月別アーカイブ: 2024年1月

ヘリンボーン編みの手さげかご、端の四角と中の四角

文献はこちらです。

『改訂版 エコクラフト1巻き(5m)でちっちゃなかごを作りましょ』桑折智美、ブティック社、2017

54ページ~56ページに「へリンボーン編みの手さげかご」として作り方が載っており、底編みの写真も掲載されています。底の四角数は 12×6で、「端の四角」パターンで作られています。

改めて、このかごを作ってみました。そして、その底編み図を、四角ひとつ分回転するようにシフトして「中の四角」パターンの編み図を作り、こちらも作って比較してみました。

同サイズのはずが少し形が違うのは、編み方ではなく作り方が下手なせいです。。
側面の角のところ、左側は「端の四角」右側は「中の四角」になっているのがわかるでしょうか。

底を比べると、相対する面で、「端の四角」はラインが入れ替わるような形、「中の四角」はそのままつながるような形になっています。


ヘリンボーン編みの手さげかごの底、端の四角と中の四角

左側の「端の四角」パターンが文献に掲載されていたのは、中央縦に切り替え線が入り左右対称に近いからでしょうか。持ち手もつけやすいですし。

端の四角」パターンが「決まった編み方」なのかはわかりませんが、右側の「中の四角」パターンも、底がシンプルで作り易いのではないかと思います。ちなみに、立ち上げ後の側面の編みやすさはどちらも変わりませんでした。(ただし、側面交互に編む必要があるので、底に平行な場合より手間がかかります。)

編み図です。まず「端の四角」。文献掲載は内側から見た写真ですが、反転・回転して外側から見た図に変えています。

端の四角

中の四角」です。同じく、外側からの図です。

中の四角

データです。

3つ飛び網代編みの立ち上げ位置(縦ライン)

長桝網代編み四方網代編みは、3つ飛び網代編みを模様のラインに平行に折って立ち上げる場合の編み方でした。では、模様ラインに対して垂直に立ち上げるとどうなるでしょうか。

3つ飛び網代編み模様に対する立ち上げ位置は、次のいずれかになります。

ラインに沿ったタイプでは、立ち上げ線は上の四角・下の四角・中の四角のいずれかひとつ、すべて同じ位置を通っていました。でも、こちらのタイプは、上の四角・下の四角・中の四角、全種を順に通っていきますから、上中下では区別できません。中の四角を通る時長方形がどちらを向いているか、で識別することにしましょう。

立ち上げ線を水平に置いた時の、2パターンは次のようになります。
図の左を「左向き長方形」、右を「右向き長方形」とします。

左向き長方形と、右向き長方形

底の四角の位置に、1・2・3の数字を振っているように、3点の繰り返し模様です。ひも上下のデータ的には、上・下・下、もしくは下・上・上の 1-2 の繰り返しで、上下は、側面の角度が90度変わるごとに入れ替わります1-2 のうち1が「左向き長方形」もしくは「右向き長方形」を通る方です。

ラインに沿って立ち上げるタイプでは、側面の網代編みラインがつながるように、編み目を作りました。こちらのタイプも、まず各側面が底に対して垂直な網代編みラインになっているという前提で、同様にそのラインがつながるようにするには、

  • (縦の四角数+横の四角数) が、3の倍数であること
  • 底の周の4辺とも、同じ「左向き長方形」もしくは「右向き長方形」であること
  • 底の角、即ちある側面から隣の側面に変わる箇所では、角の両側が上図の1・2・3の連続的な繰り返しになっていること

でしょうか。具体例を作ってみました。

つながらない例

側面によって「左向き長方形」と「右向き長方形」が異なっています。

つながらない例

全て「右向き長方形」ですが、左の側面から右の側面にかけて、1・2・3になっていません。余分があります。

つながらない例

左の側面から右の側面にかけて、1・2・3になっていません。不足があります。

つながらない例

つながる例

全て「右向き長方形」で、底の上の角が左の側面から1・2、右の側面に回って3・1・2..と連続しています。

つながる例

全て「右向き長方形」で、底の上の角が左の側面から1、右の側面に回って2・3..と連続しています。

つながる例

側面の辺

つながる例として2パターンを作ってみました。「右向き長方形」ではなく「左向き長方形」であったり、2番目の例「2・3・1/2・3・1」が「1・2・3/1・2・3」であったり、といろいろありそうです。

でも、対称性を考えると、上の2パターンに大別できるのではないでしょうか。
そして、この2パターンは、立ち上げた側面の形状が異なります。

  • 立ち上げてできる側面、その位置に来る長方形の位置が、真ん中
  • 立ち上げてできる側面、その位置に来る長方形の位置が、端(右端もしくは左端)

底の角が、立ち上げてできる側面の辺になります。並べてみました。

1.側面が長方形の3つの四角のうち、真ん中になるパターン。

側面が中の四角

2.側面が長方形の3つの四角のうち、いずれかの端(真ん中以外)になるパターン。

側面が端の四角

模様ラインに平行に立ち上げる場合は、立ち上げ位置は、上の四角・中の四角・下の四角でした。90度回転して、この3種が側面に来ている状態ですので、左の四角・中の四角・右の四角になるわけですが、右と左に関しては交換可能としてまとめて「端の四角」、そして残る「中の四角」ということになります。


さて、ここまで、側面をつなげるために、底はどうあるべきかを見てきました。ではこのあるべき状態に対して、長桝網代編み四方網代編みのような決まった編み方というのはあるのでしょうか。そもそも、この編み方に、名前はついているのでしょうか。

以前、このパターンのかごを作ったことがあります。「へリンボーン編み」という名前がついていました。底がどう作られていたか、改めて見てみましょう。

PPバンド・Cobblestone模様のかご

サイトの画像を随時、画像共有サービスに登録していたところ、おすすめ画像として届くようになったのが、「Piglet’s Potholder Patterns」というサイトで公開されている、Potholder(鍋つかみ)の様々な模様です。ペグ編み機に「ループ」と呼ばれるひもをかけて編むのですが、既に500を越える編み図が公開されており、コミュニティでは更なるパターンを探求しているそうです。

編み図の使用については、All Avairable For Free とのことですので、最近届いたおすすめ画像をもとに、PPバンドでかごを作ってみました。

使用した模様はこちら <丸石> Cobblestone: 27-peg Chart
http://potholders.piglet.org/wp-content/uploads/2022/04/Cobblestone.png
ブログ記事はこちら
http://potholders.piglet.org/2022/04/cobblestone/

説明によると、完成時には模様に含まれる小さいドットがひもの厚みに隠れてしまうとのこと。PPバンドにはそのような厚みはありませんので、代わりに、ドットを形作る部分のバンド幅を半分にしてみました。

Cobblestone/丸石模様のかご

底も同じ模様にしたため、底の辺の編み目が重なってしまいました。底と側面の辺に1/2幅を置いたためです。改良の余地ありです。

そしてこのかご、光のあたり具合で、丸石/石畳模様に見えない時があるのです。手元で編んでいる時は、模様がわかりずらく、編み図が頼りでした。

編み図です。オリジナルは全部同じ幅ですが、単位8本中2本を1/2幅にして作りました。

CraftBandSquareのデータです。単位となる繰り返しは 8×8で、底・側面いずれも同じ1単位が入っています。

「早見表」四方網代編みと長桝網代編み・3つ飛びの編み図生成

CraftBandSquare45 を使って、3つ飛びで、四方網代編みおよび長桝網代編みの底編み図を生成する手順ができました。

この時、いちばん迷うのは、[縦横の四角]の「垂直に」「底に」に何を設定するかでしょう。3回試行すればいいだけなのですが、わかっていれば1回で作れます。なので、早見表を作ってみました。

PDFファイルです。