変わり小桝網代編みのかご

名称変わり小桝 網代 編み
名称(読み)かわりこます あじろ あみ
模様タイプ斜めに帯領域で分割
単位繰り返し部分は10×10
バンド幅
飛び数1,3,5
対称性水平線,垂直線,半回転
備考

佐倉竹芸保存会の「色々な網代編み」からです。2行目の「変わり 小桝」のかごを作ってみました。

底に模様を作って、そのまま立ち上げるとどうなるのか、のお試しです。斜め45度なので、CraftBandSquare45でデータを作りました。ベースは花ますあじろ模様です。とりあえず、ラインの縁で折ってみました。

角が作れるのだろうか・側面がつながるのだろうか、と思いつつ試してみたわけですが、やってみて、できることがわかりました。

斜めであっても角であっても、90度に交差した縦横のひもを織るという点では他と変わりなかったのでした。編みにくいか編みやすいか、という差があるだけで。

変わり小桝網代編みのかご

底です。

底の辺をどの位置で立ち上げるかはあまり問題ではなく、角から上の側面が交差する箇所、つまり「側面の辺」が重要であることがわかりました。

「側面の辺」部分の拡大です。1×1が入っていて、編みにくい角が、更に詰めにくくなっています。こんな位置は避けた方が良さそうです。

編み図です。

データです。使用しているのは49本ですが、ひも上下には63×63分の模様を入れています。

斜め網代編みとは

いろいろな網代編みを集めてきましたが、いまのところ、(竹細工の)伝統的な模様の中には「斜め網代編み」という名前はありませんでした。たぶんこれは、クラフトバンド/紙バンドの用語なのでしょう。「斜め網代編み」という「模様」というより、「斜めに立ち上げる」という製法であり構造の総称として使われているようです。

竹細工の場合は「斜め」がデフォルトであり、わざわざ「斜め」をつける必要がないということなのでしょう。斜めではなく縦横に平行に立ち上げるのは、クラフトバンド/紙バンドでは普通です。でも、側面には底とは別の編みひもが必要であり、各段をボンドで貼り付けて輪にしたり、連続した長いひもを編んだりします。竹細工ではこちらの方が難しい。底からそのままつながる方が自然なわけです。

編み方との関係をチャートにしてみました。

斜め網代編みの位置づけ

「斜め網代編み」としては、狭義では、斜め45度に立ち上げるタイプのうち、模様ラインが底と平行になっているもの。竹細工では、四方網代編み長桝網代編み長桝二間網代編みが相当しますが、クラフトバンド/紙バンドでは3つ飛びの斜め網代編みであっても、長桝二間網代編み風に作られるケースが多いようです。

広義では、模様ラインが底と垂直のものや、1×1を斜め45度に立ち上げるタイプも含まれるようです。

更には、模様網代が含まれるタイプも。ただ、模様が入る場合、「斜め網代編み」のカテゴリーに入るとは思いますが、できたかごは「~~模様のかご」と呼ばれるでしょう。ということは、構造の総称としてではなく「斜め網代編みのかご」という名前で呼ばれるとしたら、基本の網代編みで作られているということになるのでしょう。


ところで、ここまで出てきた編み方のポイントは、側面のために底をどう作るか、でした。立ち上げた時に・4つの側面が・同じ方向に揃った網代編みになるように、底でちょっと頑張る、といったらいいでしょうか。

その「揃った網代編み」は、シンプルな2つ飛びや3つ飛びの想定です。でも、網代編みには模様がたくさんあります。模様が入るとどうなるのでしょう。

長桝(二間)網代編み・四方網代編み・へリンボーン編みによって、側面の網代編みの方向が揃えられていたら、側面に繰り返し模様を入れるのはそう難しいことではないと思います。周全体の本数を模様の倍数にするとか、一部に入れるなら配置を合わせるなどの調整は必要にしても。

では、「側面のための配慮」などせずに、模様を優先して底を作る。それを立ち上げるとどうなるのでしょうか。やってみましょう。

PPバンド・水玉模様のかご

演習3・STEP4で、差しひもを加えることで、赤と白のチェック柄を花柄に変えました。
花模様のかごは以前に作ったので、赤と白ではなく全て赤の差しひもにして、水玉模様のかごを作ってみました。少し小さくしましたがベースは同じです。

水玉模様のかご

演習では「PPバンド(4本幅扱い)」を使いましたが、1/3に割いたPPバンドも使ったので「PPバンド(12本幅)」を追加登録して、両方が扱えるようにしました。

底です。斜めの差しひもは、側面に合わせるため、短辺側は少しずらせています。

水玉模様のかごの底

展開図です。全面に対する斜めの差しひもが、開始位置を2としたため、45度と135度、各1本少なくなってしまいました。側面の差しひもとして加えていますが、全面につなげて作っています。

水玉模様のかご

データです。

「PPバンド(12本幅)」の設定データもつけておきます。

PPバンド・組み合わせ模様のかご

演習1・STEP4で操作例として作った繰り返し模様のかごですが、若干の修正を加え、試作してみました。

  • 1/2幅をベースとする
  • 側面高さ分に展開し、上下に平編みを加える(演習2STEP3の操作)
  • 側面の平編み部分は、色と幅を部分的に変える
  • 底は2つ飛び網代編みにする

メインの模様は #34196
https://www.handweaving.net/draft-detail/34196/figure-589-a-handbook-of-weaves-by-g-h-oelsner-germany-1915?page=0&keyword=34196.
ですが、平編みと2つ飛び網代編みとの組み合わせです。

組み合わせ模様のかご

底は網代編みにすることで、隙間なく詰めました。

組み合わせ模様のかごの底

先に#34196 のかごを作った時は、繰り返し模様の単位をデータ化することを優先したため、浮いた感じがありました。今回は、上下を平編みで押さえたため、実用的になったと思います。サイズに合わせたデータですので、再利用はしにくいですが。