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CraftBandHexagonで作成

麻の葉編み

CraftBandHexagon Ver1.8.2で「ひも中心合わせ」機能を追加しました。60度ごと3方向のひもを「六つ目」つまりすき間の中心で合わせるだけでなく、ひも中心位置で合わせられるようにしたものです。

合わせて「麻の葉(単方向)」織りを追加しました。こんな編み方です。
3本のひもが長さ方向の真ん中で交差しており、目(すき間)が三角形になっているのがわかるでしょうか。

「巴(3すくみ)」や「鉄線(3軸織)」織りの場合は3方向に対して同じ扱いができた、つまり60度の回転対称だったわけですが、この編み方は異なります。横ひも方向と、斜め60度・120度方向は違うのです。上図、赤の矢印で示しましたが、方向性があります。

ではこの編み方、かご編みにはどう使われるのでしょう。文献、

『かごと器の技法がわかる 竹細工 増補改訂版』田中瑞波、メイツ出版、2023

「PART5 ステップアップする竹かごづくり」の95~108ページに、”六つ目編みを応用した麻の葉編みに挑戦” として、底が正六角形のかごの詳細な作り方が説明されています。簡単には、こんな感じでしょうか。

六角形の底を構成する三角形6部分を、異なる方向、すなわち、立ち上げた時に側面が全て垂直方向に揃う方向に編んでいくのです。最初の図はそのパーツとなるものですが、対応する方向を同じく赤の矢印で示しました。

これが正式な「麻の葉編み」であり、CraftBandHexagonではその一部のみを限定的に表示できるということです。ですので「麻の葉(単方向)」。

上の図のデータを添付しておきます。どんな編み目になっているか、気になる方はご覧ください。

鉄線編みの六つ目の作り方

先の続きです。3つに分ける六つ目を大・中・小としましょう。

  • 「大」 … 入れ子の外側、大きい六つ目
  • 「小」 … 大きい六つ目の中に、入れ子になる小さい三角形
  • 「中」 … 大と小を重ねた時の空き位置、「大」と「小」の中間です

まず、作りたい本数や色や模様の鉄線編みのデータを完成させ、ファイルとして保存します。このデータは、等倍に印刷して型紙に使います。

次に、そのファイルのコピーを5点作り、リネームします。そして、それぞれ部分的に、ひもの一部を非表示にします。

非表示にするには、色を「無描画色」に変更すればよいのですが、3点ごとの繰り返しについては、[編集]メニューの[色の繰り返し]を呼び出すと便利です。

変更は次の通りで、亀甲パターンとなる位置です。位置番号については以前の投稿を参照してください。

ファイル名内容横ひも斜め60度斜め120度
big「大」のみを表示
「中」「小」を非表示
+1,+2位置を
「無描画色」
-1,+1位置を
「無描画色」
-1,+2位置を
「無描画色」
small「小」のみを表示
「大」「中」を非表示
-1,+2位置を
「無描画色」
-1,+2位置を
「無描画色」
-1,+1位置を
「無描画色」
big-small「大」と「小」を表示
「中」のみ非表示
+2位置を
「無描画色」
-1位置を
「無描画色」
-1位置を
「無描画色」
inter「中」のみを表示
「大」「小」を非表示
-1,+1位置を
「無描画色」
+1,+2位置を
「無描画色」
+1,+2位置を
「無描画色」
inter-mark「中」を識別色(グレー)にする+2位置を
「グレー」
-1位置を
「グレー」
-1位置を
「グレー」

これらのファイルのプレビュー図を見ながら、六つ目を2枚作り、重ね、残りのひもを差して、底が完成です。

底作成ステップ

上の写真の例では、型紙に貼り付けたまま立ち上げられるよう「うら」つまり内側から見たプレビュー図を印刷しました。

一度見るだけですから、印刷ではなくパソコンの画面を見ながらでよいと思います。また、最後の斜めひもは型紙から外して差しますので、「うら」ではなく「おもて」でもよいと思います。

そして何と、最初に作る「大」と「小」の六つ目は、ひもの交差箇所を貼り付けてしまっても良いのです。貼り付ければ、形が崩れることもありません。

これで、3の倍数の繰り返しでなくても、方向ごと色が違っても、全体にグラデーションかけるような模様でも、六つ目ふたつから開始できます。


鉄線編みでできた二つのかごを重ねてみました。

鉄線編み模様の二つのかご

本体側のかごは辺に長短があり、最長に合わせざるを得なかったため、ふたとしてはちょっと大きめ。3軸だと本数を簡単に変えられないので、サイズはすき間で調整することになりますが、型紙があれば大丈夫です。

参考までに、5点のファイルを添付しておきます。

[?] 上記の数値が唯一かというと、[大][中][小]は入れ替え可能なようですし、亀甲パターンも先の値が唯一というわけではなさそうです。どんな条件を満たせば、六つ目3枚に分離できるのでしょうか。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色

2色パターンでもうひとつ、作ってみました。単純な繰り返しです。



位置
横ひも斜め60度斜め120度
-1A色A色A色
+1B色B色B色

各辺、左右対称にはならず、色も底から続きません。側面の模様は崩れてしまうので、浅いかごにしました。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色

底です。

鉄線編みの浅かご、1本ごと2色の底

すき間が不均一ですが、でも、今回は、ちゃんと正六角形になりました。まず六つ目を作る、という方法で作ったからです。

こちらの文献、

「HEX WEAVE & MAD WEAVE」An Introduction to Triaxial Weaving,
Elizabeth Lang-Harris & Charlene St. John, 2014, Schiffer Publishing ,
ISBN: 978-0-7643-4465-7

46~49ページに、図とともに、作り方のSTEPが載っています。

  • STEP1 六つ目を1枚作る
  • STEP2 もう一枚の六つ目を作る
  • STEP3 2枚の六つ目を、入れ子に重ねる
  • STEP4 真ん中の空いた位置に横ひもを差す
  • STEP5 更に横ひもを差す
  • STEP6 120度の真ん中空き位置に斜めひもを差す
  • STEP7 更に120度の斜めひもを差す
  • STEP8 60度の真ん中空き位置に斜めひもを差す
  • STEP9 更に60度の斜めひもを差す

大きな分かりやすいカラーの図です。

なるほど、どのみち最初に六つ目を作るんだったら、2枚作った方がもっと簡単だよね。型紙だからずれないし。

でも、説明文は読まずに図だけを見て試したものだから、何度も作っては外し…..やり直しの連続でした。

  • 単に3本ごと3方向に分けただけではダメ。三角になって、六つ目になりません
  • 適当な六つ目3枚に分けただけではダメ。どう重ねても重なりません
  • 六つ目枠と、その中の下向き三角に分けてもダメ。作りたい模様になりません

ポイントは、亀甲パターンの位置にある六つ目に分けること、だったのです。

掲載されている図は、3枚が分かりやすいように色を変えたのだと思ってました。だから「3つに分ければいいのね」と読み取ってしまったのですが、色そのものに意味があったのでした。その先のページには「spot form」として亀甲模様の写真が3枚も載っているし、ちゃんと説明されていたのかも。。。紙の本は、自動翻訳されないんです。

最終的に、どんな作り方をしたのかは次稿で。とりあえず、このかごのデータです。

追記

このやり方で、既に鉄線編みを作られている方がいました。サイト「クラフトバンド部」のuniさんです。研究ノートとして様々な模様を作られており、YouTubeの動画も作られています。上の文章よりずっとわかりやすいです。リンクはその最初のものですが、サイトYouTubeチャンネルには他にもたくさん掲載されています。

鉄線編みのかご、2本ごと2色

クラフトバンド/紙バンドでも、鉄線編みかごを作ってみました。2色を2本ごとに変えた模様が、カタツムリみたいで面白かったからです。

位置横ひも斜め60度斜め120度
-2A色A色A色
-1B色B色B色
+1B色B色B色
+2A色A色A色

色は4点の対称な繰り返し・編み目は3本の繰り返しですから、六角形の各辺を12にしたい。でも、辺12は24本ですからPPバンドだと大きすぎる。ということで、細めの4本幅が使えるクラフトバンド/紙バンドにしました。

鉄線編みのかご、2色ごと2本

各側面に、底から同じ模様が続きますので、セット分の段数を高さにしました。

鉄線編みのかご、2色ごと2本の底

詰めるのが大変は想定内ですから、すき間は無理をせず2.5ミリにしました。
下の写真、左側のように、まず型紙の上で横ひもと60度のひもを組みました。
120度ひもは、型紙上では差し込めそうになかったので、いったん型紙から外して、表・裏ひっくりかえしながら縫いました。

それを、右写真のように型紙に貼り付けてみると、正六角形が少し崩れていました。すき間がちょっと詰まってしまい、最終的に出来たかごでは1センチくらい短くなってしまいました。(上の写真の上下方向)


クラフトバンド/紙バンドで、鉄線編みによく使われるのが、最初に六つ目を作り、次にその間に3方向2本ずつ差し入れていく方法です。途中の編み目が難しそうで避けていたのですが、作り易さより、最初に六つ目を作ることで3方向のサイズを均等にすることが重要だったのだと、改めて認識しました。賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。

もうひとつの反省点は、ひも長加算(上端)をもう少し大きくすべきだったということ。六つ目向きの値は、鉄線では短すぎました。側面があまり詰められなかったこともあって、一番上の編みひもの目は噓八百です。

データです。

PPバンド・鉄線編みのかごバッグ

鉄線編み(3軸織)の模様、相対する側面で色を変えていいなら制限はなくなります。薄いPPバンドですから重ねてもさほど問題はない。作る手間だけです。

ということで、最後に、最初に作った鉄線編み模様が側面になるような、かごバッグを作ってみました。

鉄線編みのかごバッグ

近くにいた一般人代表、Aさんに感想を聞いてみました。

haru「このかご、どう?」

A「何の変哲もない、ただのブロック模様のかごじゃん」

haru「作るのに結構手間がかかったんだよ。どこだと思う?」

A「うーん。。横が紺色と水色に切り替わってるところ?」

haru「シンプル過ぎるかなと思って途中で変えたんだけどね、バンド変えただけだから、全然簡単。それより、底、ほら、白と黄色でしょ」

A「別に普通じゃん。何の感動もない(キッパリ)! 」

haru「そっかー、それが一般人の感想なのかー」

A「世の中の99.9%の人はそう思ってるよ」

haru「残りの1%は?」

A「1%じゃない、0.1%だよ。0.1%のマニアになら気付いてもらえるかもね」

工数が報われないパターンですね。


試作した鉄線編みのかごバッグ、3点を並べてみました。感動はあるでしょうか。

この投稿を読まれた方に、もし「普通じゃないよね」に共感される方がいらっしゃいましたら、下部、「♡いいね」をクリックして存在を教えてください! (認証や登録は不要・カウントアップするだけ)

データをつけておきます。作り方は、ひも個別のメモ欄に付記しています。サイズは設定通り。マニアな方は是非、アプリで開いて見て下さい。

PPバンド・斜め結び亀甲のかごバッグ

試してきた鉄線編み(3軸織)の模様の中に、もう1点、そのまま編めるものがありました。斜め結び亀甲です。

こちらは、底から模様がつながるシックススター2色と異なり、側面のみの模様となります。折って立ち上げた時に、A-B-A色で作れる、という条件に合うものです。

斜め結び亀甲のかごバッグ

底です。A-B-A色、つまりシックススター2色パターンになっています。

斜め結び亀甲のかごバッグの底

編み図です。

データです。

PPバンド・シックススター2色のかごバッグ

さて、鉄線編み(3軸織)の模様、色々試してきましたが、すべて浅いかごで、見るのは底だけ、側面は見ないでくださいね、というものでした。

では、バッグを作ろうとしたらどうでしょう。見るのは側面、底は隠れますのでどんなでもいい。底の模様を、そのまま側面にもって来られるのでしょうか。

今のところ、底のひもを折って立ち上げて側面にする想定ですから、両サイドで並びが反転しますし、6つの側面が筒状につながります。なかなか難しそうです。実際、作ってきたかごでは、側面の模様は全て崩れてしまっていました。唯一の例外シックススター2色を除いては。

ということで、作ってみたのがこちら。

シックススター2色のかごバッグ

模様は、底から続きます。

シックススター2色のかごバッグの底

編み図です。

データです。

お星様の金ラインを追加しましたので、設定ファイルも添付しておきます。

追記
サイズ違いになりますが、作り方の手順書をこちらに掲載しました。

PPバンド・鉄線編みの三角かご

鉄線編み(3軸織)で、いろいろなかごを作ってきましたが、基本サイズは同じで、ほぼ丸いかごでした。違う形はどうでしょう。例えば、六つ目で作ったような三角かごは?

先に検討した立ち上げ時の角の条件からは、底となる六角形の各辺のバンド数は3の倍数、従って最小3本です。これを1本にして、三角かごにするとどうなるか。

「最小3本」が導かれた前提は「底と辺に同じ織り模様が続く」でしたから、この前提が満たされなくなる、ということでしょう。

試しに、3辺を1本にしたかごの図を作ってみました。模様は「アルプス」です。

そして、図に従って作ってみたのがこちら。

鉄線編みの三角かご

三角形の角になる部分を、無理矢理合わせた、といいましょうか。

3つの角部分です。各、ひも4本分ほどが、3本組ではなく2本組になっています。

角のひも4本がイレギュラーで、この位の小さいかごだとその影響は大きいけれど、大きい三角かごであれば比率は下がるので、形状としてアリ、かもしれません。大きくするなら1本じゃなく3本にすれば? とも言えますが。

データです。

V1.8.3 リリース

issue#60対応、リスト出力記号の空に対応しました。また、CraftBandHexagon についても、おもて/うら表示に対応しました。

例えば先の麻の葉崩しの浅かごですが、表と裏で模様の位置が変わります。作る前に確認できますし、裏側の編み図で編めば、立ち上げ時にひっくり返さずに済みます。

表と裏

ダウンロードはこちら。

Release v1.8.3 のリリース

鉄線編みのかご、3軸織3色パターン

鉄線編み・3軸織の色々な模様のかごが出来ました。並べてみました。

名前が付いているわけですから、いずれも、広く認識されている、よく使われる模様なのでしょう。同じ織り方なのに、違って見えるのも面白いです。

色だけではなく、組み合わせ数や繰り返し数もいくらでも作れますから、模様はもっとあるはず。
CraftBandHexagonを使えば色の組み合わせは容易にシミュレーションできますから、「3方向各3色」のパターンで試してみました。ちなみに、上の写真の中で、「3方向各3色」でできているのは、シックススター(右下)と亀甲(左下)です。

色違いや位置違いは同一視して、異なると思われるパターンは、他に次の3点がありました。

出現する同色パーツは次の3種、

  • ボックス型
  • 山(スターの両断)型
  • 三菱(六つ目のベース)型

作られる模様はいずれかのバーツ3点の組み合わせ[?]であり、すべてボックス型なのが亀甲、すべて三菱型なのがシックススターということのようです。

混合ではなく、すべて山型になる一番右のパターンも、2軍模様としてはありかもしれません。名前は…山の連なりなので「アルプス」とか。図は下向きになってますが。

[?] 組み合わせには条件があるようです。例えば、各1点ずつというのは、数回試したレベルでは出てこなかったのですが、ほんとうに存在しないのでしょうか。