと平行になるように長方形の底を立ち上げた場合、長辺側つまり模様ラインと平行になる部分の中心の飛び数は、1もしくは3になります。

何故なら、全体が正方形ですから、斜めの中心線は四角の対角線を通ります。でも、四角2個の長方形(2つ飛び網代編み)には、対角線を通る中心線は存在しません。従って、中心部分が2つ飛びになることはあり得ない。また、中央ラインは四角の間には来ないのですから、4で割った余りから0と2を除外すると、1もしくは3になるのです。

下図のいずれかです。

中央部分の2択

八女市伝統工芸館」の「52 交色長桝二間網代」では、中央部分は3つ飛びになっていました。

2つ飛びの長桝網代については、文献
『図説 竹工芸 : 竹から工芸品まで』佐藤庄五郎、共立出版、1974
223ページ、図11.3 ますあじろの変化と四方あじろ・長ますあじろの一連の図の中に「(f)長ますあじろ(交色)」として掲載されています。こちらも、中央部分は3つ飛びになっています。ですので、竹編みの場合、中央部分を3にするのが正しい長桝二間網代と言えそうです。

かつて、斜め網代編みの底の組み方を検討した時、とりあえずのルールとして、

「上の四角」で立ち上げることを優先する。その結果、中央部分は1もしくは3になる。

としました。正しい長桝二間網代の場合は、そうではなく、

中央部分が3になることを優先する。その結果、立ち上げ位置は「上の四角」もしくは「下の四角」になる。

というルールだったのでした。


「角(かど)の三角形部分」はどうでしょう。3つ飛びの長桝網代編みでは長方形につながっていましたが、2つ飛びの場合は、対角線で反転した模様になっています。「八女市伝統工芸館」の「52 交色長桝二間網代」も『図説 竹工芸 : 竹から工芸品まで』ともにです。

短辺側の四角数を同じとし、長辺側の数を変えた図を並べてみました。短辺側、下図では左上と右下の直角二等辺三角形部分は、全て同じ編み方です。3つ飛びの時は短辺側は仮の絵でしたが、2つ飛びの場合は反転状態そのままの絵ですから、角(かど)の三角形部分については、短辺の四角数が同じであれば、長辺側の数によらず編み方は同じ、ということになります。

そして、短辺と長辺が同じになる、つまり横の四角数=縦の四角数・正方形になると、四方網代(風)になるのです。

長桝網代編みを正方形にしても四方網代編みにはならない・別の編み方である」というのが3つ飛びだったのですが、2つ飛びの場合は

長桝二間網代編みを正方形にすると四方網代編みになる・同じ編み方である

ということになるのです。何てことでしょう。。

ただしこれは、上図の一番右の編み方を何と呼ぶか、「長桝二間網代編み」なのか「四方網代編み」なのか、にかかってきます。見た感じ「長」より「四方」の方が自然に思えますが「四方二間網代編み」という言葉はあるのでしょうか。


そして、CraftBandSquare45による底の編み図の生成方法。3つ飛びの場合は、違う2種類の編み方、設定パターンも各3点あったため、早見表が便利でした。でも2つ飛びの場合は、編み方はひとつしかないし、設定パターンも次の2つしかありません。

  1. 垂直に=2 底に=0
  2. 垂直に=1 底に=1

1.の値が既定値になっていますので、そのままでも1/2の確率で生成できます。だめなら、2.の値に変えればよいだけ、なのです。

長桝二間網代のかご

名称長桝二間 網代 編み
長桝 網代 編み
名称(読み)ながますふたま あじろ あみ
ながます あじろ あみ
模様タイプ中心2点間は3つ飛び、各領域2つ飛び
単位
バンド幅
飛び数1,2,3
対称性半回転
備考

八女市伝統工芸館」の「竹編組見本」から「52 交色長桝二間網代」でボックスを作ってみました。

「竹編組見本」は、平らに編まれていますが、長桝網代編みと同様に長方形に立ち上げました。「長桝二間網代」という名前の通り、二間網代編みベースです。側面の二間網代編みがつながるように作りました。

底です。3本飛びの長桝網代編みとはちょっと異なる模様です。長方形がつながっていません。

長桝二間網代のかごの底

そして、3本飛びと比べると二重に編みにくいです。

  • 2本飛びは、3本飛びより単位となる長方形が短い
  • 底の短辺に、2本ごとに4本が交差する箇所がある

編み図です。

データです。

二間網代編みの小かご

名称二間 網代 編み
2つ飛び 網代 編み
2本飛び 網代 編み
2本飛ばし 網代 編み
二目 網代 編み
名称(読み)ふたま あじろ あみ
ふたつとび あじろ あみ
にほんとび あじろ あみ
にほんとばし あじろ あみ
にもく あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位4 × 4
バンド幅
飛び数2
対称性半回転
備考右上がり、左上がり

八女市伝統工芸館」の「竹編組見本」から「45 二間網代」で小さいボックスを作ってみました。

実はこの「二間」の読み方がわからなかったのです。「にけん」「にかん」「にま」「にげん」「ふたま」(読み方自体は他にもあるようです)… 竹細工をされている方にお聞きして「ふたま」としましたが、良かったでしょうか。

二間網代編みの小かご

CraftBandSquare のデータです。側面は、設定データにある「4×4-22-網代編み2つ飛び」そのままです。底はサイズに合わせ、側面からの2つ飛びがそのままつながるよう、少し編集してみました。

データです。

V1.7.2リリース

issue #42 に対応しました。
色の扱いが、より便利になりました。

公開はこちら
Release v1.7.2のリリース
(更新)インストールについては「起動するまで」のページを参照してください。

同じ名前の色の値を「バンドの種類」ごとに変更可能に

[設定]メニューの[描画色]に、「バンドの種類」「中線色」のカラムを追加しました。

それぞれの色に対して、バンドの種類は、”-(ハイフン)” は何も設定しないことを示します。従来の状態であり、どのバンドの種類に対しても共通の値です。

同じ色の名前に対して「バンドの種類」を指定したデータを別途追加可能になりました。その「バンドの種類」を選択した時にだけ使われる値を登録することができます。

例えば、追加でバンドの種類に「PPバンド(不透明色)」を登録した後、「PPバンド(不透明色)」専用の色を追加したとします。(上図の下4行がその例です)

専用の色が登録されていると、同じ「赤」という名前の色を選択したとしても、対象として選択しているバンドの種類によって色味が変わります。

  • 「PPバンド」を使うと、透明度50 として、薄く塗りつぶした色
  • 「PPバンド(不透明色)」を使うと、透明度255 として、透過性のない色

また、中線(本幅を示す線)の透明度とRGB値を指定可能としました。
何も設定しなければ従来通り、輪郭線および塗りつぶし色と同じです。

「バンドの種類」画面で、使用色の設定が簡単に

[設定]メニューの[バンドの種類]画面で、そのバンドの種類で使用する色を入力するセルの隣に「色選択」のボタンを追加しました。

ボタンをクリックすると、登録されている色がリストアップされますので、使いたい色にチェックを入れて[OK]とすれば、色リストを簡単に作ることができます。

バンドの種類にない色の使用

先に色を設定したデータを作り、その後、バンドの種類や色リストを変更するような操作をした場合、結果的に、そのバンドでは使えない色を持った状態になることがあります。

先には、設定した色は消えていましたが、消える前に次のような確認を表示するようにしました。

ここで[はい]とすると、[色の変更]画面が表示されますので、使えない色を使える色に、まとめて置き変えることができます。

使用例

上述の例、バンドの種類「PPバンド(不透明色)」およびいくつかの色を登録した、オプションの設定ファイルです。このファイルをインポートしていただくと、バンドの種類として「PPバンド(不透明色)」が使えるようになります。専用色も追加されます。

上のファイルをダウンロードしていただいてから、次の操作で取り込むことができます。

  1. [設定]メニューの[基本設定]をクリックする
  2. 表示された、基本設定画面の[インポート]ボタンをクリックする
  3. ファイルの選択画面が出てくるので、ダウンロードした「CraftBandMesh-opaque-PPband.XML」を選択する
  4. 上書きしていいかの問い合わせに「はい」もしくは「いいえ」をクリックする
    (まだ、同名は存在しないはずなので、どちらでも同じ)
  5. 更新結果の報告画面が表示されたら「OK」で閉じる

これで、「PPバンド(不透明色)」が使えるようになります。


CraftBandSquareで、「PPバンド」で「赤」と「青」を使った、簡単なサンプルを作ってみました。左側の絵がそのプレビュー図です。
上記で「PPバンド(不透明色)」を取り込んだ後、このデータの「バンドの種類」を「PPバンド(不透明色)」に変えていただくと、同じ「赤」と「青」に対する色味が右側の絵のように変わります。