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箱型のかご

底編み無しの斜め網代(2)

斜めに立ち上げる、全て三つ飛び網代編みでできたかごと、長桝網代編みのかご。データができたので、作ってみることにしました。

底です。左側が長桝網代編み、右側が全三つ飛び網代編み。

斜め網代の底を比較

2点を重ねて、2側面が見えるようにした写真です。方向を変えて、4側面を撮りました。上の長桝網代編みはどの側面も同じ、下の全三つ飛び網代編みは4側面で方向も位置も異なっています。

斜め網代の側面を比較

全三つ飛び網代編みは縦方向のライン面が目立つので、ふたつは違うかごみたいです。ちょっとサイズが違うのは作り方が下手なせいで、ひもの本数も長さも全く同じなんですけど。

作ってみての感想としては、こんな感じ。

比較点長桝網代編み全三つ飛び網代編み
底の編みやすさ△ 編み図(手順)が必要◎ 単純な繰り返しです
立ち上げ位置△ 編み図に合わせた位置△ サイズに合わせた位置
立ち上げ△ 側面の方向が合うように× 編めるように頭を使う
側面の編みやすさ◎ 単純な繰り返しです× 辺の組み合わせに頭を使う
側面のかたち〇 同じ並びなので整いやすい× 角に1×1があって詰めにくい

全三つ飛び網代編みの側面を編むときは、3Dモデル図を画面に表示し、方向を変えつつバンドと照合して、やっと編めました。詰め切れず、緩んでいる部分もありますが、編むだけで精一杯。

まとめると、どこで頭を使うか、でしょうか。底で頑張って側面を単純化するか、底は簡単だけれど側面で毎段悩むのか。側面の場合更に、本数と立ち上げ位置でパターンも変わりますから、手順化するなら底。なるほど、長桝網代編み、というわけですね。

追記
かごの縁を作るのに、動画「底が正方形の網代編みかごの立ち上げ方 その2」を参考にさせていただきました。最初に3本幅を載せると作りやすかったです。工房トミー様、ありがとうございました。

松皮菱網代編みのかご

名称松皮菱 網代 編み
名称(読み)まつかわびし あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位24 × 32
バンド幅
飛び数1,3,5,7
対称性水平線,垂直線
備考

『竹の工芸-近代における展開』長谷部満彦他,東京国立近代美術館,1985
110ページ, 編組見本,036

CraftBandSquareで、3色で作ってみました。外側から見た模様で、A4の書類が入るトレイです。

松皮菱網代編みのかご

内側です。

松皮菱網代編みのかごの内側

底は模様の繰り返しで、2単位が上下・左右に対称になるように配置しましたが、少し欠けています。上右・下左の各側面を底の模様の延長とするため横ひも+縦ひもの本数に展開したのですが、現上限が99本だからです。

プレビューの編み図

底と側面は続きますが、側面同士は不連続です。でも桝目の中心位置が揃っているので、縦と横が接する割には一体感がある..かな。色が違っていますけど。

プレビュー2の3Dモデル

データです。[ひも上下]には、底に模様の1単位が入っています。側面は、横ひも57本+縦ひも41本分に合わせていますが、高さは24本分のデータが入っています。

追記

[ひも上下]の側面のデータの作り方についてのご質問がありました。上には簡単な説明を書いていますが、下図を見ていただくと、ご理解いただけるでしょうか。

四ツ菱網代編みのかご

名称四ツ菱 網代 編み
名称(読み)よつひし あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位22 × 22
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

『竹の工芸-近代における展開』長谷部満彦他,東京国立近代美術館,1985
110ページ, 編組見本,037

CraftBandSquare45で、4色で作ってみました。「1回のみ」のチェックを外した、模様の繰り返し適用です。

四つ菱網代編みのかご

底からみたところ。

四つ菱網代編みのかごの底

プレビュー図です。データの[ひも上下]には模様の1単位が入っています。ボックスのサイズやどの位置で立ち上げると良いか、は先に試した通り

以前検討した「立ち上げ可能な繰り返し模様の条件」に合っていれば、側面の辺もそのまま編むことができます。四ツ菱はNGですが、それがどこなのかは、[プレビュー2]を見ればわかります。赤い丸で囲ってみました。もうすこし高さを低く作れば出現しないのですから、かなり優秀な模様と言えましょう。

データです。

スタッキング・ボックス

紙バンドでつながる仲間たち「なないろnaクラフト」の第11回作品展示会が開催されます。

  • 日時 2024年6月28日(金)~30日(日) 11:00~17:00(最終日は15時まで)
  • 場所 BUNROKU(文禄堤薩摩英国館) 大阪府守口市本町2-4-15

こちらに、ずっと以前に作った作品ですが、展示させていただくことにしました。最初に作ったアプリCraftBandMeshで、紙バンドのいろいろな編み方を試しながら、テストしていた頃のものです。

その頃の拙い作品ですが、展示させていただけたら記念になるかなと思いました。片づけてあったのを取り出し、改めて積み上げてみました。

スタッキング・ボックス

またこの機会に、紙バンドを使われている皆さんに、アプリについてもご意見を伺えればとお願いしたところ、デモのお時間をいただけることになりました。ご興味のある方個別に、CraftBandMeshシリーズいずれでも、動作しているところを見ていただければと思います。

  • 6月29日(土) 15:00~17:00 上記会場の片隅にて

パソコン持参で待機予定です。お待ちしています。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色

2色パターンでもうひとつ、作ってみました。単純な繰り返しです。



位置
横ひも斜め60度斜め120度
-1A色A色A色
+1B色B色B色

各辺、左右対称にはならず、色も底から続きません。側面の模様は崩れてしまうので、浅いかごにしました。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色

底です。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色の底

すき間が不均一ですが、でも、今回は、ちゃんと正六角形になりました。まず六つ目を作る、という方法で作ったからです。

こちらの文献、

「HEX WEAVE & MAD WEAVE」An Introduction to Triaxial Weaving,
Elizabeth Lang-Harris & Charlene St. John, 2014, Schiffer Publishing ,
ISBN: 978-0-7643-4465-7

46~49ページに、図とともに、作り方のSTEPが載っています。

  • STEP1 六つ目を1枚作る
  • STEP2 もう一枚の六つ目を作る
  • STEP3 2枚の六つ目を、入れ子に重ねる
  • STEP4 真ん中の空いた位置に横ひもを差す
  • STEP5 更に横ひもを差す
  • STEP6 120度の真ん中空き位置に斜めひもを差す
  • STEP7 更に120度の斜めひもを差す
  • STEP8 60度の真ん中空き位置に斜めひもを差す
  • STEP9 更に60度の斜めひもを差す

大きな分かりやすいカラーの図です。

なるほど、どのみち最初に六つ目を作るんだったら、2枚作った方がもっと簡単だよね。型紙だからずれないし。

でも、説明文は読まずに図だけを見て試したものだから、何度も作っては外し…..やり直しの連続でした。

  • 単に3本ごと3方向に分けただけではダメ。三角になって、六つ目になりません
  • 適当な六つ目3枚に分けただけではダメ。どう重ねても重なりません
  • 六つ目枠と、その中の下向き三角に分けてもダメ。作りたい模様になりません

ポイントは、亀甲パターンの位置にある六つ目に分けること、だったのです。

掲載されている図は、3枚が分かりやすいように色を変えたのだと思ってました。だから「3つに分ければいいのね」と読み取ってしまったのですが、色そのものに意味があったのでした。その先のページには「spot form」として亀甲模様の写真が3枚も載っているし、ちゃんと説明されていたのかも。。。紙の本は、自動翻訳されないんです。

最終的に、どんな作り方をしたのかは次稿で。とりあえず、このかごのデータです。

追記

このやり方で、既に鉄線編みを作られている方がいました。サイト「クラフトバンド部」のuniさんです。研究ノートとして様々な模様を作られており、YouTubeの動画も作られています。上の文章よりずっとわかりやすいです。リンクはその最初のものですが、サイトYouTubeチャンネルには他にもたくさん掲載されています。