V1.8.12 リリース

issue#91対応、Meshの輪弧関連修正&追加を行いました。
ただし、輪弧についてはまだ、V1.8.11と同じくテスト機能です。

機能追加箇所

  • 二枚の輪弧が指定できるようになりました(①)
  • 合わせ位置を指定すると、プレビュー図に、二枚の輪弧を重ねて描画します(②)
  • 設定に便利そうな計算値を、何点か追加表示してみました

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Release v1.8.12 のリリース

輪弧編みのふたつき小物入れ

輪弧編みのかごを作ってみました。出典は次の本。

『改訂版 エコクラフト1巻き(5m)でちっちゃなかごを作りましょ』桑折 智美、
ブティック社、2017

42~45ページに、本体とふた、2点の作り方が掲載されています。網代編みの板を二枚の輪弧ではさむ「輪弧合わせ」です。二枚の輪弧、本では同色なのですが、なにぶん作るのは初めてですから、識別できないのはムリと思って色を変えました。

輪弧編みのふたつき小物入れ

それなのに、最初に作った本体では、合わせる位置を間違えてしまいました。アプリを修正して、二枚の輪弧を表示できるようにした図で、ひもが通れる間隔になった、中心に一番近い箇所を通せば良いとわかりましたので、次に作ったふたは合っていると思います。

ふたを開けるとこんなです。ふたの網代編みは、底とは少し模様を変えてみました。
側面は3つ飛び網代編みですが、下手なので、どちらもかなりすき間が空いてしまっています。

輪弧編みのふたつき小物入れ

輪弧の作り方、型紙を使うとこんな感じ。一方向に貼り付けていくだけなので簡単です。

  1. 型紙に合わせて、バンドを上に重ねながら貼り付けていく(写真左側)
  2. 一周すると、螺旋階段のような状態になっている(写真右側上)
  3. 最後の上になった個所を持ち上げて、最初の箇所の下に入れて(写真右側下)、貼り付ける。これで全体が同じ方向に揃います。
  4. 編み図通りに組み替える。中心が貼り付けられていますので、何度でもやり直せます。

たかだか4枚の経験ですが。

輪弧の作り方。上下がわかるよう洗濯バサミで浮かせています

ということで、作りながらのアプリ改良です。内円のサイズを間違えているという致命的なバグ!も修正しました。

※上の写真の型紙は、手許の開発中バージョンによるものです。修正版は後ほどアップします。

PPバンド・ペットボトルケース

Ver.1.8.11で追加されたMeshの丸底タイプを使って、ペットボトルケースを作ってみました。側面はPPバンド1/2幅の追いかけ編みです。

ペットボトルケース

追いかけ編みの2本を同じ位置から開始したので、1/2 × 2 でバンド1本分 15ミリの段差があります。そのため、模様もうまく揃いませんし、側面は垂直ではなく少し傾いてしまいました。PPバンドはクラフトバンド/紙バンドのようにはできないのですね。両側から1本ずつ開始して、斜めにカットすれば良かったと思いました。

底です。底編みはないので、折った個所からそのまま側面になっています。写真で水平位置にあるバンドが3重になっているのは、縁でDカンを通して底まで折り返しているからです。

ペットボトルケースの底

プレビューの全体図です。

CraftBandMesh のデータです。Ver1.8.11 以降で開いてください。

丸底の小かご

以前、丸底の小かごを作りました。その時には、Meshに丸底の機能がなかったので、楕円底と差しひもで作ったデータの一部を流用しました。

Ver.1.8.11で、丸底のかごがデザインできるようになったので、改めてデータとともに作り直してみました。配置タイプは「放射状に置く(縦ひも)」で、使用するバンドの種類は現在の手持ちに合わせましたが、先と同じく5本幅が10本です。

丸底の小かご

底です。10本を十字ベースで重ねたため、(放射状の)縦ひもの上下間に、底編みひもが入り込んでしまいました。前はどうやって作っていたのか…Meshを使うのは久しぶり過ぎて、忘れてしまっています。

なので、1周目の1段目は径としてカウントしないよう「ひとつのすき間の寸法」にはマイナスの値( -1mm )をセットしています。

プレビューの全体図です。その後、機能には、ひも個別の加算値も設定できるようになりましたので、持ち手部分は最初から長めに作りました。長さの差がわかりやすいよう、補助線機能でグレーの円を追加しました。

CraftBandMesh のデータです。Ver1.8.11 以降で開いてください。

輪弧の底編み図の作例

Ver1.8.11のCraftBandMeshを使って、輪弧の底編み図をいくつか作図させてみました。

[底(輪弧)]タブで、基本の数値として幅と本数、輪弧用の3点のパラメータを入力します。編み目の有無は、[プレビュー]タブの「底ひも」、上下なし・下上・上下の三択で、「連続数」の並びをその下・上の順に重ねる図を描きます。

図の色が抜けていたら、物理的には重なり得ない状態ということです。その場合は、以下、いずれかの調整を行ってください。

  • 内円の半径を大きくする
  • ひもの本数を減らす
  • ひも幅を狭くする(細いひもにする)
  • 連続数(飛び数)を大きくする

4すくい2おさえ、反時計回り

内部的な処理は一方向、ひも番号順にひもに垂直な角度ですので、反時計回りになります。中心左巻きがメジャーのようですので、下上として優先選択にしました。

ひも幅8本幅(8mm)本数20本
内円の半径80mm底部分の径200mm
上下の連続数4,2,4[プレビュー]の底ひも下上

3すくい2おさえ、時計回り

下上/上下を変えると中心が右巻きになります。

ひも幅8本幅(8mm)本数20本
内円の半径48mm底部分の径200mm
上下の連続数3,2,1,1,1,1[プレビュー]の底ひも上下

5本ごとの色

[底(縦横)]タブの「縦横を展開する」で、縦ひも個別に色が指定できるようになります。
5色の繰り返しを設定してみました。

ひも幅8本幅(8mm)本数30本
内円の半径80mm底部分の径200mm
上下の連続数4,2,2,2,2,2[プレビュー]の底ひも下上

細いひご60本

幅を細くして、本数を増やしてみました。

ひも幅3本幅(3mm)本数60本
内円の半径100mm底部分の径100mm
上下の連続数5,2,2,2,2,17[プレビュー]の底ひも下上

絵が描けても編めるとは限りませんが、描けなければ(白抜け箇所があれば)編めません。数値は簡単に変えられますから、描ける組み合わせになるよう調整してください。「輪弧長」として、その径に必要なひごの長さも表示されます。

なお、プレビュー図は編んだ結果に相当しますが、編む手順については

  • 反時計回りに置いていく/時計回りに置いていく
  • 下に重ねる(すくい・もぐり・under)→上に重ねる(おさえ・のせ・over) / 上に重ねる→下に重ねる

の組み合わせになるようです。2×2で手順は4種類、結果は右巻き/左巻きの2種類ですから、両方を同時に変えたら結果は同じになります。


八木澤竹芸ブログ -バンブーログ-」という竹工芸家の方のブログがあります。そのサイトの記事「輪口編み、輪弧編みと地域の編み方」に、中心右巻きになる手順・左巻きになる手順、両方について、ステップごとの写真とともに詳しく説明されています。そして、これら編み方は地域によって異なり

籠の編目を見れば、どこの地域で製作された籠なのか、分かる人には分かります。

なのだそうです。輪弧という発想自体は普遍で、右巻きも左巻きも難易度は変わらないということですよね。興味深いです。

八木澤様には記事へのリンクのご許可を頂いています。ありがとうございました。