テストパターン:四方ベースのかご

立ち上げ可能な繰り返し模様、とりあえず今まで作った中から候補を選ぶとしたら、縦横同サイズ・辺ごと方向が変わる、四方網代編みでしょう。そして、側面の辺は、両側の側面を等分する「中の四角」の位置です。

四角数4をベースとして、かごを作ってみました。単位としては最小に近いと思います。

底から見たところ。

四方ベースのかごの底

条件については

1.~3 基本的な条件OK
4. 連続的正方形で90度回転できるのが四方網代
5. 編みやすさ×四方網代の編みにくさのエッセンス
単位を大きくすれば改善されるでしょうけれど
6. 美しさ模様と言えるかな?
これも単位を大きくすれば改善されるでしょう

左側が、ベースとした四角数4×4の底の図です。繰り返し部分は赤い菱形の内側です。右側は、それを2単位×3単位とした、四角数 8×12の底の図。薄い黄緑のセルが底の辺です。右側の図を見ると、8×8が1単位になっているのがわかります。

これを編み図にしたのがこちら。わかりやすいよう、縦ひもと横ひもの色を変えています。写真は、これを作ってみたものです。

データです。[ひも上下]には8×8の1単位が入っています。

同じ単位を使って、サイズを変えた編み図を作ってみました。基本的な条件 2. の確認です。

上図のデータです。

立ち上げ可能な繰り返し模様の条件

斜め網代編みで、側面のための配慮などせずに模様を優先して底を作り、それを立ち上げるとどうなるか試してみました。そして、その成果の2つのかごができました。28×2229×24、組み合わせて箱にできます。ピッタリというわけにはいきませんが。

模様をたちあげたかご

ここまでで、模様から、ベターな立ち上げ位置は多少は選べるようになりました。模様が不自然でなく、編みやすい位置。

では、「模様が不自然でなく」レベルではなく、そのまま自然に連続するような、そんな模様網代を作ることができるのでしょうか?

自然に連続、を定義してみました。

基本的な条件は

  1. 繰り返し単位であること
    シフト可能な敷き詰められる単位。[ひも上下]はその1単位でできている
  2. かごの縦・横・高さはともに可変であること
    固定ではない。3の倍数などの条件がつくのはOK
  3. 立ち上げた4側面を各々接する底の続き模様で編むと、側面の辺の編み目がつながること
    単位内の特定の位置で、底の縦横に対して45度で立ち上げる

追加的な条件としては

  1. 側面が連続的である
  2. 編みやすい
  3. 美しい

基本的条件はYes/Noですから、各項、満たしているかどうかは明確に決まります。実際に編んで形にできる、というところまでを条件にしました。

追加条件については、どの程度満たしているか、の主観的・段階的な評価です。

  • 4.については最も連続的なのは同一ですが、そこそこつながっている、というのもありとしましょう。
  • 1,3,5飛びの網代模様だと5.編みやすいですが、切り替え点があると編みにくい。
  • 6.美しさについては「模様」になっているかどうか。対称性等で数値化できるのかもしれませんが、まずはぱっと見た感じで。

ちなみに上の2つの模様、花ますあじろ中心7網代編みについては、側面の辺に花模様の切れ目があり、切り替え線が発生するので3.はNG。

既存の模様の中に、条件を満たすものはあるのでしょうか。
どういう作り方をしたら、これらの条件を満たす模様を作れるのでしょうか。

中心7網代編みの浅かご

名称中心7 網代 編み
名称(読み)ちゅうしん7 あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位16 × 16
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。1行目の「中心 7」でかごを作ってみました。

ここまでいろいろ作ってきた「角が茶色と白の箱」ですが、最後に、角の白と茶が目立たないよう、浅めにしてみました。

中心7網代編みの浅かご

底です。

中心7網代編みの浅かごの底

側面は「変わり小桝2網代編みのかご」と同様、両方が1.5ずつ・合わせて四角数3になる「中の四角」状態です。底の辺と側面最初の水平ラインの位置は、周全体で合わせています。

編み図です。

データです。底には「中心7網代編み」の1単位が入っています。


変わり小桝3網代編みのかご

名称変わり小桝3 網代 編み
名称(読み)かわりこます3 あじろ あみ
模様タイプ斜め十字に帯領域で分割
単位各領域部分は10×10
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。2行目の「変わり 小桝 3」でかごを作ってみました。

変わり小桝3網代編みのかご

底です。

変わり小桝3網代編みのかごの底

中央十字にラインが入っていますが、四隅の領域は花ますあじろになっています。プレビュー図をプリントアウトし、花ますあじろ模様が連続する箇所を折って、立ち上げ・側面位置を選びました。

左図だと対称で花模様の位置も同じになりますが、織れません。四角半分ずらしたのが右図です。左右もつながるし、高さの差も四角半分で済みます。

最初からこんな紙モデルを作れば、すぐにわかったはず、、ではないのです。いろいろやってみた結果、ようやく側面の図のつながりが読めるようになったのでした。

最初に作った変わり小桝網代編みのかご(上)と比べるとその成果がわかるでしょう。模様の切り替え位置という、とても普通な場所に落ち着きましたが。

変わり小桝(花ますあじろ)の側面角の比較

編み図です。

データです。底に使用サイズより少し大きめに作った「変わり 小桝 3」の模様を入れています。

組み換え網代編み2のかご

名称組み換え 網代 編み 2
名称(読み)くみかえ あじろ あみ 2
模様タイプ単位の繰り返し
単位18 × 18
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。3行目の「組み替え網代 2」のかごを作ってみました。

できたかごはこんなです。

組み換え網代編みのかご

底から見たところ。

組み換え網代編みのかごの底

縦と横に網代編みのラインが作られますので、4つの側面の辺で、いろいろな組み合わせを試してみました。

4つの側面の角と、対応する編み図です。繰り返し模様ですので、側面に相当する箇所を編み図の別の位置から切り貼りして突き合わせ、編んだ編み目と較べてみました。

編み目と編み図

両側面のひもが、辺で山形や谷型になる箇所があります。ひもの交差はひもに対して直角ですから、山形や谷型の場合は、どちらかの側面に切り替え線が入ります。その結果、元が1×1.5的なところが1×1になったりします。4本幅ではきれいに詰められません。

模様を優先して線が入らないようにするのか、1×1にならないよう模様を犠牲にするのか。選択可能ならまだしも、両側面とも1×1になってしまう箇所もあります。その部分だけ編み方を変えるなら、よい変え方はあるのでしょうか。

作るのは大変でした。。詰め方もまだいまいちですが、これがやっと。なにぶん素人ですので、交色で作った編み図の色が頼りだというのに、角にはそれがないのです。わりとシンプルなラインでこれですから、模様を編める方ってすごいです。

編み図です。

データです。底は、繰り返し模様の1単位です。

変わり小桝2網代編みのかご

名称変わり小桝2 網代 編み
連続桝 網代 編み
名称(読み)かわりこます2 あじろ あみ
れんぞくます あじろ あみ
模様タイプ単位の繰り返し
単位32 × 32
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。2行目の「変わり 小桝 2」でかごを作ってみました。同じ模様が「八女市伝統工芸館」では「58 連続桝網代 」となっています。

先の試作で、側面の辺が重要であることがわかったので、各側面半分ずつ・合わせてひとつの長方形になる位置に辺を置いてみました。

底です。側面の辺が「中の四角」状態になったわけですが、その派生として、続き位置となる底の辺も「中の四角」になりました。

変わり小桝2網代編みのかごの底

側面の辺に相当する編み図です。他の箇所の絵を組み合わせて作ってみました。双方の辺がつながっているのがわかるでしょうか。

花模様の位置が違うことからわかるように、つながった模様にはなっていないのですが、編み目としての連続性はかなり高いです。

でも、このかご、作っていると歪むのです。下図の矢印方向に力がかかるのか、長方形がつぶれて平行四辺形になるような感じ。整形して縁で固定するので、完成すれば問題はないのですが。そして、このひも方向や状態は、長桝網代編みの底を「中の四角」で立ち上げた時と同じ。中の四角は、要注意だということを追認しました。

編み図です。

データです。底が模様の1単位になっています。

V1.7.3 リリース

リスト出力関連 issue#42~#45 対応を行ったバージョンをリリースしました。

公開はこちら
Release v1.7.3.0のリリース

[バンドの種類]及び[描画色]の設定に「製品情報」欄を追加

メーカーや型番など、製品に関する情報を記載できます。

[メモ他]のタブに、タイトル欄・作成者欄を追加

これまでは、メモ欄しかありませんでしたが、基本的な情報であるタイトルと作成者欄を追加しました。

ひもリスト出力

次のような情報を、リストに出力するようにしました。

  • 青枠…冒頭に、タイトルや作成者情報
  • 赤枠…バンドの種類や描画色の設定で「製品情報」欄に記載した内容
  • 緑枠…単純計と面積長の合計を、メートル単位でまとめ出力

上の例では、単純計と面積長が一致するので、2行目を見れば全ての色を合わせて34.1m必要とわかります。

単純計と面積長が異なる次の例は、13本幅のクラフトバンド/紙バンドを、2・3・4・5・8・13幅に割いて使っており、幅ごとの本数・合計長が集計されています。

  • 単純計は、それぞれの長さをそのまま加えたもの。
    2幅であれば、13幅のうち2幅のみを使って、11幅は残すイメージ
  • 面積長は、全く無駄なく使い切ったら、という仮想的な最短。
    13幅をバラバラにして、2幅につなげるイメージ

実際の必要長さは、面積長より長く、単純計より少なくなります。
まずは最長と最短の2つの数値を目安に。そして、幅ごとの集計を見てカット計画を練ってください。

変わり小桝網代編みのかご

名称変わり小桝 網代 編み
名称(読み)かわりこます あじろ あみ
模様タイプ斜めに帯領域で分割
単位繰り返し部分は10×10
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。2行目の「変わり 小桝」のかごを作ってみました。

底に模様を作って、そのまま立ち上げるとどうなるのか、のお試しです。斜め45度なので、CraftBandSquare45でデータを作りました。ベースは花ますあじろ模様です。とりあえず、ラインの縁で折ってみました。

角が作れるのだろうか・側面がつながるのだろうか、と思いつつ試してみたわけですが、やってみて、できることがわかりました。

斜めであっても角であっても、90度に交差した縦横のひもを織るという点では他と変わりなかったのでした。編みにくいか編みやすいか、という差があるだけで。

変わり小桝網代編みのかご

底です。

底の辺をどの位置で立ち上げるかはあまり問題ではなく、角から上の側面が交差する箇所、つまり「側面の辺」が重要であることがわかりました。

「側面の辺」部分の拡大です。1×1が入っていて、編みにくい角が、更に詰めにくくなっています。こんな位置は避けた方が良さそうです。

編み図です。

データです。使用しているのは49本ですが、ひも上下には63×63分の模様を入れています。

斜め網代編みとは

いろいろな網代編みを集めてきましたが、いまのところ、(竹細工の)伝統的な模様の中には「斜め網代編み」という名前はありませんでした。たぶんこれは、クラフトバンド/紙バンドの用語なのでしょう。「斜め網代編み」という「模様」というより、「斜めに立ち上げる」という製法であり構造の総称として使われているようです。

竹細工の場合は「斜め」がデフォルトであり、わざわざ「斜め」をつける必要がないということなのでしょう。斜めではなく縦横に平行に立ち上げるのは、クラフトバンド/紙バンドでは普通です。でも、側面には底とは別の編みひもが必要であり、各段をボンドで貼り付けて輪にしたり、連続した長いひもを編んだりします。竹細工ではこちらの方が難しい。底からそのままつながる方が自然なわけです。

編み方との関係をチャートにしてみました。

斜め網代編みの位置づけ

「斜め網代編み」としては、狭義では、斜め45度に立ち上げるタイプのうち、模様ラインが底と平行になっているもの。竹細工では、四方網代編み長桝網代編み長桝二間網代編みが相当しますが、クラフトバンド/紙バンドでは3つ飛びの斜め網代編みであっても、長桝二間網代編み風に作られるケースが多いようです。

広義では、模様ラインが底と垂直のものや、1×1を斜め45度に立ち上げるタイプも含まれるようです。

更には、模様網代が含まれるタイプも。ただ、模様が入る場合、「斜め網代編み」のカテゴリーに入るとは思いますが、できたかごは「~~模様のかご」と呼ばれるでしょう。ということは、構造の総称としてではなく「斜め網代編みのかご」という名前で呼ばれるとしたら、基本の網代編みで作られているということになるのでしょう。


ところで、ここまで出てきた編み方のポイントは、側面のために底をどう作るか、でした。立ち上げた時に・4つの側面が・同じ方向に揃った網代編みになるように、底でちょっと頑張る、といったらいいでしょうか。

その「揃った網代編み」は、シンプルな2つ飛びや3つ飛びの想定です。でも、網代編みには模様がたくさんあります。模様が入るとどうなるのでしょう。

長桝(二間)網代編み・四方網代編み・へリンボーン編みによって、側面の網代編みの方向が揃えられていたら、側面に繰り返し模様を入れるのはそう難しいことではないと思います。周全体の本数を模様の倍数にするとか、一部に入れるなら配置を合わせるなどの調整は必要にしても。

では、「側面のための配慮」などせずに、模様を優先して底を作る。それを立ち上げるとどうなるのでしょうか。やってみましょう。

PPバンド・水玉模様のかご

演習3・STEP4で、差しひもを加えることで、赤と白のチェック柄を花柄に変えました。
花模様のかごは以前に作ったので、赤と白ではなく全て赤の差しひもにして、水玉模様のかごを作ってみました。少し小さくしましたがベースは同じです。

水玉模様のかご

演習では「PPバンド(4本幅扱い)」を使いましたが、1/3に割いたPPバンドも使ったので「PPバンド(12本幅)」を追加登録して、両方が扱えるようにしました。

底です。斜めの差しひもは、側面に合わせるため、短辺側は少しずらせています。

水玉模様のかごの底

展開図です。全面に対する斜めの差しひもが、開始位置を2としたため、45度と135度、各1本少なくなってしまいました。側面の差しひもとして加えていますが、全面につなげて作っています。

水玉模様のかご

データです。

「PPバンド(12本幅)」の設定データもつけておきます。