鶴網代のバッグのデザイン

CraftBandSquare45で鶴網代、つまりひもの本幅と色を変えた模様を全体に繰り返すには、どのようにデータを作ったらよいのでしょうか。先稿からは、

  1. バンドの単位を作る。色と幅の並びを、中央に対して対称にすること
  2. 横の四角数は、単位の整数倍にすること
  3. 縦の四角数は、単位の整数倍にすること
  4. 編み目(網代編み)の対応付けで、模様が決まる

過去例があります。「波網代の鶴模様のかご」です。上記条件がどうなっているか、見てみましょう。

1. バンドの単位は9点です。中央(0)に対して、何本幅、色、ともに対称な並びになっています。

位置-4-3-2-10+1+2+3+4
何本幅6幅4幅3幅2幅2幅2幅3幅4幅6幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル

2. 横の四角数は 27 です。9 × 3 ですから、単位の3倍です。
3. 縦の四角数は 27 です。9 × 3 ですから、単位の3倍です。
4. 編み目は、三つ飛び網代編み(6×6)です。 三つ飛び網代編みの3単位が、バンドの2単位に対応します。(6×3 = 9×2)

側面のプレビュー2図で、編み目とバンドを組み合わせた、繰り返し単位(18×18)を赤点線で囲ってみました。全体は、4種類の少し異なる鶴の連なりで構成されます。鶴の羽ばたきです。

ちなみに、全く同じ鶴の連なりにするのであれば、バンドの単位を6の倍数で作る必要があります。6・12・18…です。

縦と横の数を変えてみる

上の例は、縦と横の四角数が同じでした。同じバンドの単位を使って、縦と横の四角数を変えるとどうでしょうか。9の倍数ですから、縦と横、ともに9・18・27・36・45…から選ぶことになります。バッグを想定して、横の四角数45、縦の四角数18を選んでみましょう。

アプリの操作は、[四角数]のタブに、各45と18を入力します。縦横を展開して、[編集]メニューの[色の繰り返し]画面に9行追加し、「何本幅」と「色」にバンドの単位をセットして、[変更実行]すればOK。計算寸法も、幅変更を反映した数値になります。

高さの四角数は、縦と横の中間、27にしておきます。いくつでもよいのですが、これも倍数にしておくと、高さ方向の模様が揃うからです。

次は[ひも上下]で編み目を作ります。底は、三つ飛び長桝網代編みです。今は「開始高さ」も指定できますので、早見表に従って、

  • 「垂直に」2
  • 「底に」1
  • 「開始高さ」17 (高さ27で作りたいのですが、編集の上限が99のため)

として[合わせる]ボタンをクリックします。底部分を「長桝網代底の編み図生成」の手順に従って、入れ子の長方形に修正します。

[プレビュー2]で見てみましょう。開始高さが17なので、上角部分が編まれていませんが、他と同に編めばよいわけですから、凡その出来上がりは掴めるでしょう。

単位を変えてみる(点数)

同じ鶴の連なりになるような単位に変えてみましょう。バンドの単位は、6点では少なすぎるので、12点にします。

幅と色の並びを作ります。偶数ですが、同様に対称に作れます。仮に次のようにしてみました。

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅6幅6幅4幅3幅2幅2幅3幅4幅6幅6幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル

12の倍数ですから、横の四角数は36、縦の四角数は12としましょう。高さは中間の24にします。[ひも上下]も同様にして、

  • 「垂直に」2
  • 「底に」1
  • 「開始高さ」24 (この数であればフルに指定できます)

[合わせる]としてから長桝網代編みに修正します。プレビューで見てみます。

模様の単位が大きくなったので、柄も大きくなりました。三つ飛びに合わせたので、こんどは全て同じ鶴です。

単位を変えてみる(並び)

12点単位のフレームができました。これで、幅と色の並びを変えたときの模様の違いを、プレビューで簡単に比べることができます。

何点か、試してみましょう。

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅7幅6幅5幅4幅3幅3幅4幅5幅6幅7幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
直線状に変化させてみました


位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅6幅6幅6幅3幅3幅3幅3幅3幅3幅6幅6幅6幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
2種類だけで作ってみました


位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅8幅6幅4幅4幅2幅2幅2幅2幅4幅4幅6幅8幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
スリム化しました

位置-6-5-4-3-2-1+1+2+3+4+5+6
何本幅2幅2幅4幅4幅6幅8幅8幅6幅4幅4幅2幅2幅
ナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラルナチュラル
波の位置をシフトしました

最終的なデザインは、模様だけでなく、サイズ、作りやすさ、材料が効率的に使えるか、などの勘案になるでしょう。バッグですから、縁や持ち手のデザインも必要です。

なお、三つ飛び網代編みの編み目との位置関係は、底の三つ飛びラインに合わせると決まってしまうのですが、変えることもできます。[上下交換]すると鶴の方向が変わります。

12点単位の例、上の値とは少し異なりますが操作の参考にしてください。

波網代の立ち上げ

波網代で、繰り返しの1単位をどう作るかについては、幅と並び・編み目など、いろいろ試せるようになったと思います。では、それでできた単位を、かごやバッグなどの立体に適用するには、どうしたらよいのでしょうか。

テストにはCraftBandSquareを使い、縦ひも×横ひもで底に模様を作りました。平面であれば完成ですが、立体的なかごを作るのであれば、作成した単位を側面に配置する必要があります。側面への配置を、このアプリと、四角のかごをつくるもうひとつのアプリ、CraftBandSquare45でみてみましょう。

Square

底に対して垂直に立ち上げる場合は、側面の模様は、縦ひも×側面の編みひも、および横ひも×側面の編みひもに、単位を持たせることになります。

CraftBandSquareは、[ひも上下]でセットする編み目は、底・側面(上・右)・側面(下・左)で別々に入力できますし、上・右、下・左についても実質個別扱いできますから、単位vs.ひもの本数を適切に合わせれば、模様の配置はそう難しくないでしょう。側面のつながりは[プレビュー2]で見られますし、一時保存しておいて、試してダメなら戻せばよいのです。

試しに、幅と並びの例の最後にある幅の並び、

1,1,2,2,2,3,4,6,9,9,6,4,3,2,2,2,1,1

を、側面にも作ってみました。縦・横・側面の3方向で少し色を変えて作った[プレビュー]図はこんなです。

[プレビュー2]で側面をつなげたモデルです。


CraftBandSquareでは縦と横は独立(おなじバンドが続くという制約はありますが)ですから、方向ごと並びを変えることも可能です。例えば、先のページの右側の図、片側は等幅というパターンを側面に作ると、こうなります。

垂直方向となる縦ひも・横ひもともに等幅にしたので、底は波ではない普通の網代になりました。幅変更に伴うサイズ変更をどう扱うかは考えどころですが、各面・各方向、それぞれに単位を組み合わせればよい、というのがCraftBandSquareで立ち上げる時のデータの作り方といえましょう。

Square45

斜めに立ち上げるCraftBandSquare45 ではどうでしょう。まず、幅の変更について、確認しておきましょう。

波網代に限らず、底の縦ひも・横ひものいずれかの幅を変更した場合、箱状に立ち上げるためには「底が長方形になること」という条件がつきます。

例えば、横の四角数10個・縦の四角数5個とし、基本のひも幅は5本幅としましょう。縦ひもと横ひもの数はともに10+5の15本になります。縦横を展開し、横ひものうち3本だけを15本幅にしてみると、プレビュー図はこんなになります。

ステイタスバーには長方形にならない、という警告が表示されています(赤の矢印)。横ひもだけ幅広にしたのですから、当然ですね。つまり、立ち上げて直方体形状にするには、底は、長方形に作る必要がある、ということです。

長方形ということは、相対する短辺同士・長辺同士の長さ、つまりそれらの辺を構成するひもの幅を加えた長さが同じでなくてはなりません。

つまり、こうです。

  • 縦ひもの上から、横の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、横の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、横の四角数の本数ぶん

これら4点については、ひもの本幅数を足し合わせた長さは、全て同じであること。
同様に、

  • 縦ひもの上から、縦の四角数の本数ぶん
  • 縦ひもの下から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの左から、縦の四角数の本数ぶん
  • 横ひもの右から、縦の四角数の本数ぶん

の本幅数を足し合わせた長さも、全て同じである必要があります。ひもの本幅数は、個別に・任意に変更することはできますが、この条件を満たした幅にしないと、立ち上げられない、ということです。アプリでは、プレビュー2の表示ができません。

※縦ひもと横ひもの本数が異なるケースについては、アプリの設定対象外とします。もしそのようにしたければ、2本寄せや3本寄せのように、実質1本だけれどデータ上は2本(3本)などとして入力することで、本数を合わせてください。


次に、側面を見てみましょう。
下図は、底のバンドがどのように組み合わされて側面になるか、を示したものです。

簡単に言えば、それぞれの側面は、縦ひもと横ひもが交互、かつ正順・逆順入れ替わりつつ重なって作られるということです。Squareは縦・横・側面が独立ですが、Square45では入り混じるのです。

そのため、繰り返しパターンを作るのであれば、その単位は縦横同じとなる正方形に限られ、その並びは、中心に対して両側に対称でなくてはなりません。そして、縦の四角・横の四角ともに、単位の整数倍でなければなりません。以前「PPバンドの斜め組み編みの模様」という記事で、作例から導き出した条件ですが、その裏付けとなるのが上図と言えましょう。

立ち上げには底が長方形という条件があったと同様、縁が水平、つまり直方体形状を作るためには、側面も長方形である必要があります。側面に積みあがるバンドを加えた高さが、4側面各2方向すべて同じということです。

高さの四角数で指定する、どんな数値に対しても同じ高さになるためには、4側面各2方向に、同じ幅のバンドが同順で積みあがる必要があります。その条件もまた、中心に対して両側に対称な並びの単位でできていること、となります。

つまり、幅変更を伴う時に、どんな高さでも直方体形状にするには、本幅は上記繰り返し条件を満たすように並べなければならない、ということです。これは、底が長方形になるための十分条件でもあります。

単位の高さの倍数など特定の高さに対してだけなら、もう少し条件は緩くなるでしょうけれど、倍数や約数を組み合わせるなど、対称に作るより難しそうです。特定の全体サイズに合わせた、繰り返しではない模様の方が作りやすいかもしれません。


ということで、波網代模様を斜めに立ち上げる場合は、

  • ひとつの単位は、中心の両側に、本幅が対称に並んでいること
  • 横の四角は、単位の整数倍で作られていること
  • 縦の四角は、単位の整数倍で作られていること

が、わかりやすい十分条件です。繰り返しの単位ですから、起点を縦ひも・横ひもの各1本目とすれば、縦ひも・横ひもともに同じ並びが繰り返され、四角数位置が単位の区切りと一致するように作ればよいということです。

色を組み合わせる場合は、幅とセットの並びになります。波網代との組み合わせで模様が作られる典型例、鶴網代でみてみましょう

メッシュワーク・斜め網代編みのスマホケース

布のパッチワークを試してみました。2色の網代編みですが、ペタンコ形状なので色がつながります。先は横方向でしたが、今回は縦方向です。

布といっても合皮の端切れなので、カッターでカットしただけ。貼付けは「強力布用両面テープ」です。念のため、Dカンの取り付け箇所など少しだけ縫いました。

底の角の編み目が外れてしまいました。編んだ後に所々を貼り付けたのですが、少なくとも底は、最初から貼り付けて作れば良かったと思いました。

プレビューの底編み図です。各側面を模様にするため、底の辺で合わせています。

プレビュー2です。模様のつながりが確認できます。

データです。

v1.8.9 リリース

#issue 80~83に対応しました。
「一時保存」機能が追加されました。操作ミスを後から“元に戻す”ことはできませんが、ミスしそうな操作の前に保存しておけば、戻すことができます。また、データを比較しながら作りこんでいくような時に、気軽に色々試せるでしょう。

いずれのアプリも、メイン画面、概算ボタンの並びに[一時保存]のボタンが増えました。[編集]メニューからも呼び出すことができます。

このボタンをクリックすると、こんな画面が表示されます。

ここから、現在のデータの状態を保存したり復元したりすることができます。

一時保存

どんな状態のデータなのかをメモ欄に記述し、 [一時保存]のボタンをクリックすると、データが保存され、画面が閉じます。
メモ欄は空でも問題ありませんので、[一時保存]のボタンを2回クリックすれば、保存が完了する、ということです。

復元

この後、色や本数など、いろいろ編集したとしましょう。
その後でも、先に[一時保存]した時の状態に戻すことができます。

メイン画面の[一時保存]のボタンを、再度クリックしてください。

先に[一時保存]した時の状態が保持されているのがわかります。

該当行の[復元]ボタンをクリックすると、その時の状態に戻ります。[一時保存]→[復元]の2回クリックで戻せる、ということです。

なお、復元すると、その間に行った編集は失われることになります。現状を残しておきたければ、[一時保存]してから[復元]してください。

一時保存の管理

[一時保存]は何度でも行うことができます。例えば、4回[一時保存]するとこんな感じ。一時保存のリストが、新しい順に表示されます。

一時保存リストから不要な保存を削除したり、メモを編集することができます。

従来から、ブラウザのタブに画像を残すことができましたが、この機能を使えば、その画像に対応するデータも残すことができます。

なお、この機能ですが、編集途中の一時的な状態を保持するためのもので、別のファイルを開いたり、アプリを閉じた時点で保存も消えます。永続的に残しておきたいデータは、「名前をつけて保存」してください。また、保存対象は現作品データだけで、設定は対象外です。


設定ファイルには、バンドの種類に「汎用(1幅1ミリ)」を追加しました。最近のメッシュワークで使用していたものです。

メッシュワーク・3軸織のクリスマスカード

2軸のメッシュワークの次は3軸です。A5サイズでツリーを作ってみました。CraftBandHexagonの鉄線(3軸織)、合わせ位置をずらせて六角形の形を変えました。

メッシュワーク3軸織りのツリー

すき間なく埋めてしまうと星が大きすぎるかな?と思い、少しすき間を空けました。幅が不均一ですが良いのです。ハンドメイドなんですから。

A4画用紙を2つ折りにしてカードとし、片側に、線のみにした画像を印刷して台紙にしました。こんなです。絵に合わせてカットした折り紙を貼り付けました。

カードの台紙

先の織紙を片側に貼り付けて、クリスマス飾りにしてみました。二つ折りのカードにするには表紙に置いた方が良いのでしょうけれど、立てて飾るには、両側が見えた方がいい。シールも貼ってみました。

クリスマスカード

データです。先と同じくバンドの種類は「汎用(1幅1ミリ)」です。

用紙に画像を配置するのには、wordを使いました。このファイルも添付しておきます。

追記
織りミスがありました。間違い探し、見つけてみてください。