CraftBandMesh V1.4 をリリースしました。
CraftBandMesh, CraftBandSquare45のissue対応と合わせて、テストしてきたCraftBandKnotを追加しています。
シリーズとしては、縦横組み、斜め組み、四つ畳みの3点となります。インストーラを起動すると、3点のアプリがセットでインストールされます。
インストールについては「起動するまで」のページをご覧ください。
CraftBandMesh V1.4 をリリースしました。
CraftBandMesh, CraftBandSquare45のissue対応と合わせて、テストしてきたCraftBandKnotを追加しています。
シリーズとしては、縦横組み、斜め組み、四つ畳みの3点となります。インストーラを起動すると、3点のアプリがセットでインストールされます。
インストールについては「起動するまで」のページをご覧ください。
テスト用に作ってみた色付きの小かごですが、CraftBandKnotではコマ数の他、要尺に加える「ひも長加算」や開始位置が指定できます。また、縁の始末については「編みかた」として登録した中から選べるのですが、四つ畳み編みについては今のところ以下を登録しています。
開始位置は、既定ではコマの真ん中に設定されますが、変更することもできます。テストでは左下(横6コマの左から1番目、縦5コマの上から5番目)にしてみました。
また、いくつかあるひも長加算のうち「ひも長加算(縦横端)」については5センチ(50mm)を指定しました。縁の始末は「コマの裏の隣のコマに折り込む」としました。
そして、最後にカットしたひもの切れ端、こんな風になりました。
私の四つ畳み編みのスキルは初心者レベル。今まで作ったのは5個くらい?続けて編むのはできますが、それぞれのひもの1コマ目は、絵を見ながら何とかって感じです。コマも揃いませんので、切れ端の長さもバラバラは仕方ない…ではあるのですが、よく見ると切れ端は2つのカテゴリーに分けられそうです。5センチ程のと、6センチ程のです。
CraftBandKnotは、開始位置を指定すると、その位置のコマを中心として、1コマ編んだ時の上下左右のひもの長さを表示します。今回は左下を指定したので、コマ下の長さとコマ左の長さを目安にひもを折って、編み始めました。
設定通り5センチ余っている分は、短い方のカテゴリーに相当するのでしょう。もう一方の1センチ長いカテゴリーは、ひもをカットする際に少し長めにした分(小数以下を切り上げてカット)に相当しそうです。
つまり、カットで余裕を持たせた分は、ひもの両側に均分されるのではなく、片側に偏分された、ということです。考えたら当たり前で、数値に合わせて折ったのですから、そこに余分が加わることはありません。
そこでようやく、書籍やネットに記載されていた始め方の法則、例えば「奇数の時にはひも幅の2倍の差をつけて折る」等の妥当性を理解したのです。中心から始めるためのルールだと思っていたのですが、どこから開始したとしても、差を表示すれば、余分が偏らない、ということに。
ということで、開始位置については、上下左右のひもの長さだけではなく、折り位置からの長さ・手前と奥との差を表示させるようにしました。またこれらの数値は、プレビュー画像だけではなく、ひもリストにも出力するようにしました。
リリース版の図はこんな感じです。
ひもリストはこんなです。
CraftBandKnot のテストに、小さいかごを編んでみました。プレビュー絵の確認のため色をつけたくて、手もとにある青のひもで作れるサイズに合わせたら、横6コマ・縦5コマ・高さ4コマになりました。
プレビューの展開図は表の目だけで作りますので、かごを底から見た絵に相当します。これは、既定値である「右側」で編んでおり、上の写真では底・下の側面・右の側面が見えていますが、ほぼ再現できている、と言えるんじゃないでしょうか。
ということは、CraftBandKnot を使えば、色の組み合わせでできる模様を、編む前に確認できるってことですよね。1本ずつ色を入力するのはちょっと大変ですが…
比較用に、同じデータを「左側」で作った時のプレビュー図(開始位置指定なし)だとこんなです。左上にあるのは1コマ分の要尺ですが、折る角度も逆。
データをつけておきます。
四つ畳み編み・石畳編み・ノット編み(2本結び) と呼ばれる編み方ですが、ここではすべて同じ編み方を指すこととし、「四つ畳み編み」とします。
四つ畳み編みには、鏡像関係にある2つの編み方があります。
これを、コマ上部の縦のひもがどちら側に伸びているか、を基準として、
と呼ぶことにします。
YouTube動画やサイトで説明されている多くは「右側」です。書籍『エコクラフトで作る石畳編みのかごとバック』木原基子,成美堂出版,2011 の作品はすべて「右側」で編まれており、奥付の著者Profileによると
紙バンドを素材とした「石畳編み」の技法を確立させ、1979年にNHK「婦人百科」に出演以降、書籍や講習会などを通して「石畳編み」の普及に努めている
とのことですので、狭い意味の「石畳編み」は「右側」を指すようです。
「左側」で作られている書籍の例『紙バンドで結んで作るかご編みLesson』古木明美,河出書房新社,2020 では、紙バンドを結んで、ノット(結び目)を作る結び方について体系的に説明されており、その中の2本で結ぶ編み方が四つ畳み編みに相当します。なので、狭い意味での「ノット編み」は「左側」を指す、ということになるのではないでしょうか。
ちなみに、この本に出てくる2本結び・3本結び・4本結びですが、一番よく見る名前と別名はこんな感じでしょうか。
四つ畳み編み | 2本結び | 四つだたみ・石畳編み |
花結び | 3本結び | 花結び編み・六弁花結び |
八重結び | 4本結び | 八弁花結び |
さてその「右側」と「左側」、両方を組み合わせる編み方は別として、普通は一つの作品はどちらか一方で作られています。そして、右利きの人には「右側」、左利きの人には「左側」が編みやすいため、「右側」の方がメジャーになっているのだと思います。でも、書籍になっているくらいですから、両方が共存していることは確かです。
CraftBandKnot では、コマ数からサイズやひもの長さを計算しますが、計算結果は「右側」も「左側」も同じです。ひもリスト出力だけなら区別する必要はないのですが、
絵
が違うのです。 プレビュー画面で画像を表示する際には、「右側」と「左側」で絵を変えなくてはなりません。
でも、一人の人が編む時には、普通は作品ごとに「右側」と「左側」を意識して変えたりはしないでしょう。どちらか、慣れた一方を作るだけだと思います。
ということで、CraftBandKnot では、「右側」と「左側」に対して2段階の対応をしています。
まず、ユーザーに対して「右側」もしくは「左側」のいずれかを保持できるようにします。これは、特に指定しない場合どちらになるかを示すもので、既定値は「右側」です。(ついでですが、ここで合わせて設定可能な「マイひも長係数」は先の仕様に基づくものです)
そのうえで、個々のデータを作る際には、「コマ上側の縦ひも」を次の3択から選べるようにします。
既定値は「どちらでも」です。この時は、上で保持した側になります。通常は、データを作る時にこの値を変える必要はありませんが、特別に指定したければ、
「右側」を指定すると、そのデータについては、「右側」になります。
「左側」を指定すると、そのデータについては、「左側」になります。
(ついでですが、ここで合わせて設定可能な「コマ間のすき間」は上の書籍『紙バンドで結んで作るかご編みLesson』で説明されている、結び目間に等間隔の隙間をあけて作る「インターバル」テクニックにも応用できると思います)
先の仕様に基づき実装した、ゲージ設定画面です。
選択したバンドの種類名に対して、右上に係数値が表示されています。
初期状態は、係数は先の仕様の既定値、計算値はそれに基づいて計算した値です。
それぞれの本幅に対して、コマ寸法と要尺の実測値を入力するカラムがあります。各セルに値を入力し、保持することができます。
入力後、[係数取得]ボタンをクリックすると、各セルの実測値をもとに、係数a,係数bを計算・取得するとともに、以降そのバンドの種類名に対する計算値算出に使います。少なくとも2点の実測値があれば計算できます。どの値を使うかは[係数取得区分]のチェックボックスで指定でき、OFFの行は、計算対象外です。
上に入力した実測値は、先の12本幅の測定値です。実測値と計算値のずれは、おおよそ1ミリ以下。まあ、仕様のもとになったデータですから、合っていて当然ですね。
他のデータで検証してみました。書籍に記載されている値です。
『エコクラフトで作る石畳編みのかごとバッグ』木原基子,成美堂出版,2011
79ページに、基本ゲージ表(1こまに使う長さ)の表が載っています。cm単位で記載されていますが、ミリ単位に換算して入力してみました。バンド幅は15ミリとしました。
コマ寸法のデータは入力していないため警告が出ますが、要尺についての計算はできます。独立していますので。
結果を比較してみると、
計算値との差は最大で3.2ミリ、標準偏差2.4の差です。最大のずれは、4本幅で8%ですから、1メートルのひもで8センチ。どちらの値を採用するかで違いがでてきますね。その場合は、[実測値使用区分]のチェックボックスで
を指定することができますので、計算に使いたい方の値を指定すればよいかと思います。
やりたいことは、バンドの本幅(何本どり)から、要尺とコマ寸法を得ることです。
その際、
1.については、既に様々な「バンドの種類」を設定値として登録する仕組みがあるので、そこに四つ畳み用の係数を追加すればいい。ではどんな係数を持たせるか。先のデータを解析してみました。
要尺
12本幅・13本幅・PPバンドのひも幅に対して、要尺をグラフ化してみました。比較用に、黄色で2D値を表示させています。
ほぼ直線に乗っています。これなら、少なくとも2点の実測値があれば、a(傾き)とb(切片)を計算することができますので、4.の条件は満たせるでしょう。
エクセルに式を表示させ、a値とb値を読み取りました。
a値とb値はそのままでも計算に使えますが、よりわかりやすくするため、aは2D値、bはバンド幅で割って、係数化することにしました。
既定値は、5.を考慮して次のようにします。
コマ寸法
同様にグラフ化すると、要尺と同様の関係が見られました。
同様にa値とb値を読み取りました。
a値は2D値、b値はバンド幅で割って係数化するのも同じです。
既定値は、上の値をもとに、次のようにします。
要尺とコマ寸法を共通係数化できれば良かったのですが、複雑に対応づけるより、シンプルにほぼそのままの値にしました。これらの値は、バンドの種類ごとに持たせますので、1.2.は満たせるでしょう。
4点の係数を持たせたことで、要尺とコマ寸法はそれぞれ独立に扱われることになりますが、要尺だけ実測、みたいな使い方もできるようになりますので、それはそれで良しとしましょう。
マイひも長係数
2.については、適切な係数を設定すれば実現できるはずなのですが、念のため、ユーザーごと個別の「マイひも長係数」を設定可能としておきましょう。
最終的に出力するひも長は、計算値に対して、この値を乗算する、という値です。既定値は1で計算値そのまま。例えばここに1.05を設定すると、すべてのひもの長さに 5%プラスした値を出力します。
個々のデータ・バンドの種類・設定した本幅によらず、一律の値です。
実測結果やグラフを含むエクセルを添付しておきます。
CraftBandMeshシリーズ、次のアプリはCraftBandKnotです。
四つ畳み編み/石畳編み/ノット編み/2本結び編み、と呼ばれるタイプのサイズ計算です。基本的には、ゲージを測定しコマ数を掛けるだけなので、今更要るのかなとも思いますが、何といってもクラフトバンド/紙バンドの基本の編み方ですから、あってしかるべきでしょう。
さて、そのゲージです。縦横同じ幅のひもで、縦横対照に編まれる1つの編み目を「コマ」とします。サイズ計算に必要なのは、1コマ編むのに必要なひもの長さ(要尺)とコマのサイズ(コマ寸法)です。
まず、厚みゼロ・折り曲げのRゼロの完全2Dの場合の値はいくつでしょうか。
図を描いて測ってみました。コマの形は風車のような形、コマの配置は横ひもに対して26度強の傾きです。バンド幅幅10ミリとすると、1コマのサイズは22.36ミリでした。
1コマ編むのに必要な要尺は、下は編み目の裏側の図になりますが、 20+20+24.3=64.3 となりました。
ひも幅を1とした時の比率(2D値)は、次のようになります。
2D値が把握できたところで、実際に編んで測ってみました。手許にあるのは、13本幅と12本幅のクラフトバンド、およびPPバンドです。規定長の6本のバンドで9コマ編み、要尺とコマ長、各6点・12点の平均をとりました。
結果がこちらです。
12本幅と13本幅のクラフトバンドは類似しており、ひも幅が狭い場合は厚みの影響が大きく2D値とずれていますが、広くなるにつれ2D値に近づいていくことがわかります。
PPバンドは薄くて紙に近い折り勝手でしたが、実際、クラフトバンドより2D値に近い値になっていました。
次はこれらの値を、仕様化します。
複数色のバンドを使った場合、斜め組み編みの模様では、単位となる色の組み合わせが左右対称であれば、模様としてつながっていました。
クラフトバンド/紙バンドの斜め網代編みでは、この条件ではどうなるでしょうか。試してみました。
底から見るとこんなです。「斜め網代編みの底の組み方」のパターンそのままです。
余りひもを利用したので4色が少しづつ、そのためか模様として見えるほどにはなっていないようです。PPバンドでは1目づつ縦横にできますが、クラフトバンド/紙バンドでは厚みもあって難しいので、少なくとも2つ飛び。色との組み合わせが難しいのですね。それでもよく見ると、各側面が同じパターンになっているのがわかります。
作りは…まだまだですね。「斜め網代編みの小かご」ではすき間を1mmにして大きすぎたので、0.2mmにしたのですがこんどは小さすぎ。最初に横ひもを並べるのは良かったのですが、縦ひもを差し込んで同様に詰めることができず、歪んでしまいました。適切なすき間、重要です。
データです。
斜め網代編み、クラフトバンドで2色を試してみました。ヘリンボーン編みの手さげかごです。出典は次の本。
『改訂版 エコクラフト1巻き(5m)でちっちゃなかごを作りましょ』
桑折 智美
ブティック社 2017年
55~56ページに作り方が書かれており、青色とクリーム色の2色で編まれた底の組図が載っています。CraftBandSquare45 で画像を作り、横側面はそのまま、縦側面になる部分は青色とクリーム色を入れ替えました。切り替え箇所は、PPバンドでは重ねましたがクラフトバンドはボンドで貼りました。
全然詰められていません。下手ですみません。
3つ飛びの網代編みの方が2つ飛びより詰めやすいんじゃないかと思いますが、それなのに全然です。上手に編まれる方を尊敬してしまいます。試作ということで、お許しください。
本だと出来上がりの高さ9cmなのですが、11cm近くあります。あと2割ほど詰めないといけないわけです。本来の高さに押しつぶしてみました。
網代編みは、ひもが90度に交差するはずですので、確かに、こちらの方が90度に近い。持ち手とのバランスも合っています。ここまで詰めないといけなかったのですね。斜め網代編み、難しいです。2色にしたことで、隙間が更に目立ってしまっています。
底から角度を変えてみると、多少は隙間が隠れたりして、、
アコーディオンのように伸び縮みできるかご..なんてどうでしょう(笑)
ぷっくりした縦縞、カボチャなんかに作ったらいいかもですよ。