月別アーカイブ: 2024年10月

PPバンド・斜め編みのクラッチバッグ

縦横のバンド色を変えて、チェック柄を作ったとしても、立ち上げると崩れてしまうのが斜め編みでした。でも、例外がありました。以前、リボンで作ったようなペタンコ形状です。PPバンドでも可能なのか?試してみました。

斜め編みのクラッチバッグ

若干膨らんでいるのは、PPバンドを折った時の復元力によるもの。中に何か入れているわけではありません。

縁の半分はそのまま三角形に伸ばして、カバーにしました。マグネットボタンを、カット残りのバンドに取り付け、重ねて差し込みました。

マチが必須かと思っていたのですが、意外とカタチになるものですね。2つ飛び網代編みもですが、このカタチであれば、斜め編みでも続き模様が作れそうです。

[プレビュー2]の図。平編みの繰り返しなのですが、カバー部分がわかるように「1回のみ」に編み範囲を作ってみました。

底編みのバンドは全て同じ長さです。今のところ、上と下・左と右、各個別に加算長を指定できないため、カバーでない側は、部位によっては15センチほど無駄が出てしまいます。でも、カバーになるか内側になるかは読みづらいので、不足よりはカットがマシ、ということにしておきましょう。ボタン取り付けにも使えたことですし。

データです。

四ツ菱網代編みのかご

名称四ツ菱 網代 編み
名称(読み)よつひし あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位22 × 22
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

『竹の工芸-近代における展開』長谷部満彦他,東京国立近代美術館,1985
110ページ, 編組見本,037

CraftBandSquare45で、4色で作ってみました。「1回のみ」のチェックを外した、模様の繰り返し適用です。

四つ菱網代編みのかご

底からみたところ。

四つ菱網代編みのかごの底

プレビュー図です。データの[ひも上下]には模様の1単位が入っています。ボックスのサイズやどの位置で立ち上げると良いか、は先に試した通り

以前検討した「立ち上げ可能な繰り返し模様の条件」に合っていれば、側面の辺もそのまま編むことができます。四ツ菱はNGですが、それがどこなのかは、[プレビュー2]を見ればわかります。赤い丸で囲ってみました。もうすこし高さを低く作れば出現しないのですから、かなり優秀な模様と言えましょう。

データです。

長桝網代編みに縦ライン

Ver1.8.8 で、CraftBandSquare45で斜めに立ち上げた場合、側面の編み方も編集できるようになりました。そこで、一番シンプルな、縦のラインで試してみました。

長桝網代編みに縦線

底です。正方形なのですが、四方網代編みは編みにくいので長桝網代編みにしました。それなのに歪んでいます。。なかなか綺麗には作れません。

長桝網代編みに縦線の底

本数については、底から縦ラインにした時と同じ条件ですから、縦横プラスして3の倍数ですが、わかりやすく各四角数21個で試しました。

プレビューの底編み図です。

プレビュー2、側面をつなげた編み図です。

データです。

フルオーダーのオペレーション

ではそのオーダー・オペレーション、どのように進めたのでしょうか。振り返ってみました。

最初に決めていただいたのは、色と、かごのタイプです。サイトの試作例、足りなければネットでも雑誌でも実物でも見ていただいて……で、ご指定は、

色は、ピンク・紫・白
タイプは、斜め編み

次はサイズです。斜め編みの場合は、繰り返し模様にするのであれば、幅・奥行き・高さとも単位の整数倍になりますので、まずは候補3点をあげました。

7本ベースのサイズに決まりました。つまり、

四角数は、横14個・縦7個・高さ14個
縦ひも・横ひもは各21本

次は、バンドの配置です。手持ちのバンドから、ピンク・紫・白の3色を使うとして、まずそれらバンドの実物に近い色を描画色に登録するとともに、バンドの種類「PPバンド」を複製して「PPバンド(指定色)」を作りました。

繰り返し模様の条件は対称に並べることですので、3色ないしは2色を対称に並べ、異なるパターンになるよう、色を入れ替えながら、[プレビュー2]の画像を作りました。とりあえず、12点。こんなです。

パッと見て気に入ったのは、最後の「F」
だけど、もっとカラフルがいいので、白を黄色に変えたらどうかな?

バンドをカットしているわけではないし、黄色は手持ちにありますので、変更は問題ありません。白と黄色が最終候補になりました。

色の並びは
ピンク・ピンク・紫・白・紫・ピンク・ピンク
もしくは
ピンク・ピンク・紫・イエロー・紫・ピンク・ピンク

2候補に絞られましたので、3Dモデルにしてファイル化し、フリーの3Dモデル共有サイトに登録しました。

https://skfb.ly/prB77
https://skfb.ly/prB7n

リンクを送れば、スマホでも見ることができます。
黄色に決まりました。

底編み図

型紙に合わせてカットし、立ち上げて本体を編みました。

次は、持ち手です。できた本体に、荷造り用の白いひもを、お好きな位置に・お好きな長さで、クリップで留めていただきました。計ると、35cmでした。

色は、四つ編みなので、1色~4色。本体色に限らずどんな色でも可能ですが、ご指定は、

紫2本・ピンク1本・黄色1本(四つ編み)
持ち手の長さは35cm

留め具については、書類用クリップで仮止めしてみたのですが、金色がカワイイのでそれでOKということになりました。

ということで、すべてご指定通り。オペレーターとしては、私情を交えず機械的に、可能な選択肢を呈示したつもり。ですので、このかごは、Nさんにしか作れない、Nさんのオリジナルデザインなのです。Nさんのお友達は、かごを見て「Nさんらしい」「Nさんに合ってる」と評されていました。


底はこんなです。

データと、色・バンドの種類の設定ファイルをつけておきます。

PPバンド・斜め編みのかご・フルオーダー

CraftBandMeshシリーズは、かごをデザインするアプリです。では、誰が使うかごを、誰がデザインし、誰が作るのか?“ハンドメイド”ですから、まずは、自分が使いたいかごを、自分でデザインし、自分で作る、でしょう。

使う人・デザインする人・作る人。アプリが想定しているユーザーは、デザインして・作る人、です。作り方は教えてくれませんが、作るために必要なデザインをサポートしてくれます。使いたい人が、作り方を習って、作ろうとした時に役立つのです。

使う人・デザインする人・作る人。でも、この中の主役は、そのかごと一番長く付き合っていく使う人でしょう。そして、使う人、皆が作れるわけではありませんから、多くの場合は、誰かがデザインして作った中から選ぶだけになっているのだと思います。

ハンドメイドでは、オーダーで、カスタマイズが可能なところもあります。でも、SMLのサイズ指定だったり、模様の色変更だったりで、ベース部分は既存から選ぶケースが多いようです。バンドの長さや本数・色や配置・模様の出方などを、毎回手計算して試作していたら、時間がかかってしまうからでしょう。

でも、アプリを使えば、サイズや本数計算は即時、模様もパソコン上で簡単に見ることができます。そして、従来の[プレビュー]図は作る人向けのものでしたが、Ver1.8.8からの[プレビュー2]であれば、使う人が見てもわかるのではないでしょうか。

ということで、試してみたのは「使う人が・デザインする」です。

テスターとしてご協力いただいたのは、Nさん。ピンクが好き♡カラフルが好き♡と言われる、おしゃれな方です。haruはオペレーターに徹し、すべてをNさんに決めていただいた、Nさんデザインのかご、それがこちらです。

斜め編み・フルオーダーのかご

作りはしましたけれど、この発想、haruには不可能です。使う人の欲しいってすごい、って作りながら驚きました。

そして、作ることについては素人の見真似ですから、すき間があったり、持ち手のカバーや留め具もありません。データをお渡しするから、プロの方が上手に作ってくれるといいなあ、と思ったのでした。

どのようにデザインしていただいたのかは次稿で。