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四方網代編みのかご(下の四角)

長桝網代編みは長方形の底を立ち上げる時に使われます。そして、正方形の底の時に使われるのは、四方網代編みです。

長桝網代編みで試した3つの立ち上げ位置のパターンを、四方網代編みでも試してみましょう。まず、下の四角です。

4本幅より扱いやすい6本幅で、15センチほどのかごを作ってみました。斜めに立ち上げますので、CraftBandSquare45です。四角数は13です。

四方網代編みのかご(下の四角)

側面は崩れてしまいますが、底は四方網代編みの模様です。

四方網代編みのかご(下の四角)の底

底の編み図です。

データです。

三種の長桝網代編み、上の四角・中の四角・下の四角

長桝網代編み、同じ模様のかごが3つ出来ました。並べてみました。

立ち上げ位置は、左から、上の四角中の四角下の四角です。底に割り当てられる分が、順に少なくなり、サイズも小さくなっています。

長桝網代編みのかご3種
  • 横の四角数は、左から、16個・15個・14個
  • 縦の四角数は、左から、34個・33個・32個

ひも幅5.3ミリ、対角線7.5ミリの差です。重ねてみました。

長桝網代編みのかご3点

角の編み目です。上の四角・中の四角・下の四角の順。

立ち上げの3つの位置、いずれでも可能、と言えるのではないでしょうか。
作り易さには、多少差がありそうですが。

長桝網代編みのかご(中の四角)

先と同じ長桝網代編みの底で、中の四角で立ち上げるとどうなるでしょう。
立ち上げ位置を、先の同じ図に追記してみました。最初に作ったのが赤の線(下の四角)、次が緑の線(上の四角)、そして中の四角が紫の線です。赤と緑の真ん中になります。
ひも数も両方の中間、横の四角数15、縦の四角数33、縦ひも・横ひもが各48本となりました。

この図、平行線なのに、歪んでいるような感じがします。ツェルナー錯視だそうです。

そして、できたかごがこちら。

長桝網代編みのかご(中の四角)

ちょっと歪んでいるような気がします。これは錯視ではなく、作り方が下手なせいでしょう。。とはいえ、下の四角・上の四角のかごの時はそんなに歪みはなかったので、何か気を付けて作らないといけない構造があるのでしょうか。

角の4点の位置は交点として決まり、辺は交点を結んだ線になりますが、辺そのものには指標となる点はありません。底と辺がそこそこ等分されているように見えますが、正確でないとだめなのでしょうか。箱の外形は直角になっているのです。もしかして、角の編み方を間違えているとか…?

編み図です。

データです。

長桝網代編みのかご(上の四角)

先と同じ長桝網代編みの底で、上の四角で立ち上げるとどうなるでしょう。
立ち上げ位置を、先の同じ図に追記してみました。先に作ったのが赤の線(下の四角)そして、上の四角が緑の線です。
ひも数を増やし、全体を大きくしたため、横の四角数16、縦の四角数34、縦ひも・横ひもが各50本となりました。

できたかごがこちら。

長桝網代編みのかご(上の四角)

下の四角も、上の四角も、底の辺は長方形の角を繋げた線で出来ています。そのため、位置も確実にとれますし、同じ様に作ることができました。

底から見て「上の四角」の位置で立ち上げているのがわかるでしょうか。

編み図です。

CraftBandSquare45のデータです。

3つ飛び網代編みの立ち上げ位置

CraftBandSquare45は、縦ひも・横ひもに対して45度で底の辺を作り、辺で折って立ち上げ、側面にするタイプです。

3つ飛び網代編みは、3つの四角で作られた1×3の長方形が、1つずつずれた模様です。この長方形と立ち上げ位置(底の辺)との関係は、模様のラインに平行に折る場合は次の6つのいずれかになります。上下の2本を同時に折るからです。

この6パターンを個別に取り出すと、次のようになります。

横線が立ち上げ線です。底を下とし、立ち上げた側面を上とします。長方形に含まれる3つの四角を、それぞれの位置、下・中・上で識別します。45度ですから、各四角の対角線になります。並びの方向は、右向きと左向きがあります。

この6パターンのうち、AかBかCか、もしくは aかbか、については、四角の位置が異なりますから、ひもの数やサイズが変わります。でも、Aとa・Bとb・Cとcについては変わりません。

網代編みは、全面、2枚のバンドが上下に重なっています。3つ飛びの場合は、その2枚が3本ごとに交差して入れ替わります。編み図は上側にあるひもの状態を示していますが、その下にはひもが隠れているのです。下側のひもの一部を点線で示してみました。

上のひもと下のひもは90度で交差しています。交差位置は上下とも同じですから、底の辺に対する上の四角・中の四角・下の四角の位置は、上のひもと下のひもで同じになります。

全体の上と下を入れ替える、という操作をすれば、Aとa・Bとb・Cとcを入れ替えることができます。そしてこの操作は、ひもの数やサイズは同じままで行うことができます。

つまり、立ち上げ位置を決めるにあたっては、上の四角・中の四角・下の四角のどこに位置するのかは、ひもの数やサイズが変わるので重要。でも、右向き/左向きについてはあまり考慮しなくてよい(ひもの数やサイズを変えずにいつでも交換できるから)ということです。

では、先に作った長桝網代編みのかご、立ち上げ位置はどこだったでしょうか。
示されていた位置の図、左上部分を拡大して、見てみましょう。

右下が底、左上が側面ですから、赤と青、2つの底位置は、いずれも「下の四角」になっています。

では、同じ長桝編みの底に対して、「上の四角」「中の四角」で立ち上げることは可能なのでしょうか。やってみましょう。

長桝網代編みのかご

名称長桝 網代 編み
名称(読み)ながます あじろ あみ
模様タイプ中心2点の4分割
単位中心2点間・各領域は3つ飛び
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性半回転
備考

底に使われる「長桝網代編み」ですが、その具体的な作り方が書かれている文献がありました。

『竹細工 増補改訂版』田中瑞波、メイツ出版、2023


です。「PART6 お気に入りの竹かごをつくる」では、“お手製の弁当箱でごはんがもっと美味しくなる”というタイトルで、111~120ページに、本体と蓋、ともに長桝網代編みの作り方が詳細に説明されています。竹ひごを縦に7本並べるところからスタートして、横にひごを差していき、縦横46本ずつになるまで24ステップ。

ここから本体部分を読み取ったのが以下の図です。本体は幅4ミリの竹ひごで作るとのことでしたので、

  • バンドの種類に15本幅15ミリとした「竹ひご(1幅1ミリ)」を追加
  • 基本のひも幅を、4本幅(=4mm)

とし、CraftBandSquareの底のデータとして作りました。縦ひも・横ひもとも46本とした底のデータです。

そして、この編み方から立ち上げ可能な位置として示されているのが2か所。幅狭の方を青線、幅広の方を赤線で示しています。縦横の四角数で数えると、各、11×35と14×32です。

文献で製作しているのは幅広(赤)の方ですので、それを、4本幅のクラフトバンド/紙バンドで作ってみました。

斜めに立ち上げて作るタイプは、CraftBandSquare45 です。横の四角数を14・縦の四角数を32としました。Ver1.7で底の[ひも上下]に対応しましたので、縦横を展開し、[ひも上下]のサイズを46×46として、上のデータをコピー&貼り付けました。

縦横がわかりやすいよう、交色で作りました。もとが4ミリの竹ひごのところが、4本幅5.3ミリで作りましたので、全体的なサイズも大きくなりました。高さの四角数は7.5、縁は「カットして縁ひもを貼る(厚さ2重)」です。

長桝網代編みのかご

底から見たところです。

長桝網代編みのかご

CraftBandSquare45 による底の編み図です。

長桝網代編みの編み図

CraftBandSquare45で作ったデータです。

最初に作った、CraftBandSquareのデータもつけておきます。設定データのエクスボートもつけておきますので、インポートしていただくと、バンドの種類に追加した「竹ひご(1幅1ミリ)」が使えるようになります。

ボックスに便利な金具

色々な網代編みを再現してきましたが、あまり手間はかけず・でも実用できるように、ということで主にボックスにしてきました。編むのは模様だけ、持ち手や縁飾りも無し。

ボックスですから使う場合は床や机や棚に置くしかなかったのですが、手許にあったこんな金具が意外に役立つことがわかりました。

輪を棒に通すタイプのカーテン取付金具です。布をしっかり挟み込めるよう、先がギザギザのクリップがついています。このクリップが、ボックスの縁のバンドを挟むのに具合がいいのです。

小さいかごなら壁掛けしたり、両側に2個とりつけて持ち手のようにしたり。付け外しも簡単ですから、用途に応じて数や位置を変えることができます。

ボックスに付けた金具

残っているかごを並べてみました。かご屋さんみたいでしょ♡