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CraftBandSquare45で作成

長桝網代編みの条件(1)

長方形の底で、長方形が入れ子に重なっている長桝網代編み、今まで作ったのは文献に記載されていた14×32、そしてその同じ模様を使ったものです。

でも、その数でないと作れないなんていうことはないはず。では、縦と横、どんな本数でも作れるのでしょうか。それとも、特定の決まった数でないと作れないのでしょうか。検討してみました。


まず、任意数の四角が縦に並んでいるとします。それを、上端・下両から3つごと、上下対称に塗りつぶしていくとします。中央部に最後に残るのは、下図の黄色の四角、5・4・3・2・1・0個のいずれかです。

この縦に並ぶ四角を、長桝網代編みの中央部分(下図の点線部分)に適用してみましょう。3つごと=3つ飛び網代編みです。立ち上げは四角の対角線で折りますので、中央となるラインも対角線に来ます。従って、余りが0,2,4にはなりません(上図の茶色)。中央に残るのは、1か3か5 です。

下図、左から余り3・余り1・余り5の例です。任意の数を任意の位置の3つ飛びで埋めた場合、いずれかになるということです。

このうち「長桝網代編み」と呼べるのは、余りが3となる左側のケースのみでしょう。いずれも1,3,5 で出来ているとはいえ、角以外は3つ飛びが基本でしょうから。


では次に、この長桝網代編みの中央部分の数は何で決まるのでしょうか。
下図のように、横の四角数の角の部分は、直角二等辺三角形で作られていますので、中央部分の高さは横の四角数の2倍、そこに立ち上げ位置の四角がプラス1です。

上図に従った式を作ると、

  • ((横の四角数×2+1) -3) を6で割った余りが、(1 + 1)の時、下の四角
  • ((横の四角数×2+1) -3) を6で割った余りが、(2 + 2)の時、中の四角
  • ((横の四角数×2+1) -3) を6で割った余りが、ゼロの時、上の四角

6で割った余りが0/2/4ということですが、1/3/5になることはないのでしょうか。
はい、×2で偶数、+1-3しても偶数ですから、余りも偶数です。

もうすこし式を整理すると、横の四角数と立ち上げ位置との関係は

  • 横の四角数 を3で割った余りが2の時、下の四角
  • 横の四角数 を3で割った余りがゼロの時、中の四角
  • 横の四角数 を3で割った余りが1の時、上の四角

先の文献『竹細工 増補改訂版』の長桝網代編みの作例は14と11でした。「横の四角数 を3で割った余りが2」となる数が該当します。たぶんこの数が、いちばん作り易いのでしょう。

※「横の四角数」としていますが、正確には横の四角数と縦の四角数のうち、小さい方の四角数です。縦の四角数の方が小さいときは、左右に反転した絵になります。

四方網代底の編み図生成

CraftBandSquare45は、底の中央線で区切られた4区画を、指定した連続数の上下パターンで埋めることができます。立ち上げた時に同じ方向になるように、隣り合う区画は上下を逆に埋めますが、これは四方網代編みと同じです。ですので、この機能を使えば、かなり簡単に四方網代編みの編み図を作ることができます。

条件の検討で、四角数がわかれば立ち上げ位置は自動的に決まることがわかりました。上の四角・中の四角・下の四角の三択しかありませんので、3回トライすればどれかは「四方網代編み」になるわけですが、わかっていれば1回で出来ます。

[ひも上下]の「縦横の四角」に[合わせる]機能を、3つ飛びで使った場合、上の四角・下の四角・中の四角を作る組み合わせは次のようになります。

先の結果と合わせると、次のようになります。

  • 辺の四角数を3で割った余りがゼロの時は、C/c、数値は1-2 (上の四角)
  • 辺の四角数を3で割った余りが1の時は、A/a、数値は0-3/3-0 (下の四角)
  • 辺の四角数を3で割った余りが2の時は、B/b、数値は2-1 (中の四角)

また、縦ひも・横ひも位置の左・右については、つぎの2つの方法があります。

  • A/B/C と a/b/c を使い分けて最初から指定
  • まずA/B/Cで作り、必要に応じて[上下交換]で入れ替える

編み図生成手順

  1. CraftBandSquare45を起動する
  2. バンドの種類を選択し、基本のひも幅を指定する
  3. 目標寸法から[概算]、もしくは横の四角数・縦の四角数・高さの四角数を直接入力する(横の四角数と縦の四角数は同じにする)
  4. 「縦横を展開する」チェックボックスをONにし、[ひも上下]タブを開く
  5. 「縦横の四角」に、縦横の四角数に応じた数をセットし[合わせる]ボタンをクリックする
  6. 底が生成されたら[プレビュー]タブをクリックすると、編み図が生成されている
  7. 縦ひも・横ひも位置の左右を変えたい場合は、[ひも上下]タブに戻って[上下交換]ボタンをクリックする

動画内で参照している「早見表」はこちらにあります。

四方網代編みの条件

今まで、四方網代編みは、正方形で縦横中央で反転すればよい、と思って作ってきました。でも、立ち上げ位置を検討する中で、方向があるということに気付きました。

中央が3つ飛びですから、試しに、最小サイズのかごを作ってみました。

四方網代編み、右と左

右上に注目すると、左側はひもが縦・右側はひもが横になっています。この2つは、かごを回転させたとしても入れ替わることはありません。交色でなくても、です。

上の二つのかごをそのままひっくりかえしてみました。反対の面、つまりかごの底を覗くように見ても、ひもの縦横は変わりません。最初にどちらかで編み始めたら、後からは変えられないということです。

四方網代編み、右と左

先の文献

『かごと器の技法がわかる 竹細工 増補改訂版』田中瑞波、メイツ出版、2023

「PART5 ステップアップする竹かごづくり」78ページから、四方網代編みの底編みの手順が掲載されています。竹ひごの組み合わせ方は、上の写真の左側のタイプです。

どちらも同じではなく、「正式な四方網代編み」であるためには、左側のように編まなくてはいけないのでしょうか。私にはわかりませんが、四つ畳み編みでは両方が共存していましたので、同様に、どちらもあり、ということにしましょう。


そしてもうひとつ。「縦横中央で反転」ですが、次のようなパターンがあり得ます。
3つ飛びですから、中央部は 3・2・1 にすることが出来るのです。

これについては、まだまだ短い経験ではありますが、1や2で作られた例を見たことがありませんので、中央部の四角数3のもののみを四方網代編みと呼ぶ、ということでよいのではないかと思います。


「中央部の四角数3」という条件ですが、これにより、ひもの数から立ち上げ位置が決まります。正方形ですから、縦ひも数=横ひも数であり、辺となる縦横の四角数はひも数の半分です。

底を4分割した左上部分を図示してみました。

つまり、立ち上げ位置となるのは、

  • 辺の四角数を3で割った余りがゼロの時は、上の四角
  • 辺の四角数を3で割った余りが1の時は、下の四角
  • 辺の四角数を3で割った余りが2の時は、中の四角

上述の文献『竹細工 増補改訂版』によると、立ち上げ位置の角が3本になっていると曲げやすいとのことです。作例は19で、「辺の四角数を3で割った余りが1」となる数が該当します。

上の写真、[ひも上下]の[上下交換]で簡単に入れ替えられますが、2点のデータをつけておきます。色も写真に合わせていますが、縦横は回転すれば同じですので。

三種の四方網代編み、上の四角・中の四角・下の四角

四方網代編みのかごが3つ出来ました。並べてみました。

四角数は、左から、14個・13個・12個です。
立ち上げ位置は左から、中の四角下の四角上の四角です。

四方網代編みのかご3種

重ねてみました。6本幅なので、長桝網代編みの時より余裕があります。

四方網代編みのかご3点

角の編み目です。中の四角下の四角上の四角の順。
比較できるよう、同じ交色にしています。

立ち上げの3つの位置、いずれでも可能でしょう。

四方網代編みのかご(中の四角)

四方網代編みのかご、下の四角上の四角の次は、中の四角です。

四角数14で作ってみました。こんどは、2つごとに色を変えてみました。

四方網代編みのかご(中の四角)

底です。長桝網代編みの時のように歪んで作りにくいということもなく、中の四角でも問題ない感じでした。

四方網代編みのかご(中の四角)の底

底の編み図です。

データです。

四方網代編みのかご(上の四角)

四方網代編みのかご、下の四角の次は、上の四角です。

四角数12で作ってみました。同じに作れるのはわかっていますので、ひもの色を変えてみました。12は3の倍数なので、3つごとに変えました。

底です。あみだくじみたいな模様になりました。

四方網代編みのかご(上の四角)の底

底の編み図です。

データです。

四方網代編みのかご(下の四角)

長桝網代編みは長方形の底を立ち上げる時に使われます。そして、正方形の底の時に使われるのは、四方網代編みです。

長桝網代編みで試した3つの立ち上げ位置のパターンを、四方網代編みでも試してみましょう。まず、下の四角です。

4本幅より扱いやすい6本幅で、15センチほどのかごを作ってみました。斜めに立ち上げますので、CraftBandSquare45です。四角数は13です。

四方網代編みのかご(下の四角)

側面は崩れてしまいますが、底は四方網代編みの模様です。

四方網代編みのかご(下の四角)の底

底の編み図です。

データです。

三種の長桝網代編み、上の四角・中の四角・下の四角

長桝網代編み、同じ模様のかごが3つ出来ました。並べてみました。

立ち上げ位置は、左から、上の四角中の四角下の四角です。底に割り当てられる分が、順に少なくなり、サイズも小さくなっています。

長桝網代編みのかご3種
  • 横の四角数は、左から、16個・15個・14個
  • 縦の四角数は、左から、34個・33個・32個

ひも幅5.3ミリ、対角線7.5ミリの差です。重ねてみました。

長桝網代編みのかご3点

角の編み目です。上の四角・中の四角・下の四角の順。

立ち上げの3つの位置、いずれでも可能、と言えるのではないでしょうか。
作り易さには、多少差がありそうですが。

長桝網代編みのかご(中の四角)

先と同じ長桝網代編みの底で、中の四角で立ち上げるとどうなるでしょう。
立ち上げ位置を、先の同じ図に追記してみました。最初に作ったのが赤の線(下の四角)、次が緑の線(上の四角)、そして中の四角が紫の線です。赤と緑の真ん中になります。
ひも数も両方の中間、横の四角数15、縦の四角数33、縦ひも・横ひもが各48本となりました。

この図、平行線なのに、歪んでいるような感じがします。ツェルナー錯視だそうです。

そして、できたかごがこちら。

長桝網代編みのかご(中の四角)

ちょっと歪んでいるような気がします。これは錯視ではなく、作り方が下手なせいでしょう。。とはいえ、下の四角・上の四角のかごの時はそんなに歪みはなかったので、何か気を付けて作らないといけない構造があるのでしょうか。

角の4点の位置は交点として決まり、辺は交点を結んだ線になりますが、辺そのものには指標となる点はありません。底と辺がそこそこ等分されているように見えますが、正確でないとだめなのでしょうか。箱の外形は直角になっているのです。もしかして、角の編み方を間違えているとか…?

編み図です。

データです。

長桝網代編みのかご(上の四角)

先と同じ長桝網代編みの底で、上の四角で立ち上げるとどうなるでしょう。
立ち上げ位置を、先の同じ図に追記してみました。先に作ったのが赤の線(下の四角)そして、上の四角が緑の線です。
ひも数を増やし、全体を大きくしたため、横の四角数16、縦の四角数34、縦ひも・横ひもが各50本となりました。

できたかごがこちら。

長桝網代編みのかご(上の四角)

下の四角も、上の四角も、底の辺は長方形の角を繋げた線で出来ています。そのため、位置も確実にとれますし、同じ様に作ることができました。

底から見て「上の四角」の位置で立ち上げているのがわかるでしょうか。

編み図です。

CraftBandSquare45のデータです。